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毎日の詩、抜粋 2024年6月

2024.6.1
『歩く先に』
上を向いて歩こう
それは星空が澄んだ空気を満たしてくれたなかで
生きていることを知るために
そのあとに
下を向いて歩こう
それは地上を彩る草花が天空を投射した
美しき模造であることを知るために
そして正面には友がいる

2024.6.2
『日々が歴史に』
消費者でしかない人間が
自ら関わりつくる側となること
一部の人にしか与えられない
人間の生きることの責任と力
継続していく歴史の層に積み重なる日々は
様々な違いを経てカタチとして結実する

2024.6.4
『独り歩むこと』
歩みは続く、学びは続く
今まで走り抜けてきた風景から
大きなことをたくさん学んだはずだと
思っていたのにもかかわらず
さらに大きな世界の存在を肌で感じること
独りではなくとも独りである
そしてそれは苦痛ではなく極めて豊かな

2024.6.5
『メチャクチャな詩』
「支離滅裂な文章のなかにも深い意味があるはずと
一生懸命に行う意味づけはもはや創造行為として
私の内的世界への大きな刺激」
そのように思っていただけるなら
私のこのメチャクチャな詩にも
価値が出てくるのです

2024.6.7
『生きていることを』
日々を思え
人を思いやれ
世界の美しさに感動せよ
私のことばが人の耳を伝って
なにかを成すのであればこそ
こころはふるえているのならばこそ
握り返す手の温かさこそ
今生きている証だと
気づかせる、この過程を

2024.6.8
『夜明け前』
夜明け前が一番暗い
このはじまりは、本当のはじまりだからこそ
暗さを体験するのだ
手探りで犬かきする
自分の身体は覚束ないものだ
何度も溺れそうになり
行く道も解らない
しかしただ、目の前に広がる海原はきれいだ

2024.6.9
『人がいる』
ずっと隣にいる人
それはこれからもいる人
ときどき会う人
会いにいけばいる人
いつかはいなくなるときが来る
さよならと言って別れた先にある
生の持続とあるいは終わり
もう会えないかもしれない
いや
それも含めて一緒にいる人

2024.6.10
『山に水が流れていって』
流れゆく
落ちてゆく
広がってゆく
いつかは淀んでいくだろうことも知りながら
傍にある山々は水を保っているのだ
大きくかかえたその力はあらゆる性質の根源
あふれ出る精気
胸いっぱいの空気は大いなるものにお返しする

2024.6.13
『蛍が光る』
生命を周囲に知らせるような光
ゆっくりとしたまばたきのような
自己主張は軽く
そしてさりげなく
大きな歌声が響くなら
私は静かに身をひそめよう
小さな小さな一瞬の時を
そうそれを見かけているものに
幸あるように

2024.6.18
『前兆とは』
そばを通る青い陰は混沌を表している
いつかその日を境に崩れ去ってしまうような
そんな出来事は前兆もなくやってくるのだろうか
朝見かけた黒猫は
足を伸ばしてからゆっくりと腰かけ
こちらを見ている
平和と不穏が渦巻きながら

2024.6.19
『仏に逢う』
仏の思考を知りながら
ただただその
人間性に感服する
私は傲慢さを省みるのだ
目の前の存在にこそ
耳をすませと
風も教える
きっと試練の壁を高くするのは

だから無駄な抵抗をやめて
武器を手放そう

2024.6.21
『緊急事態』
浮かんでいた飛行機
今まさに離陸したのだろう
旅客の苦しい声
まさかこんなところで
医師がいるかと聞いて回るCAと
ざわつく人々

神は支えてくれる
そう思おうと
きっと人はそうするものなのだ
手を合わせ祈るだけでも

2024.6.24
『流れること、いずれ止むこと』
巡り流れてつながることは楽である
楽は楽しさを生み
またそれはぐるぐると回る
私は恵まれていると
心が感じるとき
この豊かさが
徐々に失速していくときを思うと
不安が起きてくるような
人間の心の弱さが浮かぶ


2024.6.25
『呪いを解く』
呪いを解く
言葉を使い
手を使い
式神を遣わせ
この力を用いよ
そうすれば君の苦しみは晴れようぞ
ただし忘れてはならぬ
呪いは外からではない
内よりやってくるのだ
内なる悪に向き合うことよ
試練として享受せよ

2024.6.29
『掃除と暴露』
掃除を行う際に出るほこりが舞い
それを吸い込んで咳込む
一つの毒を受けてしまうように
やがてそれは比喩化するのだ
事件とは舞い上がるほこりに暴露すること
封印されていた悪を再び表へ出すこと
覚悟を決める

2024.6.30
『本が語る』
山積みにされた本は
浄化する力を秘めているのか
私へ力を授けてくれているのか
沈黙のなかで言葉を温めている
練られたその思考の過程の発するオーラは
木から来たる生命と混ざり合って
時間を超えていくようだ
“知”の森よ

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