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音楽から新しい写真のヒントをもらう

仕事柄、写真と音楽の共通点を尋ねられることがよくあります。

それを答えるときの大前提に、その場合の「音楽」とは「作曲」ではなく、「音楽の録音」だということがあります。

それは、撮影という行為を聴覚でやると何になるかというと、録音になるからです。

レンズを通してフィルムまたはセンサーに光の波を当ててその記録をするのは、マイクを通してテープやエンコーダーに音の波を当てて記録する行為と似ています。

録音を仕事でやっている人の多くは、創作をやっているとは思っていません。創作はミュージシャンがやるもので、それを録るのが自分たちだと思っているはずです(もちろんすぐれた録音技師はクリエイティヴな発想の持ち主です)。作曲と録音は別物です。

だから私は、写真撮影そのものを、創作だとは思いません。音楽に置き換えたら、それは音素材集めです。

では、その素材を「作品」に仕上げるにはどうするか。

音楽には「サンプリング」というものがあります。リアルな音、他人の録音から部分的に借用した音、それらを【編集】して楽曲をつくるという手法です。

あるいは、音楽なら、曲や演奏そのものがクリエイティヴなら、録音もクリエイティヴに聞こえます。それを写真に置き換えると、現実にはない場面を自分でクリエイティヴにつくって、それを撮影するという【セットアップ】の手法もあります。

それはホンマタカシさんが数年前に雑誌でおっしゃっていた「いま新しいと言われる写真作品には、セットアップか編集の要素があって、いわゆるストレートフォトが表現として成立しづらい」という意味のこととぴったり重なるのです。

安達ロベルト

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