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#今週の東京マサラ部室(10/18) 三種類のキーマ研究

カレーシェアハウス【東京マサラ部室】で作った料理や活動の履歴を毎週淡々と残していきます。(なるべく月火の更新を目指していますが、時空のはざまに巻き込まれることもしばしば。おゆるしください。)


カレーシェアハウス【東京マサラ部室】は特にクローズドな場所ではなく、誰でも遊びに来れますが、まだ住む環境が整っていないので開放していません。本格始動は11月以降になりそうです。

※ルールは随時追加されていきます。消毒と人数制限、ソーシャルディスタンスの確保、換気は励行しています。


今週のマサラ

キーマ(क़ीमा) 
キーマはヒンディーでひき肉を意味する。宗教の関係もあり、たいていマトンキーマかチキンキーマだけどたまにビーフキーマもあったりする。ひき肉は入手性もよく手軽で美味しいのだが、キーマカレーというとなんだか脇役というか安牌として扱われがちな気がする。しかし実はとんでもなくおいしくなるポテンシャルを秘めたなかなか奥が深く難しい食材だと思う。


インドではキーマは家庭では食べられている割に格が低いものとみなされ、来客や格式高いレストランで出すには相応しくない料理として扱われているらしいです。
なぜか。ひき肉はそもそも上等な肉を切り出した後に残った端の部分を食べやすいように挽いたものだし、別の種類の肉や室の悪い肉、肉以外の材料が混ざっていてもわかりにくい。そういった理由で信頼できないというのが主な理由だそうです。

というのが自分の知っている通説だったのですが、こういう説もあるらしいです。

たしかに召使いがいるようなロイヤルな状況では材料の信頼性も担保できるので、手間の分高級な肉になるのだと考えてよいのかもしれません。何にせよ、スーパーで買ったのではなく、自分で挽いたり包丁で叩いた肉を使ったほうがおいしいというのは確かですねえ。

そういえばムンバイを旅したときに朝食で訪れたローカルの食堂で食べたキーマとパロタは最高でした。食べ終わった後に台拭きと食器拭きが同じ布を併用という厳しいローカルルールを見せつけられたけど、それも一つのスパイスだと思います。

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3種類のキーマ

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日曜はキーマ研究会を実施。3人で三種のキーマを作ってみました。

検証ポイント
・スーパーのひき肉でなく、自分で挽いた肉はうまいのか?
・ムンバイ式とハイデラバード式のキーマのレシピ、何が違う?
・キーマといえばキーママタルやアルーキーマが定番だが、なんでいつもグリーンピースがセットなのか?


方法
・鶏もも肉をフードプロセッサーで挽いてチキンキーマを作ってみる。
・マトンキーマはハラルマートで冷凍のものを購入したが、ムンバイ式とハイデラバード式を比較してみる。

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①カシミール風チキンキーマ
肉自体はスーパーで買ったものでも、鶏もも肉をフードプロセッサーで細かく挽く一手間を入れることで、普通にひき肉の状態のものを買うよりしっとりとした仕上がりになりました。
カシミールだと本来はハンマー(木槌)で叩いて細かくしていくのだと思うのですが、フードプロセッサーで作るのとはやはり違うのかもしれません。すりつぶすように細かい仕上がりになりそう。
最初の油の量をやや多めに入れ、さらにヨーグルトなども加えることでじわじわと油が染み出てくるキーマとなりました。


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②ムンバイマトンキーママタル
マトンキーマはハラルマートで買った同じ冷凍キーマを使って二種類を作り分けてみました。もともとはムンバイのキーマパウ用のレシピです。

ひき肉を加えた後の混ぜ方が足りず粒が大きめになってしまったせいもありますが、羊のうまみがダイレクトに伝わってくる、大粒で歯ごたえがある仕上がりとなりました。


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③ハイデラバーディマトンキーマ
ハイデラバーディスタイルは、ムンバイスタイルとほとんど材料が同じですが、まずひき肉をヨーグルトやスパイスとともにマリネし、手でよく練る工程が入ります。

その分肉のつぶつぶ感が細かくなり、柔らかい食感に。反面、表面がヨーグルトでコーティングされたようになり、ムンバイスタイルに比べると若干スパイス感が遠く感じられるような気がしました。

今回は以上3種を作るだけで終わったので、後日改めてそれぞれの肉にフォーカスする会をやってみたいと思います。
他にも気になるのが鹿や猪などの肉を使ったキーマ。ジビエはキーマと相性がよいと言われますし、ネットでだいたいのものは手に入る世の中になったので色々と試してみたいですね。

結局、グリーンピースがキーマにセットとなっている理由はよくわからない。


----✁----✁----今週の袋とじ----✁----✁----

以下、袋とじパートになります。(カレーシェアハウスへの応援になります!)

レシピをもとに、ムンバイスタイルとハイデラバードスタイルのキーマについてちょっと掘り下げてみます。

今回は、同じシェフの別のスタイルのマトンキーマ2つを比較してみた。


A.ムンバイマトンキーマ

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