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ホラー小説「ドールハウス コレクション」第10話 楽しい休日

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注意喚起

暴力シーンやグロテスクな表現が含まれています。
この小説はフィクションです。実在の人物及び事件とは関係ありません。


22.愛美 2023年5月20日

今日は学校が休みなので、マリーちゃんを連れて行った屋敷に行った。
マリーちゃんの所に行くと、ちゃんと血が抜けてた。
顔色も昨日より青白くなった。
でも、そっちの方がお人形さんに近くて好き。
マリーちゃんを車椅子に乗せて、部屋に案内した。

部屋に着いたら、マリーちゃんを捕まえた時に来ていた服を着せてあげた。
マリーちゃんが自分で選んだ服なんだろうか。
すごく似合っていた。
あぁ、いろんな服を着せてあげたいな。

眺めていると、可愛くて愛おしい。
わたしは自分より大きくなったマリーちゃんに抱きついた。
ひんやりした感触が心地よかった。

表情も生きていた時よりも美しくなった。
硬い表情の中に優しさを感じる。
小さい頃、妹のように可愛がっていたマリーちゃんそのものだった。

午前中は絵本を読んだりしたり、なでたりしてマリーちゃんと遊んでいた。
昼に自宅に戻って、食事を済ませた。
自分の部屋に戻ると、あることを思い付いた。
わたしが小さい頃、マリーちゃんが着ていたお洋服を再現したい。
きっと、マリーちゃん喜んでくれる。
まずは布を探した。
物置部屋に中学時代に入っていた演劇部の衣装づくりで使っていた布を見つけた。
小学校5年生の頃から、マリーちゃんのお洋服を作るようになった。
そこから、中学では演劇部の衣装づくりをやるようになった。
早速、取り掛かった。
作業は休憩を挟んで、夜遅くまで続いた。
気づけば、午前1時半。
完成したお洋服を見ると、あの頃のマリーちゃんのお洋服をそのまま再現できた。

明日、着せるのが楽しみ。
終わった後、部屋の電気を消して眠りについた。

23.愛美 2023年5月21日

今日の朝も目覚まし時計の音で目を覚ました。
昨日は夜遅くまでマリーちゃんのお洋服を作っていたから、眠かった。
寝ぼけながら、朝食をとった。
「愛美さん、今日の予定は?」
今日もお母さんが今日は何をするか聞いた。
「今日は図書館で勉強してきます。」
わたしはウソをついた。
「それは関心だ。俺よりもっと優秀になるんだよ。」
お父さんはわたしが勉強を頑張ってると思って、感心している。
私は佐々木家の一人娘として、立派な後継者になることを期待されている。
それが大きなプレッシャーだった。

カバンに作ったマリーちゃんのお洋服を入れて、洋館に向かった。
「おはよう、マリーちゃん。」
早速マリーちゃんにあいさつをした。
小さい頃、起きたらすぐに枕元に居たマリーちゃんに挨拶していた。
早速、作ったマリーちゃんが着ていた服を脱がせて作ってきたお洋服を着せてあげた。

とても、似合っていた。
マリーちゃんが着ていた水色のドレスを再現した服を着せたその姿は本当に子供の頃大好きだったマリーちゃんそのものだった。
楽しくて幸せだった頃に戻れたようだ。

「懐かしいね。」
この服を着せたマリーちゃんを眺めていると、楽しい記憶が鮮明によみがえってくる。
わたしはマリーちゃんと会話を始めた。
「ねぇ、マリーちゃん。わたし高校生になったの!」
「わたしの高校の制服姿見たいでしょ?」
カバンに入れていた制服に着替えて、マリーちゃんに見せてあげた。
「愛美ちゃん、とっても似合ってるよ!」
「マリーも着てみたいな。」
マリーちゃんの反応は良かった。
どうやら、マリーも着てみたそうなので着せてあげてみた。
小柄な自分が着ている制服なので、小さかったりするが似合っていた。
制服を着たマリーちゃんも可愛かった。
もしクラスメイトにこんな感じの子が居たら、きっと人気が出そう。
「学校一の美少女」と言われたりして。

「高校のお勉強って、むずかしくて厳しいの。」
勉強のことをマリーちゃんに教えてあげた。
「うふふ。愛美ちゃんすごいね。」
マリーちゃんは褒めてくれた。
わたしのことを褒めてくれるのはマリーちゃんだけ。

マリーちゃんに最近のことを話していた。
最近の学校のことや楽しかったこと。
両親のこと、いつ裏切るかわからないご学友のこと。

明るい話題も暗い話題もマリーちゃんなら安心して話せる。
だって、マリーちゃんは唯一のお友達だから。

マリーちゃんと話してると、段々眠くなってくる。
ここ最近、寝れなかった。

あれ?寝てた?
寝転がった姿勢のまま、椅子に座ったマリーちゃんの足を握っていた。
なぜだろう、安心感というのを感じた。
腕時計は2時間くらい進んでいた。
窓から太陽の温かい光を浴びて、部屋でマリーちゃんとお昼寝してる気分だった。
マリーちゃんもすこし眠そう。
眠そうな表情、すごく可愛かった。
わたしはバックからカメラを取り出して、マリーちゃんを撮った。
いろんな角度から撮ってみたりした。
マリーちゃんの写真を撮るのは楽しかった。

しばらくマリーちゃんと遊んで、昼食を取るために家に帰った。
「またね、マリーちゃん。」
マリーちゃんに帰りのあいさつを済ませて家に帰った。

洋館がある高台を降りて、家に着いた。
「愛美さん、お勉強は捗ったかしら?」
お母さんの第一声はこの言葉だった。
あの人はわたしが一流の大学に進学して立派な大人になってくれるかという事しか頭にないらしい。
昼食を取った後は、勉強をした。
机に向かうと、現実の世界に戻った気分だった。
さっきまでの楽しかった時間と全く違う。
しかし、期待に応えないといけない。
お父さんとお母さんを困らせたくないから。

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