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カレー哲学の視点(21/7/4〜21/7/10)

文章を書くリズムを作るため、何も考えずに毎週日記を書くことにした。主にカレーを食べた記録とカレーを作った記録、カレーについて考えた記録。

推敲も校正もせずに気軽に更新するnoteです。
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日曜日

久しぶりにゾロアスター教徒のカレーを食べた。ゾロアスター教は世界で最も古い宗教であり、インドに住むゾロアスター教徒はパールシー(ペルシャ人の意味)と呼ばれる。ムンバイにゾロアスター教徒の中心地がある。ターバンで有名なシーク教徒やパールシーは政治的、経済的に影響を持つ人も多く、インドの大財閥TATAのトップはパールシーらしい。

「意味」というのは目に見えないが、与えられるとうま味が増す調味料である。ゾロアスターのカレーというものが本当にあるのかわからないのだが、それっぽく言われると「そうなんだ〜」って美味しく感じてしまうよね。

飯能というのはなんだか不思議な土地で、一見普通の街なのに、いきなりおかしな光景が出現したりする。時空の歪み。

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月曜日

スリランカ料理に使われる土鍋、ワラン。使う前の処理として、ココナッツオイルを塗り込み弱火で加熱する工程が欠かせないみたい。でも加熱していったら普通に割れて使えなかった。

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そういえばジャンナットのオーナーはスリランカ人らしく、そういう目で店内を眺めてみると意外なほどスリランカ成分に溢れていることに気付く。スリランカのビスケットがおいしい。

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先日までタミルのことばかり考えていたのに、7月に入ってからというもの毎日がスリランカに侵食されている。

スリランカ料理は使うスパイスの種類がとても少ない。

よく使うものとしてはターメリック、チリ、クラッシュドチリ、カレーパウダー、ローステッドカレーパウダー、ローステッドフェヌグリーク、モルジブフィッシュ、カレーリーフ、ランペくらい。

スリランカでフェヌグリークっていうときには基本的にローストしたものを指す。こういうはじめから省略されている情報ってある程度背景知識がないと気づきようがなくて、レシピってかなりリテラシーが試される領域だなって思った。

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毎日スリランカの味噌汁的存在、パリップをつくっている。これがうまく作れないとお嫁にいけない。スリランカ料理はあまり炒めない事が多い。とにかくほっといて煮込んで、仕上げにココナッツミルクを入れる。

スリランカ料理は南インドと似た材料は使うけど、まるっきり別物、インドとはまったくちがう外国の料理だと考えたほうが良いくらい違う。調理工程には違和感しかなくて、レシピをなぞるたびに勉強になる。

パリップのレシピを何パターンか試し、タミル人が多いジャフナのパリップのレシピも試してみたのだが、パリップはパリップであってやはりダルではないようだ。

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最近、主食も毎月変わる。スリランカの赤米と短粒米キーリサンバライスをよく食べている。ポンニライスとかにも共通するニオイだが、この独特なニオイって一体何なんでしょうかね。

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火曜日

毎日カレーなのは別に飽きないのだが、たまに人が作ったカレーが食べたくなる。近隣にある、日本人が営む創作ネパール料理屋に行った。ネパールで長年修行をされていたひとらしいのだが、見た感じ日本人なのかネパール人なのかわからない。不思議な雰囲気のあるお店だ。

コリアンダー煮込みチキンカレーを食べた。

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家にある電球や蛍光灯が、なぜか同じ周期で終わりを迎える。一つが終わると一度に他のものも寿命を迎えるのはなぜなんだろうか。

dancyuを読んだ。
今年のdancyuは内容がより現地寄りになっているし、巻頭や表紙がレンチンカレーになっているなど明らかに流れの変化が起きている。それにしても「スパイスカレー」のお店としてスリマンガラムが紹介されたりするのは違和感しかない。言葉は私達をまやかしている。

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水曜日

月火水はずっと仕事でほとんど家から出られず、夜は毎日スリランカ料理を作っていたが、野菜中心で優しくて毎日食べても飽きない感はある。

スリランカではギーはほとんど使わないらしいけど、Amulの缶を開封したので容器に移した。そういえば、水牛の成分と乳牛の成分が混ざっているらしい。

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木曜日

久しぶりに池袋のエーラージに行った。お目当てのサバとマンゴーのカレーは売り切れていた。100食くらい作っても同じお客さんが何度も食べに来るからすぐなくなるらしい。マンゴーが入荷される季節しかこのカレーは作れないからもはや来年まで待つしかないという。

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ドーサの焼くスピードなどはさすがで、一瞬で完璧なドーサが出てきた。サンバルは酸味が強い。イドゥリはもちもち系でタミル系に多い感じ。予めサンバルをかけて出されるのは何かのカモフラージュだったりするのだろうか?

煮干しのカレー、カルワットゥコランブが特に美味しかった。まるごとにんにくが煮込まれている。レバーウプという名前のものはウプカリに近いのかと思ったがそうでもなかった。ラージさんは色々なところで修行してきているらしいので他のものも混ざったりしているのかな。


金曜日

バナナリーフ包みを食べた。実は、バナナリーフ包みはランプライスとは厳密に区別されているようだ。

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これは厳密にはバナナリーフ包み。中身はというとビーツのキラタ、エリンギのテルダーラ、小松菜の炒めもの、カトゥレットゥ、なすのモージュ、チキンカレーなど。アツアツでおいしい。スリランカでは実際あまりきのこって食べないらしい。

ランプライスはrampraisというオランダ語で、伝統的には

・キーリサンバライスとレモングラスを使ったギーライス
・Lampara curry (豚、牛、羊のミックス肉で作ったカレー)
・タマネギの佃煮的なシーニサンボル
・なすのモージュ
・カトゥレットではなくビーフフリカデル(ミートボール)
・揚げたゆで卵
・青バナナ
・エビの入ったチリソース

という構成が基本で、これらをバナナリーフに包んでオーブンで焼く。
でも、一部が別のものに置き換えられたりとか省略されたりとかもあるらしい。どこからどこまで置き換えたらランプライスではなくなるんだろうか。テセウスの船。

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ついでにラストモンスナックも決めた。
記憶の中の三倍増しくらいでシャバシャバだった。酸味が特徴的で、文化の薫りがするカレー。Fishmansのドキュメンタリー映画を観た。舞台挨拶付きであった。


土曜日

マグロのアラでアンブルティヤル(anbul thiyal අඹුල් තියල්)。そのまま酸っぱい魚料理の意味。

ゴラカのペーストや大量の黒胡椒で魚を煮込んだもの。スリランカは都市部以外には基本的に冷蔵庫がないので、ちゃんと調理すると常温で一ヶ月くらい持つらしい。さすがに怖いので冷蔵庫で保管します。

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ベジのアイテムが複数種類あり、見た目がカラフルになるとスリランカっぽくなる。

・人参のサンボル
・なすのモージュ
・なすのカレー
・パリップ
・いんげんのキラタ
・ズッキーニのテルダーラ


ゴラカとタマリンドとコカムは似たようなやつらだけどちがっていて、今度改めてまとめてみたい。

ゴラカはガルシニアとも呼ばれる実を乾燥させて燻製したもの。肉や魚料理の臭み消しや酸味つけに使われる。

おなじみのタマリンドはマメ科の植物で、日本ではエキスのペーストか果肉を集めたブロック状の形で販売されている。スリランカではタミル系の人々が主に使うらしいけどシンハラ系の人々はあまり使わないらしい。

タイ産とインド産とスリランカ産をそれぞれ試してみたが全然味が違った。端的に言うとタイ産は甘すぎてスリランカ産はすっぱすぎる気がする。それぞれでうまいこと使い分けられるようになりたい。

コカムはマンガロールとかでよく使われていたがマンゴスチンの仲間。種から作られるコカムバターというのが色々な効能を持つ薬のような扱い。



登場したレシピやお店の情報


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