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ネガティブなときに無理してポジティブになる必要はない。ベンガル料理を食べよう:カレー哲学の視点(12/12〜12/18)

寒さが厳しくなってきて、何をするのも億劫な季節だ。寒くなってくると南インドやスリランカの料理よりもネパールやベンガルの料理が食べたくなってくる。やたらダルバートが染みる。

2年前の年末はネパールのカトマンズで迎えた。ネパールは標高も高いので冬はかなり寒い。ネパール人は皆、偽物のノースフェイスのダウンジャケットを着ている。(ノースフェイク)

夜の便でカトマンズの空港に到着したのだが、事前に予約したホテルの扉が閉まっており絶望していたところ、隣のホテルの従業員が声をかけてくれて難を逃れることができた。そのときに出してくれたお湯がとても温かかったことを覚えている。宿泊料金はかなり高かったけど。

寒いときに無理をすると体調を崩しやすく、ちょっとしたきっかけでネガティブが止まらなくなってしまうことがある。そういったときは、決して無理する必要はない。漠然とした将来の不安や、それを打ち消すために立ち上がってくる根拠のない自信はすべて妄想だと知る。調子が悪いときはおそらくカレーか睡眠か運動か知識、またはその複数が足りていない。

ネパールのルンビニではブッダの生誕地を見てきた。ルンビニは飯はまずいが世界中の佛教寺院が集まっていて興味深い場所だった。

ブッダはネガティブな反応に対して、無理にポジティブになる必要はないという。ただその反応を起こしている自分を見つめ、静かに観察し、気づくだけでよいのだ。
その訓練が瞑想となるのだが、食事をするだけでも瞑想をすることはできる。心を込めて落ち着いてカレーを食べることが全て心をニュートラルに戻す修行になる。カレーを食べる味覚、嗅覚、触覚、温度、全ての感覚がアンカーになる。
今日も集中してカレーを食べる。その感覚に集中する。無理してポジティブになる必要はない。せいぜい無心まで持っていければ上出来だ。

西ベンガルゼミ活動レポート



プージャーのベンガル料理で感動した

町屋のプージャーに久しぶりに訪問した。町屋のあたりは下町の雰囲気が広がっていて素敵ですね。
このときいただいたスズキのマスタードカレーとアルポシュトがとても美味しくて、これを目指してあれこれ作っているけどやはりそう簡単に再現できるようなものではない…。

濃厚甘ヨーグルト、ミシュティドイ。

スズキのマスタードカレー。マスタードがキツくなく、なめらかでおいしい。

ベンガルの濃厚なチャイ。スパイスはほとんど使っていなくて牛乳だけで作っている?塩分も感じられて、甘じょっぱいキャラメルのようなチャイだった。


アルポシュトを作った

ベンガル人がこれを食べないと一日が始められないというものはじゃがいも(アル)と芥子の実(ポシュト)を使ったアルポシュトという料理で、毎日のようにこれを食べるらしい。
芥子の実をなめらかなペーストにするのが難しかったのだがお湯に浸したあと、青唐辛子と一緒にミキサーにかけるとなめらかになる。
芥子の実はナッツ感があり、香ばしさもあり、脂肪分も多いのでマヨネーズのような濃厚さもありおいしい。ポテサラのようでもある。
人はみな、それぞれの阿片窟に住んでいるのかもしれない。


ラナンクルスに行った

歌舞伎町の外れの方で間借り営業されているラナンクルスさんにお邪魔した。出汁が利いたダールと、出汁が効いて歯ごたえのあるキーマカレーは美味しかった。
出汁を活かすために穏やかなスパイス感にしてあり、丁寧に作られていて美味しかった。


鮭のココナッツベンガル風ビリヤニを作った

コルカタの人が出しているレシピをアレンジして作ってみたビリヤニ。実際にコルカタに行ったときにエビの入ったココナッツミルクビリヤニを食べたことがある。
このビリヤニは、ココナッツミルクでグレイビーを作り、湯取りしたライスにもココナッツミルクをまぶしてからダムするというやり方をする。
ココナッツミルクの分、ライスがかなりぼんやりするが、一風変わったビリヤニだ。今度レシピ書こう。


ゼロワンカレーA.o.D.に行った

田町のゼロワンカレーに久しぶりに行った。ここはテーマパークみたいで楽しいですね。
鹿のキーマカレーと牡蠣のカレーにしたのですが、どちらもおいしい。なめらかで、意味のないスパイスを使いすぎていないのがよい。
ダールとサンバルとラッサムをセットでつけたのだがこれらが面白い。ケーララのホテルの味がベースらしいのだが、他ではなかなか食べられないものだと思う。

ゴビ65を見るとついつい頼んでしまう主義者なので頼んでしまった。ゴビの先の脳のような部分だけに衣をつけて揚げていて、チーズのような風味がある。赤いチャトニはマンチュリアンのような中華っぽい味わいがして、グリーンの方はミントやパクチーを使ったインドっぽい味だった。いいですね。

ノンアルで一人で豪遊してしまったが、カレーと真剣に向き合える豊かな時間だった。


西ベンガル料理をたくさん作った

12月は西ベンガル料理をずっと作り続けている。

土曜日は料理をめちゃくちゃ作る日だと決めているのでたくさん作った。西ベンガル料理で作りたいものを並べ立てて、片っ端から。


一週間のまとめ


今週の土曜のように、何人かで集まり、担当を決めて手分けをしながら料理をするという会を今年は何度も何度もやってきた。最終的な仕上がりをイメージしてメニュー構成を考え、レシピを調べ、買い出しをし、自分も手を動かしながら他の人をヘルプし、一つのターリーへと仕上げていく。
それは一つのプロジェクトであり、遊びである。ほぼ初対面のような人ともいきなり一緒にカレーを作ってきた。
キッチンの中での動きや食卓での振る舞い、作った料理にはその人となりが多く反映される。他人の動きを通して、自分の雑な性格と料理の解像度の粗さを思い知ったりする。

今年は一年中そんなようなことをやってきて、自身の考え方も動きも、大きく変わったようなそんなに変わっていないような。
なんにせよありがたいことです。いつかこんな日々を懐かしく思うときが来るのでしょうね。


購読者限定パート


来週はクソクリスマスもありますが、何も予定がない私はインド料理でも作りまくろうかなと思っています。クソ!

土曜日に作った西ベンガル料理のレシピリンク集を限定部分に置いておきます。書きたいことがいっぱいあるのに身体が全然ついていかない。

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