2020年代は歴史修正主義の時代である
残念ながら2020年代は歴史修正主義の時代です。
アメリカではBLM運動で数々の銅像やモニュメントが破壊されました。
このようなヴァンダリズムによって負の歴史を記憶しない=抹消するという風潮は、被害者への「配慮」とは程遠い歴史修正主義そのものです。
奴隷制や黒人差別、性差別、ホロコーストの記憶を消そうとする動き、慰安婦像を撤去しようとする動き、旭日旗のイメージを消し日本海を東海に変更しようとする動き。
これらは立場は異なれど、みな同じ歴史修正主義にほかなりません。
このような美化された歴史観を実現する行いは、いずれも人文学とは正反対の蛮行です。
歴史観は他者を屈服させるためのものではありませんし、正しい歴史観など存在しないことは自明です。
出来事はなかったことにはできません。
同時に、ひとつの出来事には立場によって捉え方は様々です。
わたしたちはこれらの忌々しいヴァンダリズムから一歩離れて、それぞれの歴史観から自他の歴史と向かい合って「考え続けること」が相互理解と和解につながるでしょう。
歴史が問いかける問題は、賠償や謝罪といった法的水準で解決することはできません。
傷ついたヒト・モノ・ココロはどのような言葉をかけても、あるいは財産を与えたとしても癒されることはありません。
そのような「擬制」としての法的解決は傷ついた尊厳の前では無意味です。
傷ついた尊厳に対して、わたしたちにできるのは「考え続けること」です。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?