「台湾における小児エンテロウイルス感染の長期転帰: 集団ベースのコホート研究」
「台湾における小児エンテロウイルス感染の長期転帰: 集団ベースのコホート研究」
【はじめに】小児期における疾病の主な負担は、ここ数十年で感染症から慢性疾患へと移行している。感染症の罹患率は減少しているが、感染症に起因する慢性疾患の罹患率は増加の一途をたどっている。エンテロウイルスは小児期の主要な感染症であり、多くの慢性疾患に関連している。我々は、台湾の国民健康保険研究データベース(NHIRD)の集団ベースのデータを解析し、エンテロウイルス感染と小児の主な慢性疾患との相関を調査した。
【方法】1999~2003年にエンテロウイルス感染と診断された小児を、台湾の国民健康保険研究データベース(NHIRD)のサブデータセットである縦断的健康保険データベース2000(LHID 2000)から同定した。既存の慢性疾患のある患者やデータの欠落がある患者を除外した後、合計14,168人の患者を選択した。年齢と性別をマッチさせた14,168人の小児が対照群として選ばれた。注意欠陥・多動性障害(ADHD)、てんかん、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎を含む5つの主要転帰が記録された。
【結果】ADHD、喘息、アレルギー性鼻炎、てんかんのリスクは、対照群と比較してエンテロウイルス感染群で有意に増加した。アトピー性皮膚炎のリスクは粗モデルで有意に増加した。しかし、調整モデルでは有意差はなかった。ADHD、喘息、アレルギー性鼻炎、てんかんのリスクも、重症エンテロウイルス感染患者では非重症エンテロウイルス感染患者に比べて有意に増加した。
【結論】ADHD、てんかん、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などの慢性疾患は、小児期のエンテロウイルス感染と関連することが示された。幼児期におけるエンテロウイルス感染は、長期的な公衆衛生上の影響を及ぼす可能性があり、予防戦略を実施すべきである。
【キーワード】ADHD, NHIRD, アレルギー性疾患, エンテロウイルス, てんかん
Long-Term Outcomes of Pediatric Enterovirus Infection in Taiwan: A Population-Based Cohort Study
Jui-Ju Tseng, et al.
Front Pediatr. 2020 Jun 12;8:285.
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