毎日の詩、抜粋 2024年3月
2024.3.1
音が響いている
部屋のなかで
ただ燃え続けているものは日々
救われない魂が
一緒に歌う声は虚(うつろ)だが
心に訴えかける
その隣で身体のぬくもりを
感じながら
互いの幸福を喜ぶ
男女に少しだけ嫉妬するだろう
2024.3.2
この身体のよろめきを
少しだけ高く持ち上げる
扉はそこに待っている
重たかった腰はもう軽い
誰かが、あるいは何かが運んできた
天使の羽を手に載せて
この言葉のままに世界を渡ろう
それが実りの力となれば
また一つ踏み出していく
2024.3.7
そこに埋まっているものを探索する
見つけられるものは今でこそ
見つけられるもの
過去の自分の行動が
ビリヤードで球を突いて
一斉に穴に落ちていく経験として
この心を大きく保つ
過去が増えていくことは
この連鎖の力を
増幅していくものとして
2024.3.8
久々の邂逅のように感じられて
実はそんなこともない
生きていれば話は積もっていく
語りは続いていく
だからこのコップに注がれたものの味が
私の人生をゆっくり撹拌しながら
人々のつながりは
少しずつ濃くなっていく
2024.3.10
何を求める?
そう自問自答して
私のからだに触れられた手を想う
ことばが軽やかに場を流れていく
心に届いたかな
初めから決まっていることはある
その運命は行き違いのように
だけど
虚しい一瞬一瞬がある日
濃密な時間となることを
2024.3.12
強さはときどき、絶対に必要なものだ
有事は叩きのめすという力を持つこと
それは本当の安全と本当の優しさを培うためのこと
だから背筋を伸ばし胸を張り堂々として
この世界のありとあらゆる悪に対して
調伏することを誓う
2024.3.13
「足元に広がる光景をもう一度見つめてみよ、
それは星々が輝くように美しき世界
それは一部の人にしかそう見えないのだよ
友よ、私の声が聞こえる友よ、
さらに付け加えて話そう
目を閉じても広がる光景が本当の現実だと知るのだ」
2024.3.15
今日の火が終わる
それは切なさかもしれない
あるいは始まりの喜びかもしれない
意味づけはあとからやってくるように見えて
この場で決まるものなのだ
そして幸福はただ身体の内側で循環し、
この心がやがて失われても
再び灯される火を想って
2024.3.16
承認というケア
人々が求めている形として
私はこの場に向けて問う
それは刃ではなく珠として
言葉という力はその心にゆっくりと浸透して
渇いた世界へ滲み入り
雨水はやがて生命の芽吹きの喜びとして
静かに現実を迎える
2024.3.17
落下するときの焦りは
いつもより強く感じるだろう
しかしそれは空からみると上昇かもしれないと思う、
地上に降りていくようにみえて
目に映る様々な人々の顔は
笑顔にあふれている
そこにある真実に
目を向けたいと私は願う
2024.3.19
明るい三月は
静かに登場する
地上がまだ温もりをつかみきれていない
日々のなかに
言葉があふれてくる泉があるなら
そこに向かって、
次の冬を越えるまでの苦しみを手放す
一節を携えるために
「花は咲いていく、その美しさを忘れずに」
2024.3.21
日々登り続けるこの葉葉の絨毯
太陽が照らし出す現世の行方が
今日も適切な課題と試練を用意してくれているという
期待をもっている
いずれ訪れる邪魔な存在との共存、なのか
それとも抹殺するのか
この掌には選択を握っている
2024.3.25
明るい地上の爽やかな午後は
身体の内部の健全さより来るものだ
身体は自己の世界を表現する器として
声を発する
私の力を外へ向かわせ、振り回す両手が
空を、風を受けて
開いていく
手を伸ばせば
そこには気の玉が立ち現れ
2024.3.27
進み続ける歩先に生い茂る
草木は
木々は
混濁した意識は
身体全身に気を巡らす
宇宙は死ぬまで深まり続け、
やがて空間を超越する
遠くから聴こえる
風を切る高速音が
ずっと昔から続く
生命の循環を反復させて
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?