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不動産物件写真はなぜダメダメなのか?業界の仕組みから徹底解説

皆さんこんにちは。
初めましての方、初めまして。

建築フォトグラファーの藤川です。
Xでは建築写真キャット🐈というアカウントで活動しています。
建築写真撮影を生業としており、普段は住宅や店舗の竣工写真、不動産物件写真など関東を中心に建築を撮らせてもらって生きております。

物件撮影歴でいえば下積みも含めると気がつけば丸6年になりました。
過去に撮った物件の数は2000件までは数えていたのですがもう数え切れなくなったので○千件と表現しておきます。稼働数でざっと計算するとたぶん3000ぐらいは撮ってます。細かいのも入れたら4000いってるかも?
東京神奈川の都市部は適当に車運転してたら撮ったことある物件が数分以内に出現するぐらいには撮っています。
妻は比較的私の仕事の話を喜んで聞いてくれるのですが、そんな妻ですら休日家族で車で出かけた時に「このマンション撮ったことあるよ」と言っても「ああ、そう」みたいな反応になってしまうぐらいの量です笑

ということで今回は前々回に引き続き特に物件写真にフォーカスを当ててお話ししていこうと思います。
ここで言う物件写真とは主に不動産売買の際に広告として使用する写真のことを示します。

現状の量産型物件写真を否定して、新しい物件写真を目指すと話しましたがその前にそもそも今現在の物件写真の何が悪いのか改めて洗い出しておこうと思います。
同業者さんにも時々読んでいただいているようなので先に弁解しておきますと、同業者さんを蔑んだりする気は全くありませんのであらかじめご了承下さいませ。
私もこれから問題視するような写真をこれまで散々撮っていますし、そういう写真も必要である側面は十分理解しているつもりです。批判があれば最後まで読んでからお願いします。

なんならそんな量産型物件写真の撮り方を徹底解説する動画も出しています。
よかったら見てね🐱🎥



改めて物件写真の現状を書く理由はこの業界のことを知らない人にも今後私がやろうとしていることの存在意義が理解できるようにという目的と、自分自身そうしないと現状を打破する答えに辿り着けないため整理しておこうと思ったからです。

前置き長すぎ!笑
それでは本題行きます🐱📸

1.現在の物件写真の特徴


物件写真の定番は以下の通りです。

  • 35mm判換算12〜14mm→広く見せる!

  • アングルはローアングル→もっと広く見せる!

  • 露出はオーバー気味が基本→明るく見せる!

  • 都合の悪いところは写さない!→好印象に!

上記のYoutube動画でもこのような撮り方を解説していますが、これらが現在プロが撮る物件写真の基本ベースになっていると思います。

ではこれの何がダメなのでしょうか?
ひとつひとつ考えてみましょう。

・12〜14mmでの撮影
→パースがつきすぎることで非現実的な空間になってしまう。
売主さんから「実際より広く見えます!」とよく言われます。

ローアングル撮影
→実際の目線とかけ離れているので、正しく空間を把握できない。
売主さんから「実際より広く見えます!」とよく言われます。

明るく見せる
→少し明るくするぐらいでいいのに清潔感や好印象を出そうとするがあまりに、もりもりの大盛オーバー写真になっていることで本来の物件の雰囲気と乖離してしまう。
売主さんから「実際より綺麗!」とよく言われます。

・都合の悪いところは写さない
→内見してみたら思わぬ問題に気がつくことがある
「ここは写さないでください!」と言われることもあります。(破損、汚れ等)正直これはクリーニングや修繕で直ったりするのでやりすぎなければいいかなと思います。


それではなぜこんなにダメな撮り方ばかりしてるのにそれが商売として成立しているのでしょうか?

答えは簡単、そういう物件写真は集客できるから。
成約するかはさておき、問い合わせが来なければ商談の場にも立てない。だったら多少盛ってでも集客したい。
これが物件写真をプロに依頼している不動産売買業者さんの基本的なスタンスだと思います。(他にもプロに依頼される理由はいくつか理由はあります。売主さんへのやる気アピールとかね。長くなるのでここでは書きません)

会社としてはそうでも担当者によっては考えが分かれます。
商談の場にさえつければ自分のスキルでなんとでもなると考える人と、フラットな状態から商談をスタートさせたいので盛りすぎ写真は好きではない人、それぞれお話を伺ったことがあります。

それでもやはり”集客”できるのはやはり盛り写真。だから実際よりも広く見えるのも明るく見えるのも法にさえ触れなければなんでもありってなっちゃうんです。
物件に限らず食品や雑貨などでも誰しも写真にやられた〜って経験はあると思います。(私は最近お茶漬けのパッケージにやられました)
集客こそがビジネスの要ですから企業側はそうしたくもなります。

その一方でせっかく集客できても内見した時の写真とのギャップで成約に繋がらないという悩みは実際どんな会社さんにもあると思います。

そうなると、集客できるけど盛りすぎてない写真がどれほどの価値を持っているか、浮き彫りになってくると思います。

2.仕組みから見えてくる量産型物件写真の正体

そもそもなぜ上記のようなフォーマットの量産型物件写真が現在溢れているのでしょうか。

それは物件撮影会社が複数人のカメラマンを抱えて、一定の品質を維持するために妥当なレベル、言い換えればそれほどスキルが高くなくても無理なく揃えることができる品質に抑えるためです。(そうではない撮影会社さんもあるとは言っておきます)

これはどの業界にも言えることで、誰が対応するかわからない複数人の組織の中に1人だけ職人レベルの腕のいい人材がいたとしてその人が常に本気で仕事をしてしまうとどうなるか。

「この前はこんなにやってくれたのに、なんで今回は違うんだ」

接客において”あなただけに特別サービス”がダメな理由に近いですね。
料金はいつも同じなのにその日来るカメラマンによって品質にバラツキがある。それは組織が提供するサービスとして致命的なわけです。

それで手軽に品質を揃え、かつしっかりと効果のある写真を提供する方法が「とりあえず超広角レンズでローアングルでオーバー気味に撮る」こと。

こうすればたしかに集客できる写真を量産できるわけで、願ったり叶ったりです。私自身、これそのものを否定する気は一切ありません。なぜならここに需要は確かにあるし、社会とはそういう量産可能なものを広める仕組みで成り立っているからです。これまでダメダメ言ってますがこれはこれで素晴らしい仕組みだと思います。

ただ組織で品質を揃えるにあたってもっと大きな問題があります。
それは現場ごとに臨機応変な対応ができないこと。
世の中には全く同じ物件というものはほぼ存在しません。たとえ間取りや平米数が同じでも天気や方角、撮影時間帯によって撮り方は変わります。細かいところで言えばインテリアの有無、その種類、そこに存在するすべての条件によって最適な撮影方法というのは変わってきます。

会社で決められたマニュアル通りに撮ることを指示されているカメラマンはそれらに合わせ撮り方や時間帯等を変更する権限はほとんどの場合持っていません。
照明をつけるつけないも決められてたりします。「この天候条件でこのお部屋なら自然光で撮ったほうがいいのに」とか思いながらもそのまま撮ります。

もしそこで気を利かせてより良い写真を撮ってしまったら、次回以降、他のカメラマンもその技術を持っていないと先ほど言ったようなクレームにつながってしまいます。(というか自分自身そういう経験があります)

このような理由から現在物件写真業界としては、量産型物件写真がスタンダードになっているわけです。

3.それから


そう、つまりこれから私がやろうとしていることは個人でしかできないことなんです。できたとしても少数精鋭のチームが限界かと思います。(そこまで腕のあるフォトグラファーを簡単に集められない。できるとするなら指名システム)

量産型写真は大手の撮影会社さんにお任せして、私はそれでは納得いかないようなしっかりと写真に価値を感じてくださる売主さんや不動産会社さんの受け皿になりたいと考えています。
物件写真に6年間真剣に向き合い、数千件の物件を撮影し、その道を極めてきた私個人だからこそ撮れる物件写真です。

長くなってしまったのでそれがどんな写真なのかはまた次回!
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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それではまた次回の記事でお会いしましょう😸📸

あ、iPhoneで撮る物件撮影ハウツーをショート動画で発信し始めたのでよかったらそちらも見てね!さようなら〜

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