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毎日の詩、抜粋 2024年5月


2024.5.2 『毒はかわされる』
目を回らせるのは外側
回っているのは私
はじまりを意味づけしたいという強い気持ちは
このこころを
行動へと向かわせるのだ
私はいつだって自由
そして守られている
そう理解することが
この世界に結界を張って暮らすこと


2024.5.5 『”混沌の首”より』
我々が向かう世界は
欺瞞に満ちているという悲しき現実を
まざまざと見せつけられる
祭壇に飾られる生命を象る角
人々はその前で芸術的に狂う
私たちの生命は
有限のもの
死ぬもの
戦う暇などない
共にあるもの


2024.5.6 『地を舞うように』
床に這いつくばって
のけぞり返り
若い女の名前を呼ぶおっさんに
嫉妬する私
規律的であることを
無意識に自分に課しているようなことへの悲しみ
楽しみはそこだけにあるわけではなくとも
この身体が求めるのは


2024.5.9『前奏のことば』
「もう忘れたほうがいいんじゃないか?」
「いや、わかっているんだそんなこと」
「それでも出来ないのは?」
「自分というものが高貴だと思っているんだ」
「それは立派なことでは?」
「高貴でありながら、いつでも
自分を捨てられる人間でありたいと願うよ」
[捧げるための歌]


2024.5.11『人間の縁』
混濁した関係のなかから
強い絆が誕生している
その不思議な世界に差し込まれるのは
床に寝転んで開けっ広げになった感情と欲望
それはきっと解消されることなどなく
いまも胸の中でときどき燃えているのだ


2024.5.16『暗がりの不便』
扉を開いて中に入った
最初は暗闇
部屋も散らかっている
こんな場所では過ごすのは不安だと
身体が少し怖気付く
明かりは松明、気をつけねば周りを焦がす
片手は塞がり、足元は見えない
それでもそんな日々が終わる頃、、、


2024.5.19『邪悪なものを埋める』
指即刀となり
邪悪なものを切り刻む
その破片と血液を山へ埋めに向かう
ところどころ腐臭のする
世界の負の側面へと足を踏み入れることは
地上の美しさとは別のあり方の現実
そこに穴を掘って
邪悪を封印する


2024.5.22『この地で生きていく』
ここに降り立ったときの感覚が
今もこの胸に残り
車から見える景色が
私の存在を讃えている
歴史が魂に呼びかける
その言葉をまたこの地に刻むだろう
混沌の情報は私の前には現れず
ただ合目的に並ぶ現実が仲良く


2024.5.23『空の音色』
空の音色を聞く
それは澄んでいてもなおときに不穏だ
日が射した明るい旋律を聞いたかと思えば
大振りの雨がアスファルトを打ちつける激しいリズムへと
そしてそれは私たちの及ばないところで
突然に起こっていく、耳への来訪


2024.5.25『静けさの、静けさ』
失われた世界に一筋の光を
なんて言葉が似合わないほどに
悪はゆっくりと進行していくだろう
静けさは永遠と続く
無に帰すまで
一粒、また一粒と
雨が私の手のひらに落ち
わずかに体温を奪っていくさまが
一筋の光と重ならない姿よ


2024.5.30『運命の輪』
聖なる時間に神は場所を恵んでくれる
この一瞬だけの美しき宴だから
この場に眠るものと一緒に
生きていることを讃えよう
夢より来たる現実を前にして
地球は回っている
私たちの人生も巡っている
運命の輪のように


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