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【Phidias Trio vol.7】曲目紹介: 渡辺俊哉《あわいの色彩 I》

2022年11月12日に、Phidias Trio 定期公演「Phidias Trio vol.7 "Live on…"」を開催します。今井智景、牛島安希子、北爪道夫、松平頼暁、森紀明、森田泰之進、渡辺俊哉ら、現代を生きる7人の日本人の作曲家の楽曲を演奏します!

このnoteでは引き続き、公演に向けて、演奏作品について紹介をしていきます。今回は渡辺俊哉さんの2017年のトリオ作品、《あわいの色彩 I》です。

作曲者によるプログラムノートを掲載します。

この曲は、作曲グループ「Path」の主催公演、「菊地秀夫クラリネット・リサイタル」の際に2011年に作曲したクラリネット、ヴィオラとピアノのための《Light and Shade》の素材を元にして作られています。2017年に日本現代音楽協会主催コンサート、「岡静代リサイタル」においてクラリネット、ヴァイオリン、ピアノの編成で曲を書く際(初演は、岡静代(cl.)、ヨハネス・ブルーメンルーター(vn.)、宮路なのつ(pf.) )締め切りまでの時間が迫っていたため《Light and Shade》のヴィオラのパートをヴァイオリンに編曲しようと思ったのですが、楽器の響きと書かれた音は密接に結びついており、単純に音の高さを高くすれば良いというものではないということにすぐさま気が付きました。そこでこの曲の素材を一部使用し、その他の部分は新たに作曲するという方法を採ることにしました。したがって共通する素材はあるものの、結局、殆ど新たに作曲したと言えるでしょう。3つの楽器は非常に緊密なアンサンブルが求められ、光のあたり具合によって浮かんだり沈んだりするような、多様な響きの層を作り出します。

渡辺俊哉

渡辺さん自身が述べているように、この作品の演奏にはとても緻密なアンサンブルが必要になります。一瞬のタイミングや繊細な音色の合わせ方など、とても難易度は高いのですが、合わさった時の響きは美しく、リハーサルを重ねて仕上げていく過程がとても楽しいです。本番当日まで、さらに磨いていきたいと思います。

渡辺俊哉 プロフィール
東京藝術大学音楽学部作曲科卒業。同大学大学院修士課程作曲専攻修了。1999年度武満徹作曲賞第3位入賞、武生作曲賞2003入選、第24回入野賞佳作、第9回佐治敬三賞受賞など。ミュージック・フロム・ジャパン (2012) 、HIROSHIMA HAPPY NEW EAR (2013)、その他、様々なアンサンブルや個人の演奏家から委嘱を受けている。武生作曲ワークショップ、ロワイヨモン音楽セミナーなどに招聘され、2013年にはタンブッコ・パーカッション・アンサンブルより、レジデンス・コンポーザーとしてメキシコへ招かれた。2020年3月に、作品集「あわいの色彩」(ALCD-122)のCDがコジマ録音より発売され、各誌で高い評価を得た。現在、国立音楽大学准教授、東京藝術大学、明治学院大学各講師、日本現代音楽協会事務局長。作曲家、演奏家、音楽学者とともに、研究と実践を通して音楽を多角的な視点から考えるグループ、「庭園想楽」代表。
https://www.teiensogaku.com
http://composerworklist.wixsite.com/composerworklist/toshiya-watanabe

公演詳細
Phidias Trio vol.7 "Live on…"

2022年11月12日(土)
15:00開演(14:30開場)
KMアートホール (渋谷区幡ヶ谷1-23-20 京王新線幡ヶ谷駅より徒歩6分)

一般3,000円 / 学生2,000円(当日券は各500円増し)

プログラム
森田泰之進:Soaring in Circles (ReincarnatiOn Ring V-a) (2021) 舞台初演
牛島安希子:浮遊都市 I (2022・委嘱新作) 初演
松平頼暁:秋山邦晴のためのメモリアル (1997)
北爪道夫:トリプレッツ (1999)
渡辺俊哉:あわいの色彩 I (2017)
今井智景:Weaving (2018)
森紀明:Warum ist das Fragen sinnlos? (2018)
※プログラムが当初の予定より変更になりました。

演奏家の役割のひとつが、楽譜を手掛かりにさまざまな解釈を導き出すことだとすれば、作曲家との直接的なディスカッションは、極めて有意義なもの。演奏は常にアップデートされ、作品は生き続けていく。今回フィディアス・トリオがご紹介するのは、いずれも作曲家との濃密な共同作業を経た、7つの作品。今井智景、牛島安希子、北爪道夫、松平頼暁、森紀明、森田泰之進、渡辺俊哉ら、個性派揃いの作曲家達のユニークな楽曲を演奏する。いま聴きたい、そして後世に残していきたい音楽が体感できる、刺激的な二時間。

チケット購入
https://phidias-vol7.peatix.com/

お問合せ
phidias.trio@gmail.com

主催:Phidias Trio
文化庁「ARTS for the future! 2」補助対象事業

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