カナダ薬剤師完全マニュアル 〜海外薬剤師の始め方〜
このノートに興味をもたれている方は、おそらく2つのパターンに分かれるのではないでしょうか。
• 海外の薬剤師に興味はあるが、なかなか決断できない
• なることは決めたが、なかなか前に進まない
海外の薬剤師に興味をもてば、きっとぶつかる壁だと思います。
しかし、それは当たり前だと思います。
私も実際そうでした。
海外で薬剤師として実際に働いてみないと、
そこで求められる能力はさっぱり想像がつかないからです。
そこで、このノートでは、カナダで薬剤師になったボクの経験をもとに、
「カナダ薬剤師完全マニュアル 〜海外薬剤師のはじめ方〜」
を書きました。
海外への挑戦を決断できない理由
なかなか決断できない理由は、何でしょうか?
それは「情報の少なさ」です。
日本人の薬剤師からすると、
海外で働くということはとても珍しく、しっかりとした方法を書いたものはほとんどありません。
2020年4月にGoogleを使って、「海外 薬剤師」とタイプしてみました。その結果、出てきた情報は以下の通りです。
実際に海外で薬剤師になった人が書いた情報はほとんどありませんでした。
もしみなさんが、海外で薬剤師になる方法について十分な情報を得られれば、一気に海外の薬剤師への道が開かれると思います。
カナダで薬剤師になるプロセスが上手くいかない理由
では、仮に挑戦を始めたとして、なぜ上手くいかないのでしょうか?
それは、「効率的な方法で準備していない」からです。
薬剤師に必要な英語力を知っていますか?
よく出る薬剤Top 100の服薬指導ができますか?
また、それらをどのように身につけるべきか知っていますか?
正しい方法で準備すれば、よりスピーディにプロセスを進めることができます。
カナダ薬剤師Shimpeiのノートで課題を解決
つまり、カナダで薬剤師になりたい人にとって、最も重要なことは、海外の薬剤師の仕事内容やスキルについて理解することにあります。
みなさんがこの1本のノートを読むだけで、 カナダの薬剤師について理解し、最速でカナダの薬剤師として活躍することができます。
わたしが4年間かけて一生懸命勉強してきた知識や経験を、全てこの1本に凝縮して、つぎ込みました。
➖➖読者感想➖➖
序章|はじめに
このノートは、カナダ薬剤師の試験情報を伝えるだけのものではありません。
カナダで薬剤師になるために必要なスキルやその具体的な方法について解説したノートです。
なぜなら、多くの方が最も苦労するのは、
現在の自分の能力と、海外で働くことのできる能力とのギャップをどのようにして埋めるか、だからです。
カナダの薬剤師として働くための方法には、大きく分けて2種類あります。
このノートでは、
2) 日本の薬剤師免許をトランスファーする方法について書いていきます。
その理由として、コストを抑えかつスピーディーになることができるからです。
私もこの方法で免許を取得しました。
免許のトランスファーとは、日本の薬学部の卒業証明書などの提出や評価試験を受けることで、カナダの薬学部卒とみなしてもらう方法です。トランスファーはカナダの薬学部に通い直す手間を省くことができます。(日本の薬剤師免許がなくなるわけではないので、安心してください。)
大学生の私 VS カナダで薬剤師になった私
いまだに多くの人に聞かれるのが「英語がもともと得意だったんですか?」という質問です。私が大学4年生の時のスペックを紹介します。
見ていただければわかるように、英語が苦手な平凡な薬学生であったことがわかると思います。
しかし、今 (2019年)の私はというと、
というように、毎日とても充実した時間を過ごすことができています。
周りには私よりもずっと英語ができて大学の成績が良い人もいるのに関わらず、
私は、海外での薬剤師キャリアを切り開くことができたのです。
ただここでひとつ大事なことを伝えておきます。
わたしがここまでやってこれたのは単に勉強を続けていたからではありません。
もっとも意識してきたのは、勉強しながらその方法を常に見直し、よりよい方法を探し続けてきたことです。
そして、多くの方の協力があり、本当に運が良かったのだと思います。
しかし、それでも、長い時間と多くのお金がかかってしまいました。
実際にかかったのは、「4年半と740万円」です。
なぜ、ここまで時間やお金がかかってしまったのか。
結論を言うと、「当時のやり方が効率的では無かったから」です。
もちろん、それ以外にも色々な要因があります。
しかし、間違いなく「方法」が悪かったのです。
現在、インド人やエジプト人、フィリピンや韓国人の間において、海外で薬剤師として働くということは一つのブームのようになっています。
同じ学年の友達同士や兄弟がお互いに誘い合って、海外からやってくるのです。
わたしはそれをとても羨ましく思いました。
そして、カナダで薬剤師になった今、わたし自身がこれまでに試してきた方法論を体系化し、全て解説することにしました。
そこで、このノートでは、カナダで薬剤師になることを中心とした、
などの内容に特に力をいれて解説することにしました。
また、まだ海外で薬剤師になるか迷っている方にも、役立つ内容になっています。
このノートがきっかけで、多くの日本の薬剤師が、
「海外で働くという選択肢を普通にもつ」ことができ、
また、いざ目指すと決めた時に
「効率よく海外の薬剤師になれる」と思ってくれたら嬉しいです。
では、6万4,000字に及ぶ、カナダ薬剤師Shimpeiの本気のノート処女作
「カナダ薬剤師完全マニュアル 〜海外薬剤師のはじめかた〜」
お楽しみください♪
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1章|海外で薬剤師をするということ
♦Shimpeiがカナダを目指したわけ
「なぜカナダで薬剤師を目指したのですか?」
と、みなさんからよく聞かれます。
みなさんに胸を張って話せるようなスゴイ理由もないのですが、
ここでもう一度お話しておこうと思います。
最初、私にとって「海外の薬剤師」は、ただの夢でした。
大学生の時でもずっと英語が苦手でしたし、英語は全く話せなかったからです。
この時のTOEIC450点くらいで、英語は片言でした。
そして、転機は、大学時代のアメリカへの短期留学です。
1か月だけでは、英語はそこまで伸びませんでしたが、
「いつか絶対になってやろう」という強い意志に変わりました。
その後、日本で4年生過程の薬学部を卒業した後、病院に勤務しました。
病院薬剤師として働き、多くの患者さんと関わることにとてもやりがいを感じていました。
しかしその一方で、薬剤師の権限の無いことや、給料が極端に低いことに、不満を感じていたのも事実です。
そんな時に出会ったのが、「カナダで薬剤師になる」という選択肢です。
大学からの友人であるフィリピン人薬剤師に、
「カナダの薬剤師は給料も良いし、大きな家も持てるよ。シンペイもやったらいいと思うよ。」と言われたのがきっかけです。
(金持ちになってやる!とか、不純な動機があったわけじゃないぞ!
まぁ少しはあったけど 笑)
そして、軽い気持ちで、じゃあ挑戦してみよう!と思い、カナダに留学したのがスタートです。
♦海外で薬剤師になるメリット
海外で薬剤師を目指すメリットは、いくつかあります。
1. 日本では一生経験できない未来を先に経験できる
日本の薬剤師の領域は、欧米に比べると遅れているので、海外に行けば、あっという間に、何10年も先の未来を先取りができます。
2. 薬学的な判断を求められる業務は自分を鍛える最高の場所
国によっては、薬剤師の権限が幅広く認められています。薬剤師によるワクチン接種や薬剤の処方権、処方内容の変更が可能です。これらの権限を使うためには、薬学的な判断が常に求められます。
3. テクニカルな業務から抜け出せる
テクニカルな業務 = 薬学的な知識のいらない 薬歴やピッキング、電話応対のことです。薬局助手であるテクニシャンの制度が認められている国もあります。
4. 多種多様な文化や背景を持つ人と関われる
国が違えば、考え方やコミュニケーションの方法も違います。面白いです。
5. 薬剤師という職に誇りが持てる
アメリカやカナダの薬剤師は、国民から非常に尊敬されています。薬剤師としての自分に自信が持てるようになりました。
6. 日本という一つの国で働くリスクを減らせる
一つの国でしか働けないということは、自分の人生をその国に託すということです。リスクを分散するためにも選択肢は持っておいても良いかと思います。
7. 人に優しくなれる
私がカナダで優しくされたので、わたしも優しくなりました、と思います 笑
異国で働くことで、他人への優しさや配慮を学びました。
8. 仕事とプライベートのメリハリがある
仕事は時間通りに終わるので、そのまま遊びにいけます。
9. 給料は日本よりも高い
薬剤師の時給は38〜55ドルくらいの幅にああります。年収ベースでは7万〜11万ドルだと言われています。ブリティッシュコロンビア州など人気のある州では時給は低いが、田舎へ行けば70ドルを越える求人も聞いたことがあります。私の働いた場所も田舎だったので、新人でも時給50ドルでした。(データはPayScaleを参照)
10. 日本で外国人のお客さんが来たら、鍛えた英語力が役立つ
「Thank you!」と言われると、ちょっとうれしいです。
2章|カナダで薬剤師を目指すために知っておくべき基本
♦5つの要素を意識すること
5つの要素とは、
1. 英語力
2. お金
3. タイミング
4. 情報
5. ビザ
の5つです。
この5つをどう揃えていくかが、カナダ薬剤師に挑戦する上でとても重要だと考えています。
以下、簡単に5つの要素について説明します。
まず、英語力は説明もいらないと思いますが、英語はカナダで生活するにも、薬剤師試験を合格するにも必要となってきます。
お金は、カナダへの渡航費、学校へ通う費用、現地での生活費、そして試験費用などがあげられます。私は700万程度は使いました。
タイミングですが、自分や家族、または環境などが今どのような状態かということです。例えば、自分や家族の健康状態、カナダの就職状況、永住権の審査の通りやすさなどです。
情報は、薬剤師試験やその勉強方法などの情報があるかどうか、です。情報については、この本で全て解決してくれると思います。
ビザですが、労働ビザ(働くためのビザ)や学生ビザ(学ぶためのビザ)の有無、です。これらを考えること無しに、先に進むことができません。
上記の5つの要素ですが、私も常に5つが揃っていたわけではなく、
足りない状態もありながら、なんとか乗り切っていきました。
私が初めてカナダに行った時は、26才でTOEIC590点ほど、そして300万ほどの資金がありました。Sprott Shaw CollegeのPharmacy Assistantコースへ申し込んだので、学生ビザがありました。ただ、カナダで薬剤師になる方法について全く知らない状態で行きました。(今思えば、なんて無謀な..)
さきほどの5つの要素でいえば、
英語力△、 情報 ☓、 お金○、 タイミング○、ビザ ○と言ったところでしょうか。
みなさんがこの本を読めば、情報は手に入るはずなので、
残り4つをどのようにしていくかを考えていくべきです。
♦最初はReadingを徹底的に鍛えろ!
英語力のことについて書いていきます。
タイトルの通り、英語で「Reading」を鍛えるのが先決です。
それ以外の4技能の重要性をランク付けすると、
「Reading」→「Listening」→「Speaking」→→「Writing」
という順番になるかと思います。
なぜReadingが一番、大事なのでしょうか。
それは、
という2つの理由があげられます。
「薬剤師挑戦を決断するため」に必要なことは何でしょうか?
それは情報を集めることだと思います。このNoteにも、かなり多くの情報をつめこみましたが、それでもカバーしきれない範囲があると思います。そこで見て頂くのが下記のページです。
ホームページ: Pharmacist Gateway Canada
このホームページは、カナダ国外の薬学部を卒業した薬剤師 (International pharmacy graduates: 略してIPG)が、カナダで薬剤師を目指すときに、一番最初にチェックするページです。ご覧の通り、全て英語で書かれています。
Readingができないと、薬剤師になるための情報でさえ得ることができません。
結果として、薬剤師挑戦を決断することができません。
また、次に必要になるのは、書類審査(DE)や評価試験(EE)といったテストです。そして、そこで問われるのはReading力です。
このReadingさえあれば、最初に挫折しやすい部分を乗り越えることができます。
2番めに大事なのは、Listeningです。
この次のステップとして、海外で英語を質問をしたり、また試験のガイダンスが英語で提供されることがあるからです。もちろん仕事でリスニングができないと、大きなミスにつながりかねません。
SpeakingとWritingですが、これはインターンや英語試験では必要になりますが、
最初の時点ですぐに必要になるものではありません。
具体的な勉強方法は3章で説明します。
また、こちらの動画でも簡単に説明しています。
動画:最速で海外で薬剤師になるための英語勉強方法
https://www.youtube.com/watch?v=7d5KUo37OqA
♦日常英会話は無視。 いきなり薬学英語を勉強する!
薬剤師に効率良くなるために一つ提案したいのが、
「いきなり薬学英語を勉強する」という提案です。
日常の英語もできないのに無理でしょ、という声が聞こえてきそうなので、
少し説明させてください。
日本では英語を勉強するときに、
日常英会話やビジネス英語のジャンルがありますが、実際はそのような分け方はカナダへ行く上では無意味です。
例えば、日常英会話について考えてみましょう。レストランや学校、空港でのシチュエーションなど、多くの方が日常的に経験しやすい事柄についての内容とします。
これらの内容は、確かに生活をしていく上では必要になるかもしれません。
しかし、薬剤師になるには必要ありません。あくまで、最速で薬剤師になることを最優先にしていくべきです。日常会話は、海外への渡航や生活を繰り返すうちに、自然に身についていくものだと私は考えています。
また、ネイティブではない限り、日常会話は完璧になりません。
カナダで薬剤師になった私も、未だにネイティブが熱く語っている会話には中々、入っていけません。(入れるとカッコいいんですがねー。)
したがって、私の提案は、
日常会話は地道に勉強しながら、「薬学英語をスタートさせる」ことです。
薬学英語の勉強の仕方は、各論にて説明します。
♦コミュニティに入ることの重要性
コミュニティに入るとは、同じ志を持つ人たちのグループに入るということです。
私自身も、カナダに渡って最初の1年は誰にも知り合うことなく、ただただ1人で情報を集めようとしていました。
しかし、あるとき限界に気づき、当時カナダに住んでいる日本人薬剤師の方に連絡を取りました。そして、そこからの薬剤師試験のプロセスは非常にスピーディーでした。こういったグループに所属できていなかったら、私は間違いなく薬剤師にはなれていなかったと思います。
コミュニティに入ることのメリットは以下があげられます。
特に、最新の情報が得られるのは、テストに合格する上では必須といえるかもしれません。
コミュニティをいくつかご紹介しておきます。
・PEBC Exam 2020, 2021 on Facebook
https://www.facebook.com/groups/pebc.ee/
英語にはなりますが、Facebook上にはいくつもプラベートグループがあります。これらの多くは無料のものが多いので、いくつか参加してみるといいでしょう。
・ブリッジングプログラムに参加する
私が薬剤師になったカナダのBC州の薬剤師は、CP3プログラムへの参加が必須となっています。このプログラムは100万円相当するところが多いので、敬遠する方もいるのですが、私は100万円払ってでも入ることをオススメします。
♦アダプテーションって何? カナダの薬剤師権限や薬局システムについて理解することは重要。
Adaptation(アダプテーション)って知っていますか??
わたしは友人から教えてもらうまでは、その存在さえ知りませんでした。
Adaptationとは、薬剤師が医師の許可なく処方せん内容を修正すること、です。つまり、薬剤師の判断で薬剤の用法用量、剤形などを変更することができます。
たとえば、
Rp. ロキソニン 1日1回 1錠 600mg
と書いてあれば、それを「60mg」に変更することができます。薬剤師経験があれば、ロキソニン=60mgというのは常識であり、記載間違いなのは明らかです。このような場合に、薬剤師権限で処方箋内容を修正できるのが、アダプテーションです。
このアダプテーションはただの1例ですが、このようなカナダの薬事法や保険システムについて事前に知っておくことは重要です。
その他にも知っておくべき語彙を少しこちらに載せておきます。
・Counseling: カウンセリング。服薬指導のこと。
・Blister pack: カナダの一包化。紙とプラスチックで張り合わせて作る。
・Deductible: 控除免責額。薬局である額に達するまでは患者が全額自己負担。
・Community pharmacy: いわゆる地域にある薬局のこと。
・OTC=Over the Counter: 薬局の外側に配置してある市販薬 (風邪薬など)
・BTC=Behind the Counter: 薬局の内側に配置してある市販薬 (コデインなど)
・Dispensary: 薬局の内側部分。スタッフが働く場所。
・Duplication: 重複。Duplicateで2枚複写という意味。(麻薬処方せんなど)
・Adaptation: 処方箋を編集する薬剤師の権限
・Emergency Supply: 薬剤師が一時的に処方箋を出す権限
・Refill: 処方せんのリフィル。医師にかからなくても薬がもらえる。
・Transfer: 処方箋のデータを他の薬局にとばすこと。主に電話やFAXで行う。
・Expired: 処方せんの期限が切れること
・IPG: International Pharmacy Graduates:カナダ国外で薬学部を卒業した人。
あとは英語サイトですが、
これらのホームページでは、薬局や薬剤師に関連する語彙が説明してあるので、時間があるときに目を通しておくと良いでしょう。
https://pharmacyforme.org/learn-about-pharmacy/pharmacy-glossary/
https://rosseducation.edu/blog/pharmacy-technician-terminology-you-need-to-know/
https://www.pharmacy-tech-test.com/medical-terms-definitions.html
また、私がPharmtribune Webでコラム連載をしていた時、カナダの薬局を取り巻く情報について書いていたので、よければこちらも参考にしてください。
カナダで働く薬剤師が見た日本の薬剤師業務の課題・提案https://ptweb.jp/article/column/canada-and-japan/
♦カナダで薬剤師になるまでのプロセス
では、上から順番に試験の概要を見ていきたいと思います。
1. 書類審査 Document Exam
日本の薬学部の教育内容が、 カナダの薬学部の教育と同等であるかを評価する試験です。Examという名前ですが、実はテストではありません。求められた書類を全て提出したら終了です。
• 卒業証書や大学の成績証明書などを送る
• シラバスの提出が求められることもある
• 準備にかかる時間の目安: 1〜2か月 (カナダは基本ゆっくりなので)
• かかる費用: 665CAD
2. Evaluation Exam (海外薬剤師のための試験)
生化学や薬理学、薬剤学、薬物動態学などの評価試験。この試験がカナダで薬剤師になるための、1つ目の関門と言われています。
• マークシート方式
• 日本の薬剤師国家試験の範囲でほぼカバーできる
• 準備にかかる時間の目安: 6か月〜
• かかる費用: 850CAD
Evaluation Examの例題を解いてみよう!!
もっと他の問題をみたい方はこちらを参照。
https://www.pebc.ca/index.php/ci_id/3126/la_id/1.htm
3. English Exam (英語試験)
英語力を評価する試験です。カナダの場合、IELTSやTOEFLなどから好きなテストを選ぶことができます。日本のTOEICとは異なり、Listening, Reading, Writing, Speakingの4技能を図るテストです。
• 2年ごとに再試験が必要
• 州によって求められるスコアが異なる
• 準備にかかる時間の目安: 3- 6か月(本人の英語力による)
• かかる費用: 2-3万/回
●カナダのBC州で必要な英語スコア(州ごとにスコアが異なる)
4. 大学のブリッジングプログラム & インターンシップ
● 大学のブリッジングプログラム
カナダ国外の薬学部卒業生を対象に、「現場とのギャップ」を埋めるために作られたコースです。
• 参加が必須となっている州もある
• BC州のプログラムは3か月で、100万程度
• コストはかかるが、今後の薬剤師のキャリアを考えると、安い投資
☆魅力的なブリティッシュコロンビア(BC)州のプログラムhttps://cpd.pharmacy.ubc.ca/programs/international-pharmacy-graduate-ipg/why-ubc-canadian-pharmacy-practice-program
• PharmDを持つ薬剤師陣による薬物治療学の講義
• 異文化に入る海外薬剤師のためのコミュニケーション論
• カナダの国やBC州の法律について
• マルチタスクを求められるラボでの実践的な授業
• 薬剤師のキャリアアップのためにもぜひ参加したい
●インターンシップ
カナダの薬局での実務実習です。薬剤師の監視の元で、監査から投薬、OTCカウンセリングなど薬剤師業務を全て経験します。
• インターンシップは3-6か月と州によって異なってくる
• この間に大量の課題の提出が求められる
5. Qualifying Exam(国家試験)
カナダの薬剤師になるための最終試験です。これに受かれば、晴れて薬剤師として働くことができます。カナダの薬学生も受けるので、試験の難易度は中々難しいです。
• 筆記試験とOSCE(オスキー)の2つの試験がある
• 筆記試験は実臨床に関わる試験が多い。
• OSCEは7分間のロールプレーで、医師や患者を相手にする。
• コストは2000ドル程度と高い
(筆記試験500ドル OSCE 1500ドル)
• かかる時間の目安: 6か月〜(個人差が大きい)
6. Jurisprudence Exam (法律の試験)
薬局や医薬品の法律に関する試験です。州ごとに薬剤師の権限が異なっているので、州が管轄している試験です。薬剤師だけでなく薬局テクニシャンも同じ試験を受けます。難易度はそこまで高くありません。
• かかる時間の目安: 数週間〜
• かかる費用の目安: 100ドル〜
薬剤師のプロセスについては、他の方が書かれた日本語のブログや本なども紹介されているので、よければ参照してくださいね。
3章|海外で薬剤師になるために必要なスキル13選
私の経験から、海外で薬剤師になる上で必要になるスキル13選をまとめました。
これらのスキルや必要になるタイミングは、カナダでの経験をもとに作成していますが、他の国を目指す場合にも役立つ内容になっていると思います。
ただ一つ注意して欲しいのは、これらのスキルがないからという理由で次に進むのをあきらめないで欲しいということです。これらのスキルはあれば理想的ですが、私自身いつも足りていない状態で挑戦しました。そのぶん苦労しましたが、薬剤師になる上では全く問題ありませんでした。
また、どのようなスキルが必要になるかを、前半と後半に分けました。
また、スキルの重要度を★、★★、★★★の3段階に勝手に分けました。
(私の完全なる主観です。)
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前半のスキル6
この前半では、全くゼロの状態から書類審査、評価試験(EE)までのステージを仮定して書いています。カナダで言えば、Evaluation Examまでです。
はっきり言うと、このステージでは高い英語力は求められません。
では何が必要か?
それは、「行動力」や「度胸」です。
つまり、今の現状から一歩を踏み出し、先の見えないものに挑戦する力量が試されているといえば、わかりやすいでしょうか。
簡単そうに聞こえますが、私はこのたった一歩を踏み出すために1年以上かかりました。
書類審査に書いてある薬剤師になるための条件や、ホームページの過去問を辞書を使って何度も読んでみました。辞書を使って調べて訳しても、英語で書いてあるからピンと来ないわけですよ。そして、受験するためには「成績書や卒業証明書を送ってください」って書いてあるが、果たして私の英語の理解はあっているのか、本当にメールを送ったら、返事が来るのか、とか悩んでいたら、何もしないうちに1年ぐらいあっという間に経ってしまいました。
そんな私の経験からオススメするのは、「まずやってみる」ことです。
発音に自信がなくても話してみる、 文法に自信がなくてもメールを送ってみる、ということです。
この章では、私の人生初の英語Emailなど失敗談もご紹介します(笑)
♦スキル1. 英語を読み進めることができる力☆☆☆
【どんな力か?】
英語を読み進めることができる力。テストではないので、辞書を使っても構わない。大量の情報を読み、理解することが求められる。この時点では、まずは※WPM50-100を目指したら良いでしょう。TOEICで英語力を測るのは難しいですが、700点くらいはあると望ましいかなと思います。(私がこの当時、TOEIC600点であっても結構苦労したという理由で)。
※WPM (Word Per Minute) : 英語のReading力を数値化したもの。1分あたりに読むことのできる英単語の数。
【なぜ必要か?】
試験のための要項や申込方法、薬剤師になるための方法についてを理解するためです。冒頭でも書きましたが、とにもかくにも英語はReading力が重要です。
【どうやって身につけるか?】
1) 自分の行きたい国の薬剤師になるためのサイト/方法を英語で調べる
これが一番、Cost effectiveだと思います。なぜなら英語が鍛えられるのと同時に、現地の最新の情報が得られるからです。
グーグルで、「pharmacist Canada」 とか 「pharmacist Australia」とかとタイプしてみてください。何かしらの情報が出てくるので、色々読んでみてください。カナダ薬剤師についての公式ホームページGateway Canadaを読むのもオススメです。
2) Penguin Readersなどの速読用の本を使う。
自身の英語の語彙力から本の難易度を選ぶことができます。レベル1からスタートし、徐々にレベルをあげて語彙力を鍛えていくのも良いでしょう。私もレベル1からスタートし、レベル4か5まで読めるよう努力しました。
3) Breaking News English (https://breakingnewsenglish.com)
無料の英語学習用サイトであり、Reading PartではWPMを測ることが可能である。レベル1−3の記事を選べば、WPM100から選べるので、ここを使って試しに自分の英語を読むスピードを測ってみた方が良い。
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