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ネパール料理のnote ー食べる編ー 【東京マサラ部活動レポ】

東京マサラ部では、一か月ごとにテーマを決めて様々なスパイス料理の自作に取り組んでいます。11月のテーマはネパール料理ということで、いわゆるカレー料理だけに限定せず、様々なネパール料理を作ってみましたのでレポします。


ネパール料理とひとくちで言ってもその射程はかなり広いです。日本で最も馴染みがある、よくあるインド料理店(いわゆるインドネパール料理店)を経営しているのはネパール人であることが多く、インドカレーっぽいメニューの中にこっそりとネパール料理が混ざっていたりします。



近年では新大久保のネパール人街など、安価にネパールセット(ダルバート)が食べられるネパール料理専門店も増えてきています。

ダールとシャバいカレーで一気にご飯を食する感覚は、庶民的ですが爽快感すらあります。

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そういった大衆的なネパール料理店とは反対に、新しいトレンドとして高級路線でコース料理を出すような新しいネパール料理店も複数出現し、ネパール料理のうねりはますます盛り上がりを見せています。

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本記事はそうしたお店での食べ歩き体験に加えて、ネパール料理を自作してみた記録やカトマンズ、ルンビニ、ポカラでの旅の記憶も交えて、ネパール料理についてあれこれご紹介していきます。

構成としては、ネパールを実際に旅して食べてきたダルバートと価格の相関関係について考えた後、ネパール料理店がなかなか潰れない理由について赤裸々話を。

それから新大久保界隈のネパール料理店を、閉店したものも含めて確認できる範囲で31店舗紹介しています。

最後に新しいトレンドであるモダンネパール料理の体験について触れ、この前編は終わりです。

後日公開する後編では、東京マサラ部室で実際に作ってみたネパール料理たちについての試行錯誤の過程やレシピを中心に書いていきたいと思います。


本記事はカレーシェアハウス応援マガジン「東京マサラ部、インドを作る」購読者向けの限定公開記事となります。

・場としてシェアハウスが発展していく様子
・インド亜大陸料理のDIY
・カレーと人間の関わり


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ネパールの旅の記憶:ダルバートと価格

ネパール人の食事のセットメニューとしてはダル(豆のスープ)とバート(ごはん)がセットになったダルバートが有名だが、日本のお店ではネパールセットカナセットという名前で呼ばれていることが多い。これは、「ダルバート」と言ってしまうと「みそ汁とご飯のみ」のような貧相なメニューを連想させてしまうからだそうで、あまりネパール人はダルバートという言葉は好んで使わないらしい。

しかし、通称としてのダルバートダルバートタルカリ(タルカリはおかず)という言葉も一般的になって来ていて採用しているお店も多い。わかりやすいので本稿でもダルバートという言葉を使うことにする。

ネパールを訪問したのはもはや2年前のことになる。2018年の年末にカトマンズに入り、クリスマスをよくわからないファンクなミュージックバーで過ごした後ルンビニとポカラへ旅をした。(年越しの瞬間は寒すぎる部屋で一人、漫画を読んでいた。)

もちろん、どこでもダルバートを食べていたのであるが一口にダルバートと言っても多くのバリエーションがあり、価格が高ければ高いほどおいしいわけではないというのは一つの発見であった。

一番高かったダルバートはBhojan Grihaというカトマンズからちょっと離れた場所にあるお店で、遺跡を象った素敵な建物だったのだがめっちゃハエが飛んでいた。コースのダルバートは3000円。街中のダルバートは150円くらいから食べられるので実に20倍の値段となる。しかしその分20倍美味しかったかというとよくわからず。

ウェイターが出てきてサーブしてくれたレストランはネパールではここだけだった。

ネパールのダルバートは値段が高ければ高いほど水分が少なくなるらしく、ダルはドロドロでご飯に合わなくなってくる。確かに高級感はあるような気がしたが、夜は民族舞踊などもあるようなのでどちらかというと雰囲気を楽しむお店という感じがした。


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安いものは本当に100円くらいでも食べられてしまうが、安ければ安いほど汁気が多く具が少なくなり、塩分も上昇し味が濃くなっていく。一番まずかったのはルンビニで食べた100円くらいのベジのダルバートで、ダールに豆がほとんど入っていない、塩を溶いた水のようだった。

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タカリ族は料理上手、ビジネス上手で有名だが、一番美味しくて記憶に残っているのも料理上手で知られるタカリのダルバートだった。それはカトマンズのタメル地区にあるタカリ族のレストランThakali Bancha Gharで食べたもので、お値段にして500円くらい。ダル、マトン、豚の干したやつ、グンドゥルック、サグ炒めなどおかずが多く、塩気もバランスが取れている感じ。

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