新型コロナの治療薬！？アビガンについて

新型コロナウイルスへの感染が国内でも徐々に拡大しており、渡航歴や濃厚接触がなくても感染が確認されるなど、新たな局面に入ったとも言われています。大きなイベントも中止になるなど私達の生活にも徐々に影響が出てきています。
そんな中、「抗インフルエンザ薬・アビガンを治療に使用するか検討する」というニュースが流れました。

アビガンとはどのような薬なのでしょうか。

新型インフルエンザウイルス剤　アビガン

アビガンは富士フイルム富山化学製の新型インフルエンザウイルス薬です。2014年に承認された薬ですが、現段階ではどこの医療機関・薬局でも取り扱うことができません。
アビガンの添付文書にはこう書かれています。

本剤は、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分な新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合にのみ、患者への投与が検討される医薬品である

つまり、備蓄はしているがタミフルなど既存の抗インフルエンザ薬が効かない新型インフルエンザが流行したときにしか使用できないのです。

インフルエンザの薬がなぜ効くのか？

アビガンはインフルエンザウイルスの増殖を防ぐ薬。
そもそもウイルスとは、自己で増殖することができない物質です。しかし増殖するための遺伝子を持っており、人や他の生物（宿主）に感染することで宿主の遺伝子を利用して増殖します。

アビガンはインフルエンザウイルスの遺伝子増殖を細胞内で防ぎます。その結果ウイルスの増殖も抑え、感染拡大も防ぐことができるのです。
新型コロナもウイルス感染症。インフルエンザと同様に効果が期待できるというわけです。

いつから使えるようになるのか？

はっきりとしたことはわかりませんが、インフルエンザ患者への国内臨床試験（安全性確認等）はすでに終わっている薬です。
今日のニュース番組でも加藤厚生労働大臣が使用する方針を明らかにしており、数日中に効果があるのかどうか試験的に使用が開始されると思われます。

妊婦には使えない

アビガンは、動物実験において催奇形性（胎児に奇形を起こすこと）などが認められています。妊娠中に服用することで胎児の奇形や流産・死産を起こす可能性があります。
また、母乳や精液に移行することもわかっており、授乳の中止および避妊が必要です。

気になる価格は？

これもまだわかりません。というのも国内ではまだ一度も使われたことがないため、薬価基準未収載なのです。
医療機関や調剤薬局で使用される薬の価格は「薬価」と言われる公定価格。国（厚生労働省）が価格を決め「薬価基準」と呼ばれる価格表に載せて初めて保険医療が行えるのです。

現段階ではまだ試験的使用。本当に効果があるのかもまだわかりません。
感染が広がり心配ではありますが、引き続き「感染しない・させない」ための予防をしっかり行っていきましょう。

※新型コロナウイルス感染症についての最新情報は厚生労働省HPにて確認してくださいhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html