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ビハールのハードパン「リッティーチョーカー」を作ろう【レシピ】

ビハール州はインド北部に位置し、地理的に北インドと東インドの中間にある。豆の煮込み料理ググニや各種の揚げパンや菓子が有名であるが、なんといっても一番に思い浮かべられる名物は「リッティチョーカー」である。

リッティーはローストしたひよこ豆の粉でできた詰め物を全粒粉の生地で包んで焼いた「おやき」みたいなもの。チョーカーは焼いた野菜をマッシュしたバングラデシュの「ボッタ」に近い料理。

メンバーシップ「東京マサラ部オンライン」ではテーマを決めてインド各地の現地料理や伝統料理を毎月研究しています。
今月はビハール州とウッタルプラデーシュ州の料理について発信していきます。

ビハール州は仏教の生まれた地でもあり、古代にはマガダ国が栄えた。リッティーは紀元前4世紀ごろから食べられているという記録もあり、作り方を見ればわかるが台所がなくても調理可能なものだ。かつてのインドには近代的なキッチンなどはない。包丁も使わず、焚き火やカマドを作ってうずくまって料理をしていたのではないだろうか。キャンプとかで作ってもいいかもね。肉食べたいだろうけど。

グリルで焼いたリッティーとナストマトのチョーカー、じゃがいものチョーカー。素朴なパンだが香り高く、野菜のうまみとマッチする。


時間のある休日や、たまたま牛糞燃料が手に入ったタイミングには、ぜひリッティーチョーカー作りに挑戦してみよう。もしかしたらブッダも食べたかもしれない古代のインドパンに思いを馳せるのだ。


リッティーチョーカーを作る

リッティチョーカー(Litti Chokha)は一つの料理ではなく、丸い全粒粉パンの「リッティー」と付け合わせの「チョーカー」の定番の組み合わせ。

リッティーはビハールやウッタルプラデーシュでよく食べられている全粒粉生地で詰め物を包んで焼いた球状のパンだ。ラージャスターンの「バッティー」と混同されることもあるがバッティーは中に詰め物が入らない。こちらも「ダールバッティ」として定番の組み合わせとされている。

これはバッティー

リッティーの詰め物としてはsattuと呼ばれるひよこ豆の粉、ニンニク、生姜、コリアンダーリーフ、アジョワン、カロンジ、レモンなどがよく使われる。伝統的には牛糞燃料の灰で焼かれるが、オーブンや直火で焼いたり、油で揚げて作ることも。sattuはローストしたひよこ豆を粉にしたもので栄養成分が豊富なため、ビハールの人たちは「スーパーフード」と称し、毎日さまざまな食事に使っている。

チョーカーはバングラデシュの"ボッタ"にもよく似ているが、なす、トマト、じゃがいもなど複数の野菜を焼いて、単体またはミックスしてマッシュしたもの。マスタードオイルや青唐辛子を使う。

まずはLittiを作る

シンプルに粉と塩だけでもできるが焼いた後に固くなりがちなのでギーとベーキングパウダーを使う。これらを入れることでさっくりと崩れやすくなる。

Littiの材料(9から10個分)

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