見出し画像

ケーララ州カリカットでオーナムサッディヤを食す!

毎年8月末から9月初めは南インドケーララ州の最大のお祭りとなる。その名もonamといい、マハーバリ王が年に一回帰ってくることを祝福する収穫祭で、プーカラムという花で作った魔法陣のような装飾が至る所に溢れる。

ケーララ州Kozhikode(いわゆるカリカット)を訪れた時のタイミングにちょうどオーナムが重なり、オーナムサッディヤ(豪華バナナリーフミールス)を食べることができた。
街はお祭りムードでウキウキ。祝日もあり、至る所でオーナムセールが開催されている。お正月の特売みたいなものだろうか、ショッピングモールは幸せそうな顔の家族づれで大混雑していた。辛気臭いニュースが続くニポンと比べて人々の勢いがよく、国としての熱量の違いを感じざるを得ない。

プーカラムはセーブポイントっぽいが、うっかり踏むと怒られる。

サッディヤとは

サッディヤはケーララの言葉で「宴会」を意味し、伝統的に重要な意味を持つ食事だ。サッディヤ自体はベジの宴会料理を意味し、年に数回食べられるが、年に一度のオーナムサッディヤは特に気合の入ったご馳走料理となるようだ。
オーナム祭のサッディヤにはバナナリーフミールスの上に少なくとも20種類以上のアイテムが乗る。多い場合は50を超えてくることもあるという。
お正月のおせち料理のようなもので、かつてケーララの人々は近所同士で泊まり込みで料理を作って過ごしたという。伝統的にはオールベジだが、近年ではノンベジの料理が多少入ることもあるらしい。
この時期になると多くのお店が趣向を凝らしたサッディヤを用意し、オーナム商戦を繰り広げている。

今回はお店でも家庭でもなくケーララ州政府観光局のツアーの一環としてカリカットのホテルのレストランで用意してもらったオーナムサッディヤをいただいた。家庭やお店によって異なるバリエーションのメニューや味付けがあると思うが、一例の紹介になる。

一同勢揃いで食べる
途中経過


オーナムサッディヤの実食メニュー

画像1

紙コップが6種類あるが、中身は左から以下のように並んでいた。’
Pathimugum パティムガン水(薬用の赤い水)
Semiya payasam/Palada pradhaman/Pazha Pradhaman 3種類のパヤサムなど甘味。徹底的に甘い。
Kerala rasam ラッサム。低刺激なのがケーララっぽい。
Pacha moru バターミルク

他のアイテムは左の奥列から、
Cabbage thoran キャベツのトーラン(スパイスの炒め物)
Mathanga Erissery カボチャとロビアのエリセリ(カボチャとココナッツのペースト状煮込みj)
Avial アヴィヤル(ミックス野菜のヨーグルトココナッツ煮込み)
Olan オーラン(塩なしのココナッツミルク煮込み)
Kalan カーラン(ヤムイモ、ココナッツ、ヨーグルト)
Kootu Kari クートゥカリ(豆のドライ)
となる。

左手前は
upp
Puli Inji プリインジ(生姜とタマリンドの煮詰めたやつ)
Naranga achar レモンアチャール
Manga achar マンゴーピックル
Uli theeyal シャロットティーヤル(ウリ・ティーヤルともいう。)
Grape pineapple kichadi グレープとパイナップルのキチュディ
Curry cucumber pachadiカリーキューカンバのパチャディ
が並ぶ。

揚げ物系はゴーヤ、カードチリ、それとバナナチップが2種類。バナナチップは素揚げっぽいやつとジャガリーの糖衣コーティングの両方が乗っかってくる。

米はポンニライスマッタライスの2種類が順番に出てくる。ご飯の上にはサンバルパリップギーが乗る。もちろんアッパラムも。


一応儀礼的な食事なので食べ方のルールがあるらしいのだが特に何も言われなかった。基本的には左側のドライアイテムから順番に食べていき、一通り食べ終わったら好きな組み合わせを作って食べ進めていけば良いようだ。

まずは揚げ物系から食べる。糖衣のバナナが美味しい。素揚げバナナはココナッツオイルの香りのクセが強い。

豆を煮ただけのようなシンプルなダールとギーを纏ったふかふかのポンニライスにプリインジで少し酸味のアクセントを与えるだけでかなり美味しく、手が止まらなくなる。もうこれだけでいいや、と一瞬思ったが他のおかずにも手を伸ばす。カボチャとロビアのエリセリが旨味が強い。ココナッツローストが旨味を醸し出し、なんだか唐揚げのような味がする。

ブドウが皮ごとごろごろ入っているグレープとパイナップルのパチャディには驚いた。日本だったらデザートのような内容だが、ご飯にかけて他のおかずと混ぜ合わせてもしっかり美味しい。

とても品数が多いが、組み合わせを試しながら食べ進めていくとずっと楽しめる。
この日は午前中にプレスインタビューなどがあり時間がなく、かなり急かされた食事だったので心ゆくまでゆっくり楽しめなかったのは残念だ。

都内でサッディヤが食べられるお店

毎年この時期には都内のケーララ料理店でもチラホラオーナムサッディヤを開催している。次食べられるのは来年2023年かもしれないが情報をまとめておく。

とら屋食堂(西荻窪)

要予約で、かなり品数の多いオーナムサッディヤが楽しめる。


ケララバワン(練馬)

毎年5月の周年記念サッディヤと9月末のスペシャルに登場するオーナムサッディヤがある。


カレーリーブス(十条から錦糸町に移転)

サウスパーク(浅草・大島)

サウスパークでも毎年オーナムサッディヤを開催している。移転した浅草の方で主にやっているのかな。要確認。


告知

10月から「東京マサラ部オンライン」にて1ヶ月チェティナード料理研究をやります。興味ある方は是非ご参加のほどよろしくお願いしまーす。


ここから先は

1,432字

いただいたサポートは全てカレーの材料費と東京マサラ部の運営資金となります。スキやSNSでのシェアもお願いします。 インド料理やカレーの本を出したいです。企画案がたくさんあるので、出版関係の方、ぜひご連絡ください。