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2021年時事予想問題 第2位 2025年大阪万博

はじめに 2025年大阪万博について

コロナにかすんでしまった感がありますが、2025年の万国博覧会(万博)は、大阪で開かれることが決定しました。

テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」2025年、此花区夢洲(ゆめしま)で開催予定になっています。ユニバーサルスタジオジャパンの二つ先の島ですね。

なんといっても話題になったのは、躍動感のある? うごめいていそうな? 邪神みのある?ロゴマークです。

万博開催に合わせて、コスモスクエア駅と夢洲駅を結ぶ鉄道(北港テクノポート線)が開通予定で、地下鉄中央線から直通する予定です。また、万博開催前に「統合型リゾート(IR)」施設を開業させる予定でした。ただIRはコロナのために延期となり、万博開催には間に合わない状況です。
コロナ禍の中で、万博のようなお祭り騒ぎは何事か、という批判もあります。一方社会の問題としてみた場合、2025年大阪万博はネタの宝庫で、歴史や現在の社会を考えるための題材がたくさん詰まっています。

①万国博覧会とは

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(1851年ロンドン万博の際に作られた「水晶宮」)
万博とは、国際博覧会条約に基づいて、複数の国が参加して行なわれる博覧会のことです。正式には「国際博覧会」といいますが、日本では「万国博覧会」という呼び方が一般的です。大規模な博覧会は5年に一度開かれることになっています。
万博の歴史は古く、第1回は1851年にロンドンで開かれました。出展した国は「パビリオン」を作り、その国の文化、産物などを展示します。それぞれの国が世界に誇る、最先端のものを展示するのが一般的です。いい例が、1898年パリ万博のために建てられたエッフェル塔です。19世紀後半から20世紀初頭は、科学技術が急速に進歩し、列強が植民地獲得をめぐって争う、「帝国主義」の時代でした。万国博覧会は、各国の技術や国力を示すための場でもあったのです。
万博の歴史については、国立国会図書館のページが非常に良くまとまっています。これは必見でしょう。

②日本の万博の歴史

日本が最初に出展したのは、1867年のパリ万博でした。このとき出展したのは、江戸幕府、佐賀藩、薩摩藩でした。1867年は明治維新の前年で、まだ幕府も藩もあったのです。この回には幕府の一員として、渋沢栄一が参加していました。渋沢は万博参加を通じて、経済の仕組みを学んだといいます(国会図書館のページを見てみましょう)。2021年の大河ドラマ「晴天を衝け」と関わってきますよ!
明治維新後は、明治新政府が、条約改正のために日本の近代化をアピールする場として活用しました。1940年は、東京オリンピックとともに「東京万国博覧会」が企画されました(→参考)。この年は皇紀でいうと2600年にあたる記念の年だったため、オリンピックと並ぶ国際的なイベントとして、日本の国威を海外に示すために企画されたのです。会場は現在の晴海が中心で、開閉式の勝鬨橋はそのために作られました。
国際的な緊張が高まる中、1940年の万国博覧会は結局オリンピック同様、中止となりました(→参考)。オリンピック中止のいきさつは、2019年の大河ドラマ「いだてん」で描かれましたね。日本はこの後、太平洋戦争に向かっていくことになります。
余談ですが、1940年東京万博の前売り券は、大阪万博の時に使うことができたそうです。

③1970年、大阪万博について

万博というと思い出されるのは、1970年の大阪万博でしょう。
大阪万博は、1970年3月15日から9月13日までの183日間、大阪府の千里丘陵で開催されました。入場者数はのべ6400万人、これは2010年の上海万博に抜かれるまで最多でした。中心のモニュメントは、岡本太郎がデザインした「太陽の塔」でした。これは現在でも万博記念公園の中心となっています。

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テーマは「人類の進歩と調和」。提唱したのは、「日本沈没」などで知られるSF作家の小松左京でした。ちなみに小松は、生物兵器として開発されたウイルスが世界を襲うという、「復活の日」という作品を書いています。この作品は角川によって映画化されました(主演は草刈正雄)。
博覧会には、日本を含む77カ国、4国際機関が参加します。三井、三菱、住友、東芝IHI、日立、松下など、日本の主な企業も出展し、未来を感じさせるものを出展しました。また当時は冷戦下でしたが、このときは比較的対立は厳しくなく、アメリカもソ連も出展しています。アメリカはアポロ宇宙船が持ち帰った「月の石」を展示し、長蛇の列ができました。一方ソ連はソユーズ宇宙船を展示して対抗します。
このように、大阪万博はオリンピックと並び、高度経済成長を象徴するイベントとして記憶されています。

④その後の日本の万博

表をご覧ください。万博の遺産の中には、現在でも私たちの生活に関わるものもあるのです。

日本の万博

⑤統合型リゾート(IR)について

2025年大阪万博の重要な点は、カジノを含むIRの開発とセットになっていることです。
IRとは、国際会議場・見本市施設などの「MICE施設*」、ホテル、ショッピングモール、レストラン、劇場、アミューズメントパーク、温泉、カジノなどが一体になった複合施設のことです。見本市や国際会議のために来日した外国人が、宿泊し、夜も遊べる施設をまとめたものです。
日本のMICE施設は、東京ビッグサイト、パシフィコ横浜、幕張メッセ、インテックス大阪などが知られています。ですが外国に比べて規模が小さく、周囲の宿泊施設や娯楽施設も多くありません。見本市や会議に来た人が、泊ったり遊んだりできないのです。一方マカオやシンガポールには統合型の施設があり、盛況を見せています。そのため日本にもIRを作ろうとしているのです。2020年1月現在、大阪府・市、横浜市、和歌山県、長崎県が誘致を表明しています。
このように観光の目玉になると思われるIRですが、かねてから問題になっているように、カジノが含まれ、ギャンブル依存、治安の悪化が危惧されています。また元自民党の秋元司議員(東京15区、江東区)が、中国の企業から賄賂を受け取ったとして、2020年2月に起訴されています。
このようにマイナスイメージが強いIRですが、なぜIRを進めようとしているのか、よい点と悪い点はなにかを、きちんと理解しておく必要があります。
*MICE…Meeting(会議)、Incentive(企業の行なう報奨旅行)、Conference(国際会議)、Event/Exhibition(催し)の略。

⑥まとめ…中学受験と関係しそうなこと

このように、2025年大阪万博は、実に多くの社会の問題とつながるのです。おさらいしてみましょう。
・渋沢栄一…大河ドラマ、一万円札
・大阪万博…高度経済成長の光と影
・小松左京…パンデミック
・IRの存在意義…外国人観光客をどのように受け入れるか カジノの問題

また、ここでは詳しく説明しませんでしたが、次の事柄が関わってきます。
・2025年問題…2025年には団塊の世代がすべて後期高齢者になり、超高齢社会になります。
・大阪都構想住民投票…2020年11月1日に、コロナ禍が進行中でありながら大阪都構想の住民投票が行なわれましたが、大阪万博とIR開発間に合わせるためという説があります。大阪維新の会の松井大阪市長は、大阪都の形で万博に臨みたいという、強い意向を持っていました。

大阪万博は2025年開催予定ですから、2021年受験には、まだ題材として早いと思われるかもしれません。ですがこのように、社会の問題として出そうな事柄と多くリンクしています。大阪万博は、中学の社会の先生にとって出題しやすい、「美味しい」事柄なのです。2024年受験まで有効なネタといえるでしょう。

予想問題

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