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東京マサラ部32.『ジャッリカットゥ牛の怒り』を観て水牛を食べた(レシピ有り〼)

7月17日より公開予定のインド・ケーララ発の映画『ジャッリカットゥ 牛の怒り』試写会に参戦してきました。映画の影響で水牛が食べたくなったので、お昼休みに買って来て水牛カレーを作りました、という話です。

「牛」というタイトルではありますが実際に登場するのは水牛。でもなんか「水牛の怒り」だとイマイチ、シマらないですね。

ジャッリカットゥはタミルの牛追い祭りで、群衆で雄牛を取り囲んで角やこぶを掴んだりする競技ですが、毎年死者が出るほど激しいらしいです。この映画はケーララが舞台だけど、この記事によると地理的にタミル・ナードゥにもほど近い場所のようです。

分類的にはスリラーとかパニック映画になるらしく、よく見かけるインド映画のようなダンスとかラブロマンスとかの要素は皆無。ひたすらオジサン達が走り回っている、疾走感と体力にあふれる映画でした。

蟲や生き物が蠢く映像に人間の雄叫びを早回ししたような音を重ねるシーンが途中途中で挟まれ、そこはかなりサイケみがあります。全体的に全く楽器を使わない音楽が使われており、そういう見方も面白いのかも。

あらすじを簡単に説明しますと、肉屋が仕留めそこなった水牛が逃げ出し、村のあちこちを壊し暴れまわる。村中が大変な騒ぎになり、総出で水牛を仕留めにかかる。しかし退屈な奴らは祭りを求めるのか、騒ぎに便乗して隣の村の暇なやつらが駆けつけたり、エゴイストな登場人物のそれぞれの思いが交錯したりして騒ぎは大きくなるばかり。

暇そうな野次馬が次から次へと出てきて密集する雰囲気がとてもインドっぽくて、なんだかとても懐かしい気持ちになりました。

長閑でトロピカルな村で、ゴムやスパイスが栽培される穏やかな日常の風景から始まるのに次第にカオスさが加速し、実は人間こそが一番野蛮なのではないかという衝撃の結末を迎えます。


ケーララの水牛料理とタピオカ

映画を観ていたらケーララの水牛のカレーを作らなくてはという気分が高まってしまい、在宅ワークのお昼休みに水牛の肉を買ってきてカレーにしてみました。

最近、日本でもオージーバッファローが出回っていますね。ネパール料理店でも地味にバッファロー肉が流行っています。

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東京マサラ部の今月のテーマがちょうどケーララ料理のため、料理観点でも参考になるシーンがありました。特に、劇中でことあるごとに登場していたのが「水牛のカレー」「カッパ(タピオカ)」という言葉。


インドにおける水牛

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これは牛でなくて水牛

インドでは基本的にbeefの肉というと牛ではなく水牛(バッファロー)の肉が使われていることがほとんど。州によっては牛肉を所持しているだけでタイーホされることもあるようですが、ケーララではキリスト教徒とイスラム教徒が多い関係もあり牛も屠殺が許可されているみたいです。でも、水牛の肉もよく食べるらしく、ストリートフードの定番だとか。

水牛は牛と似ているけど交配できない程度には全く別の生き物で、コブのある牛は神様の使いとして丁重に扱われているのに対し水牛はマヒシャ(悪魔)の化身として嫌われるなど、扱いの差がすごくてかわいそう。

スイギュウの乳はウシのミルクに比べて脂肪分が高く、Amulギーの材料にも使われているので、知らず知らずのうちに日本でも摂取している可能性が高いですね。鉄分ミネラルなどの栄養も豊富なようです。

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Amulのギーには乳牛と水牛のミルクが50対50でブレンドされているらしいです。


カッパ(Kappa കപ്പ)

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フリー素材キャッサバ芋

ケーララの言葉でタピオカ=キャッサバ芋はカッパといい、主食として食べたりビリヤニの具にしたりします。練馬のケララバワンでは畑で自ら栽培し、カッパ料理を度々提供しているとのこと。頭が下がりますね。

カレー哲学はJKなのでタピオカには目がなく、なんとかして入手してみたかったのですが生のキャッサバ芋は国内では生産が限られ、一時期しか販売されていないようですね。群馬県のブラジル人コミュニティでよく食べられているらしいですけど。(キャッサバは中南米原産)


レシピ:ケーララの屋台風水牛カレー

ケーララの屋台風水牛カレーです。パロッタなどと一緒に食べるといい感じです。ほぼ玉ねぎの甘味とコリアンダーとチリの香りで構成されています。

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材料:
・水牛500gを解凍してよく洗い、一口大にカット
・玉ねぎ500g  →ケララ切りで薄くスライスする
・青唐辛子 小サイズ2本
・ココナッツオイル 大2
・細切り生姜 15g
・カレーリーフ 1枝分(8~15枚くらい)
・塩 小さじ1(8g程度)
・湯250cc


[グラインドするもの]

・ブラックペッパーホール  小さじ1
・カシミールチリパウダー 小さじ1.5
・コリアンダーパウダー 大さじ1
・ターメリックパウダー小さじ1/4
・フェンネルシード 小さじ1/2
・カルダモン 2粒
・スターアニス 1(花びら1枚)
・カシアシナモン 小片 (1g程度)
・クローブ 2
・にんにく30g  
・生姜15g  

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作り方:
・鍋にココナッツオイルを熱し、玉ねぎ、生姜、青唐辛子、カレーリーフを入れて炒める。玉ねぎがしっかり茶色になるまで中火で約10分、焼き付けるように炒める。
・その間に[グラインドするもの]をスパイス類からまずグラインドし、細かくなったらにんにく生姜も加えて少量の水を足しながらペーストを作る。
・玉ねぎが炒められたら出来上がったペーストを加え、油が分離するまでよく炒める。
・肉を加えて炒め、塩と湯250ccを加える。
・蓋をして肉が柔らかくなるまで煮込む。圧力鍋なら20分程度、普通の鍋なら水を足しながら弱火で2~3時間ほど。

冷凍肉なのもあると思うが、マリネしないと水牛肉はなかなか柔らかくならないようです。2日ほどマリネしてから圧力鍋にかけるコンボで再度試してみたい。


レシピ再考:



参考:


ケーララ料理の概観(ここからが本番)

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