見出し画像

機械学習×薬物治療 100報読んでみた。


スライド1

「理想の薬剤師になりたいですわ!」 みたいなことを思ったことありますかしら? 誰にでも英雄願望的なものって、多かれ少なかれあると思いますけれど、それぞれが思う理想は千差万別、十人十色。形も違えば色も違いますわ。 ということで、私が格好いいなと思う薬剤師像は…


スライド2


ここ最近では、以前に比べ薬剤師が医師に処方に関して提案や相談することが一般的になりましたわ。
  現在、医師様と薬剤師様の間で薬物治療に関わる業務区分に大きな問題があるわけではございませんけれど、人的資源や時間コストを考えますと……有体に申し上げるなら、スタッフ全体がもっと楽するための、最適化の余地はまだありそうな気がしますの。
  ということで、薬剤師として薬物治療でどんなことそすればもっと臨床現場全体が良い感じになりそうか……みたいな視点が、実は自分が考える理想の薬剤師だったりということもあると思いますわ。
   ということで、ようやく本筋になりますけれど、私の理想は『薬物治療におけるリスクケアやリスクヘッジができる薬剤師』って格好いいのではと思っておりますわ。格好良さの9割は「ビジランテ」という言葉に引っ張られているのは間違いないですけれど。


スライド3

あまりメジャーではないかもですけれど、実際に『ファーマコビジランス』というお仕事がこの世にはございますわ。   どのようなお仕事かに関しては、私も実際にこのお仕事しているわけではありませんので、 聞きかじったような内容で申し訳ありませんけれど、 何をビジランス、つまりは監視しているかと申しますと、それは医薬品の安全性ですわ。
    そしてこちらのお仕事に従事されていらっしゃるのは臨床のスタッフではなく、製薬企業のファーマコビジランス部門の方々ですわ。 世界中の公的機関から提供されいて安全性に関する情報、臨床の医師様や薬剤師様から提供された副作用報告を収集・解析して、販売後の安全性調査やリスクを最小化するためのプランを練ったり、 臨床現場や公的機関に安全性に関する情報をフィードバックするお仕事……らしいですわ。雰囲気、安心して薬物治療を行うための、服薬リスクから守ってくれる守護者的な感じかしら。
 ……でもそれって、臨床側にも必要ではありません?
    ファーマコビジランスの皆様は患者様全体を対象にして、安全性の解析をしたり、リスク最小化の計画を練ったりするわけですが、それらファーマコビジランス様がまとめてくださった患者全体の解析情報を基に、患者様それぞれに適した個別の服薬リスクマネジメントを設計できる薬剤師というのは、 一つの理想の形かなとか思っておりますわ。

スライド4

ところで、先ほどからリスクと申しておりますけれど、服薬におけるリスクって結局何?
みたいなところありません?私は割とありますわ。
おそらく、皆様が最初に思い浮かぶのは副作用かしら。
それ以外には「効果がない」ということその物も薬物治療ではリスクで、
先程お話したファーマコビジランスも中心となるのはこちらのリスクについてのようですわ。

けれど、より臨床に近いところで「社会的もしくは経済的リスク」というのもあるのではないかしら。
例えば、医療費によって患者様の生活が困窮してしまう可能性がありますし、国の保険制度にも負担を与えることになりますわ。
また、耐性菌の発生や薬物の乱用なんかの社会全体に影響を与える
リスクなどもあると思いますわ。
スライド5

これらのリスクに対応する方法はたくさんあると思いますけれど、
私が大きく区分けするならこんな感じかしら。
まずは上質な医薬品自体の管理を行うこと。
医薬品の品質を担保し、スタッフによるヒューマンエラーや
規制薬物の盗難等を防ぐことが可能ですわ。

次にコミュニケーションですわ。私が行っているツイートなども大別するならここかしら。
医師様が処方して、薬剤師が調剤しても、最終的にそれを飲むかどうか決定するのは患者様ですので、
治療意義や適切な薬の使用方法を理解してもらえないと治療はまったく進みませんわ。
そして、体調や生活の変化など都度ご相談いただけるかどうかというのも、
治療成績に関わってくるポイントになりますわ。

そして最後は現代らしく情報ですわ!
薬剤師のお仕事って、薬剤そのものに触れる時間よりも、
その実、お薬や患者様の情報に触っている時間の方が長い気がしますわ。
病院でベッドサイドにに行く前には電子カルテで患者様の情報を確認しますし、薬局で調剤する際は処方箋と薬歴を確認するのではないかしら。

そして、分からないことがあった場合、わざわざ薬そのものを見に行くことはしませんわ。
添付文書を確認して、それでも分からない場合はガイドラインを確認して、
それでも解けない疑問は空いた時間に論文検索して。

そして実は医薬品の管理には薬剤の物性の情報が必要ですし、
法律や規制に関する情報も必要ですし、なんならコミュニケーションで得られるものも情報の一つですわ。
スライド6

ということで、情報の扱いは薬剤師の主戦力になりうる!
と、個人的には思っておりますわ。
スライド7

そんなこんな考えた結果、機械学習って強くない?
と思いましたので、強くなるために勉強をはじめることにいたしましたわ。

ようやく閑話休題。
薬物治療でどのように機械学習が応用されようとしているのか、
一緒に見ていきたいと思いますわ!
スライド8

そもそも機械学習の強みって何なの?どういう強みがあるの?って思う方も多いと思いますわ。
私が個人的に機械学習強いなと思うところは、「高次元から覗けるところ」かしら。しかも何百次元とか。
スライド9

とは言っても、例えば4次元ポケットから世界を見るとかそういうことではありませんわ。
正確な表現ではないかもしれませんけれど、何かを予測する時に使われるデータの種類数を次元と呼んだりしますわ。
例えば水の体積から水の重さを予測したり、身長から男性か女性かを予測したりといった、一つのデータの種類から何かを予測する場合を1次元と言いますわ。
で、データが2つになれば2次元、10個になれば10次元、100個なら100次元ですわ。

では、1次元の”機械学習”って何かと言いますと、一種類のデータのたくさん集めて、機械に予測モデルを作ってもらうことですわ。
先の例ならたくさんの体積の水の重さデータを集めて、kgに変換する式を作ったり、身長の分布から、何cm以上なら男性、以下なら女性の確率が高いという基準を作ったりといった感じかしら。
検量線や単回帰分析は、最もシンプルで機械のない時代からあった機械学習と言ってもいいかもですわ。
スライド10

手計算の時代では、実用は数次元がせいぜいでしたけれど、コンピューターの登場で10次元以上でも瞬時に計算が可能な時代がきましたわ。

けれど、最近画像認識する機械学習があったりしますわよね?
例えば最近よくある画像は1920x1080のドットで構成されていますわ。
つまり200万個のドットが画像の中にあるわけですわ。
つまり、フルHD画像を解析する場合、単純に考えた場合の次元は200万次元ということですわ。
さすがにこの数は今のコンピューターでも計算が大変なのですが、ニューラルネットワークという理論が技術として確立してきたことで、数万次元、数百万次元の計算でも実用的な速度で計算が可能になり、機械学習が世間をにぎわす時代の到来というわけですわ!

そんな感じで機械にデータを入れると良い具合に計算をしてくれることは分かったわけですけれど、計算したあとどうなるのかとうのも気になるところ。機械学習が返してくれる形式は…
    ・分類
    ・予測数値
    ・確率
        それに加えて、文章や画像の自動生成といった
    ・生成モデル
こんな感じのモノを返してくれますので、これらが研究で求める基本的な項目になると思いますわ。

スライド11

ということで、機械学習はたくさんの次元を扱うことができるのですけれど、医療分野で機械学習をしようと思った場合、どんなものをデータとして使っているのかを少し紹介したいと思いますわ。

薬と言えば化合物なわけですけれど、化合物の構造を表現する方法はいくつかありますわ、まずは原子と結合をそれぞれ文字や記号に置き替え、文章のように1行で表現するSMILES。
化学構造の中の置換基など、特徴に基づいて0, 1データにしたフィンガープリント。
各原子の座標と結合が行列の形式で表現するMOLやSDFというものがありますわ。

これらは人間が見てもどんな構造なのか想像しにくい記述なのですけれど、
機械にとってはとても読みやすい形式なんですわ。
こういった機械が読みやすい構造データがPubChemやChEBI、KEGG、COMPOUNDといったサイトで提供されておりますわ。

これらは構造についてですけれど、お薬の性質に着目したものもありますわ。作用するメカニズムや薬物動態のパラメーター、相互作用、毒性、さらには一般的な引用文献、臨床研究の一覧なども表示してくれているのがDrugBankというサイトですわ。
研究でなくても薬のことを調べるには普通に便利なサイトですわ。

ここまではお薬についての情報源でしたけれど、薬物治療には年齢や性別といった、患者個人のデータや、お薬を使ったあとの効果や副作用に関しての情報は医療カルテがメインになりますわ。
ただ、カルテ以外にも、副作用に関しては臨床からの副作用報告を集めているデータベースがあって、アメリカのSIDERが有名ですけれど、各国に似たものがあり、日本にもJADERと呼ばれる副作用データベースがございますわ。

他にも、経済状況を調べるのに保険データが用いられたり、
最近ではTwitterやFacebookなどのSNSにも注目が集まってきておりますわ。

とりあえずはこんな感じかしら。
スライド12


こんな感じで、データベースの整備もあって、臨床薬学における機械学習の応用はここ数年でようやく研究が始まってきた分野ですわ。けれど、それよりも以前から基礎研究分野では使われて。
ですので、まずはそちらから簡単に見ていこうかと思いますわ。
スライド13

さて、お薬が効果を発揮するためには私達自身の体のことが分かっていないと二進も三進もいきませんけれど、生物学では以前から機械学習が研究で利用されておりますの。

機械学習やAIの応用で割と思いつきやすいモノとして自動翻訳があると思うのですけれど、文字という記号がずらーっと並んでいるデータから、どの部分がどういう意味を示していて……
みたいなのって、ゲノムに応用できそうな気がいたしません?
ヒトのゲノムは約30億対の塩基の並びで生体の情報を記述しておりますわ。
つまり、4文字しかない言語で書かれている30億文字の文章的な印象ですわ。
このゲノムという文章から、病気や治療に関わる部分を見つけるのに機械学習が使われているということですわ。
もちろん配列だけでなく、後天的なゲノムのメチル化や、ゲノムの立体構造を使うこともありますし、ゲノムではなく生成されているRNAやタンパク質などを基に、病気や特性を調べる研究なんかも行われておりますわ。

スライド14

生物側からのアプローチだけでなく、物質面からのアプローチ、化学分野でも機械学習は利用されてますわ。
ほとんどのお薬は分子として設計されますけれど、どんな分子がどんな性質を持っているかってなかなか予測するの難しいんですわ。
ということで、そこで機械学習が使えないかと検討されておりますの。
私達がよく見る構造式をそのままというのは少し機械が読みにくいところもありますので、研究では先ほどお話ししたSMILESやSDFといった別の形式で記載されたデータを用いますわ。

SMILESは見て貰ったら分かると思いますけれど、言語に近い形式ですので、
こちらも自動翻訳と似たように扱うことができると思いますわ。
一方で、分子って原子の配列順序だけでなく、立体的な構造やどのあたりに電子が偏っているかなども性質を決める重要な情報ですので、そういった立体情報などが含まれているのがSDFですわ。

こちらは言語よりも画像処理に近いかしら?
このように、分子構造から物性、機能、生体への作用を予測する研究がおこなわれておりますわ。
スライド15

これらの研究をさらに応用することで、薬の開発にも機械学習の応用が検討されておりますわ。
まだ基礎分野ではありますけれど、創薬の分野ということでだいぶ薬物治療に近いづいてきましたわ。

それでは創薬にどのように機械学習が用いられているのか見ていきたいと思いましょう!

スライド16

お話させていただくにあたって、先に少しだけ薬学についてのお話させていただきますわ。
私達の体の中でシグナル伝達や機能の中核を担っているのはタンパク質ですわ。
チャネルですとか受容体ですとか、酵素などもタンパク質ですので、ほとんどのお薬はこういったタンパク質に結合することで効果が発揮されるようになってますわ。

例えば血圧は血管を収縮するシグナルを伝えるチャネルをや受容体を阻害したり、尿の水分を再吸収するチャネルを阻害することで血圧を下げますし、
がん治療ではDNAの複製に必要な酵素や血管や上皮の成長を促す因子や受容体を阻害することで、抗がん剤としての効果を発揮するお薬がありますわ。

つまり、今の薬理学では病気が発症するメカニズムと同時に、病気の進行や抑制してくれるシグナルの経路を特定すること、タンパク質に結合する分子がどういう構造のものなのかが、とても重要なポイントになりますわ。

もちろん、タンパク質に結合せず効果を発現する薬もありますが、今回はタンパク質に注目していきますわ。
スライド17

というわけで、生物学や病態生理学の研究によって標的タンパク質を
発見した後は、タンパク質の構造を調べますわ。タンパク質の構造解析も
創薬の主役級分野ですけれど、今回は私があまり詳しくありませんのでちょっと割愛ですわ。

薬はタンパク質に結合することで効果を発揮するわけですけれど、
どんな風に結合する化合物を探せばいいかしら?
……実は一番の主流は総当たりですわ。
目的の受容体が発現している細胞にひたすら色々な化合物を掛けて、
効果がありそうな感じがしたものを改良していくという方法ですわ!
ただ、これはこれで細胞培養にも試薬にもコストがかかりますわ。
ですので、できればコンピューターでシミュレーションできたらなーと思いません?

そんな私達のワガママを叶えるために、機械学習の応用が研究されておりますわ。

ということで、タンパク質の立体構造の中でどこがお薬が結合する場所なのかを予測したり、タンパク質の立体構造と化合物の分子構造を見比べて、それが結合しやすい組み合わせか、結合するにしてもどれくらいの強さで結合しやすそうかを予測するのに、機械学習を使った研究がされておりますわ。
スライド18

という感じで、タンパク質と薬の結合について研究するわけですけれど、一つの薬が一つのタンパク質とだけしか結合しないかというと、実はそんなこと全然ありませんの。
化合物が狙ったタンパク質以外に、どのようなタンパク質と結合しやすいかか、つまりは狙った受容体や酵素以外にどの程度結合するかを予測する研究もありますわ。
これが分かりますと、どんな副作用が起こりそうかの手掛かりが得られるだけでなく、別の作用を持つお薬として使える可能性もありますわ。

こんな感じで新薬の設計時の効果や副作用の予測だけでなく、既存のお薬に別の効果が隠れていないかを探すことに関しても機械学習は力を発揮できそうな感じですわ。
スライド19

ただ、いくらちゃんと結合するお薬でも、標的部位まで十分な量が届かなければ効果がでませんわ!
ということで、この辺りは動画でも少しお話いたしましたけれど、お薬がどういう速度で吸収され、どういう速度で代謝され、どれほど水に溶けやすく、どのような酵素で代謝されるかなどもとても重要ですわ。
代謝酵素はタンパク質ですので、先ほどお話したことと似た形なのでイメージしやすかもですが、分子の構造から体内の薬物の動きを予測する試みも行われておりますわ。

まだまだたくさんの応用例はありますが、創薬段階ではこういった研究で機械学習が使われておりますわ。
スライド20

ここまではゲノムや薬の分子構造に着目して、薬を創る過程に注目してまいりましたけれど、ここからは開発されたお薬を使うタイミングに焦点を当てた研究を見ていきたいと思いますわ。
例えば、同じお薬でも効果や副作用って人によって出たり出なかったりしますわよね。薬物治療段階で機械学習に期待されているのは、まさにこの個人差ですわ。

ということで、実際にどのように機械学習が研究に使われているか見ていきたいと思いますわ。

スライド21

ということで、臨床と機械学習一つ目は、その人にちゃんとお薬の効果が出るかどうかですわ。

最初にも申し上げた通り、お薬のリスクには「効果がない」というものがありますわ。
薬は誰でもいつでも必ず効果が出るわけではなく、効果が得られる方もいれば、残念ながら得られない方もいますわ。
今も数多くの臨床研究を基に、診療ガイドライン等でできるだけ効果が出そうな治療薬の選択がなされてはいるのですけれど、より高い精度で治療を行いたいと患者様だけでなく、臨床の医師や薬剤師も願ってたりしますわ。

そして、機械学習での研究が盛んなのも、そんな悩みやすいお薬がけっこう対象になっていた印象でしたわ。
私が今回読んだ論文ですと画像の様なお薬たちでしたわ。
例えば、感染治療に使う抗菌薬にも種類があって、得意の菌や得意の感染部位なんかがありますわ。ただ、菌を特定して効きそうなお薬がどれか調べるのには数日かかってしまうため、その間は一番効きそうな抗菌薬を予想で使うことになりますの。ただ、重篤な感染症の場合、この数日で容体が急変する可能性もありますので、最初の薬剤選択の精度を高める目的で、機械学習の応用が研究されてますわ。
また、結核のお薬やHIVのお薬などは数日でどうこうなってしまうというほどの緊急性はないのですけれど、効果のない薬を使うとウイルスや菌の耐性化が進んでしまう可能性があるため、こういったお薬も1st choiceにどれを選べばいいか機械学習で予測できないか研究されておりますわ。

致命的にならない疾患でも効果を予測したいお薬はいろいろありまして、
例えば抗うつ薬は効果が実感できるまで、2週間から1か月近くかかることが多く、一度の失敗でも患者様にとっては苦痛が1か月伸びるわけですから、
できるだけ事前に効果のあるモノを選びたいですし。

てんかんやパーキンソンといった病気に使うお薬は、症状や数値といった分かりやすい効果判定がありませんわ。しいて申し上げるなら、症状が出ていない期間が評価基準になるため、治療開始からしばらくはたまたま症状が出ていないのか、薬の効果が出ているから症状が抑えられているのかハッキリしませんわ。
ですので、精度の高い効果予測があるととても助かりますわ。

あと、もし、とても高価なお薬が効果が出なかったらショックが大きくありません?
個人としても負担が大きいですし、保険制度的にもつらいですので、リウマチやクローン病などで使われる高価な生物学的製剤が、本当に効果ありそうか事前に予測する研究なんかも行われておりますわ。

こんな感じで、この人には効果がありそう、この人はちょっと効果なさそうみたいな予測を今以上に精度を高めるため、機械学習の応用が検討されているわけですわ。

それぞれの研究結果、全体的に予測精度はそこそこ良さそうな気もするのですけれど、まだ実際に臨床で既存の治療薬の選択方法と比較できているものはほぼありませんので、今すぐ使えるという段階ではなさそうですわ。
スライド22

とは申しましても、期待が持てる研究であることは間違いありませんので、
もう少し深く見ていこうと思いますわ。

先程の表の中で、あからさまに避けていた項目があったのに気付いた方いたかしら?そう、抗がん剤ですわ!
各項目それぞれに該当していて、治療効果の予測が重要なので、
抗がん剤に関する研究を例に、どのような研究なのか少し覗いてみたいと思いますわ。

まずはゲノムから攻める方法! 肺がんや膵がんなど、様々な種類のがん細胞数千個からDNAのサンプルを抽出! それとは別に、がん細胞に抗がん剤をかけて、どれくらいの濃度で増殖が抑制できるかというのも調べますわ!
そして、その二つを組み合わせることによって、ゲノム情報から薬剤の効果を予測しようというものですわ。

一方で、すでに発現している症状や検査値などから予測しようというアプローチもありますわ。
乳がん治療では手術の前に腫瘍を小さくしたり、再発を抑制する目的で抗がん剤治療を行うことが良くあるのですけれど、この抗がん剤治療がちゃんと効果を発揮してくれるかどうかを、患部のMRI画像から予測できないかという研究もされておりますわ。
画像検査から効果予測するって、私の中では意外過ぎて、結構興味深かったですわ。

スライド23

こちらは、先程の項目には当てはまらないのですけれど、結構面白くて、『プラセボが効きやすい人はどんな人か』という研究がありましたわ。
過去30年でうつ病に対するプラセボの効果が10%近く上がっている……?
という事前報告があったため、特に慢性的になりやすい高齢者のうつ病にプラセボと抗うつ薬のシタロプラムを投与して、プラセボの効果が出やすい人を調べてみたという研究ですわ。

機械学習ではメジャーなランダムフォレストというアルゴリズムを使って、重要度の高そうな因子を調べてみようという研究ですわ。
結果、プラセボとシタロプラムの効果を大きく分けた因子は教育年数だったというのも意外性ありましたわ。もちろん、これが直接的な原因なのか、もしくは何かしら共通因子が別にあるのかは、この試験だけでは分かりませんけれど、こんな感じで関連の強そうな因子を探すことも可能ですわ。
スライド24

もう一つ面白かった研究は、感染症で使われる抗菌薬の選択についての研究ですわ。
先程も少しお話いたしましたけれど、細菌感染が疑われた場合、尿路感染症なら尿の、肺炎なら痰の細菌を培養で増やして、どんな細菌がいて、それら抗菌薬が効果があるかどうかを調べる薬剤感受性試験を行いますわ。
ただ、培養して検査結果が出るまでの数日間はある種の予測の元に考慮した抗菌薬の選択が行われていますわ。
現在の選択方法でも概ね問題ない場合が多いのですけれど、それを邪魔するのが、特定の抗菌薬が効きにくくなった耐性菌の存在ですわ。

耐性菌の存在は感受性試験が出るまでハッキリしないことが多いのですが、
感染の原因が耐性菌だった場合、治療が数日遅れることになって、もしそれが重篤な感染症だと、命に関わる可能性がありますわ。

ところで、培養検査が出るまでの抗菌薬はある種の予測の元で選択していると先程申し上げたわけですけれど、予測が得意なヤツがいましたわよね。
そう、機械学習ですわ。
患者さんの年齢や性別、今までの病気の記録や抗菌薬の使用歴などを
解析することで、最初の抗菌薬投与の前に耐性菌を予測するモデルが
作れないかという研究が報告されておりましたわ。

治療効果予測と機械学習については、ざっとですけれどこんな感じかしら。

スライド25

次は第二のリスク!副作用についてですわ!
医薬品のリスクと言えばこれ!みたいな感じかしら。
薬には主作用と呼ばれる狙った効果以外の作用が副作用ですわ。
副作用がたまたまいい効果をもたらすこともありますけれど、そのほとんどはあまり良くない作用なのですわ。
発現率がとても高い物もあれば、数例しか確認されていない場合もあったり、致死的なモノもある一方で、とても軽微な副作用もあるのですけれど、軽微とは言ってもそれは人によって感じ方も様々ですわ。
例えば、毛髪の脱毛は決して命に関わる副作用ではありませんけれど、
女性などにとっては大きな問題になりかねませんわ。

こんな感じで、発現率、発現した時の重さ、患者様の人生にどれほどの影響を与えるかなどなど考慮するべきポイントが多くて、副作用マネジメントは現代医療のかなり大きな課題ですわ。

そんな副作用の研究に機械学習がどのように応用されようとしているか見ていきたいと思いますわ!
スライド26

そもそも副作用というのは、創薬時点で予期していない作用ですわ。
動物実験では、服用者は症状を訴えてはくださりませんし、臨床試験も数百例では頻度の多い副作用しか発見できないことも多いですわ。
ということで、実際に臨床で使われるようになってから発見することも大事なんですの。

そこで、まずは世界中のメーカー製品情報や論文、副作用報告の内容を機械学習を使って読み取って、薬剤と副作用の関連をまとめたデーターベースのようなものを作れないかと研究されておりますわ。

ただ、副作用の報告は世界的に少なすぎると言われておりますわ。
理由はさまざまあるためハッキリとはしませんけれど、副作用か別の原因によるモノかの判定が難しいこと、報告に手間や時間がかかるため、通常の医療業務と比べて後回しになりやすいこと、軽微な症状や変化は見逃されやすいことなどが考えられますわ。

そこで、どうすればいいか研究者様方は考えましたわ!
電子カルテの記録から自動で副作用を検出できないか!
さらに欲を言えば、SNSのつぶやきから副作用を検出できたら、診察で話忘れたような副作用も検出できるのではないか!
ということで、カルテやSNSに記入された文章を機械学習で解析し、副作用を検出する研究が進められていますわ。
医療者様と患者様の使う用語が異なっていたり、国によって言語が異なったりなど、課題はまだありますし、それだけで副作用と断定できるわけではないですが、未確認の副作用を発見するのには特に有用そうですわ。
スライド27


そんなこんなで副作用のデータをたくさん蓄えたあとは、どのような方にどのような副作用が出ているのか把握する研究ができるようになりますわ。

創薬の段階では、薬効探索の時と同様に化合物データ、生物学的データから
発現しやすい副作用を予測しますが、治療段階では個人のデータを用いることで、その方に副作用が出やすいかを予測していきますわ。

今回読んだ中で比較的分かりやすかったモノを一つ紹介させていただきますわ。

イリノテカンという抗がん剤は様々ながん治療でキーとなるお薬なのですけれど、代謝酵素の遺伝子変異によって副作用が出やすくなることが知られておりますわ。
実際、臨床でも投与前には遺伝子検査によって変異があるかを事前にチェックして、もし変異がある場合は減量して投与を開始いたしますわ。

ただ、これはあくまで日本の場合ですの。
世界には設備やコスト等の問題で遺伝子検査が行えない場合もあるかもですわ。ということで、一般的な患者様のデータと血液検査、そしてイリノテカン投与後の代謝物の血中濃度の推移から、副作用が予測できないかという研究がされておりましたわ。

正直、対象の患者数も少ないですし、遺伝子検査がマストな日本では直接的利益が得られる研究ではないかもですけれど、こちらの研究と同じように、遺伝子検査に加えて患者データや血液検査の結果を用いることで、副作用の予測がより精度高くできるかもですわ。

スライド28

さて、これまで効果や副作用についてお話してまいりましたけれど、いずれもお薬が一つの場合のお話をしてまいりましたわ。
ただ、世の中的に薬物治療の多くは複数のお薬を組み合わせた併用療法だったりするのですが、複数の薬を組み合わせると作用も副作用も、どちらも増強する可能性がありますわ。

例えば、抗がん剤治療は効果を高めるために複数のお薬を組み合わせることが多い一方で、副作用のうち30%はお薬同士の相互作用が原因という報告もあったりしますわ。
そんな感じで、相互作用って臨床では大事な情報になりますわ。
けれど、相互作用って結構探すの大変だったりするんですわ。ちゃんと明確になっているものはお薬の説明書などに記載されているのですけれど、不明確な相互作用はまだ論文にしかなかったりしますので、さきほどの副作用の時にお話したのと同様に、製品情報や論文など、様々な医療情報のテキストを機械学習で良い具合に読み取って、相互作用の統合的データベースをつくろうとしている研究もございますわ。

スライド29

痛みが続けばうつになりそうというのはなんとなく直感的に理解できることですが、実際にうつ病患者様には慢性疼痛を持っている方が多いという報告もあるそうですわ。
ということで、抗うつ剤と医療用麻薬を併用する場合もしばしばあるのですけれど、医療用麻薬には直接体の中で効果が現れるタイプと、身体の中で別の物質に代謝されることで効果を発揮するタイプの2種類があって、SSRIと呼ばれる抗うつ薬の種類はこの効果発揮に必要な代謝を邪魔してしまい、効果が減弱してしまうと言われておりますわ。
ちなみに、日本では未承認の医療用麻薬ですので、日本は関係ないお話ですけれど。

ということで、相互作用があるということは分かっているのですけれど、では実際どれくらい痛みが悪化するリスクがあるのかというのは、個人差もありますので、わからないというのが正直なところですわ。

そこで、電子カルテの記録を基に4000人以上の方の記録を基に、65項目のデータから術後の疼痛みの変化の予測モデルを作ってみた結果、SSRIの使用と痛みの変化に関連がありそうというところまでが、結論として見えましたわ。

もちろん、研究中の予測モデルなので、痛みの変化を正確に予測できる段階ではないですし、SSRIが痛みの変化と因果関係にあるのか、はたまた単に関連づいて見えているだけなのかは、この研究からでは分かりませんけれど、こんな風に相互作用によるリスクの変動を捉えるのにも「機械学習、使えそう!」と思わせてくれる研究ですわ。

そして、臨床の医療情報だけでなく、分子構造やゲノム、用量反応曲線などの情報から相互作用を発見する試みもされておりますので、そちらの発展も期待大ですわ!

100報まとめ

ということで、ここまでで効果の出やすさ、副作用の出やすさ、お薬の相互作用を予測する研究をご紹介してまいりましたわ。
次はそれらをまとめたような感じなのですけれど、その人に効果が出て尚且つ副作用が出にくそうな用量を予測する研究ですわ!

治療域の狭いお薬で、用量を予測する研究自体は今までもあったのですけれど、あまり芳しい結果の研究は多くはありませんでしたわ。
そこで、機械学習を使えばもっと最適化された用量の選択ができるんじゃないかということで、現在研究が進んでおりますわ。

例えば移植後のタクロリムス、抗血栓のワルファリン、甲状腺切除後のレボチロキシン補充、あとは体内濃度が予測しづらいジゴキシンの濃度などの報告もありますし、もっと大きな範囲で代謝酵素のCYPが関与する薬剤まるごと用量の最適化ができなかという研究もございましたわ。

その多くは、まず電子カルテから患者様の年齢や性別、人種、加えて、病気や薬などの今までの医療記録、そして、現在の疾患の状態や検査値、ゲノム情報として代謝酵素の遺伝子変異情報といったところ辺りを元に、その患者様に適した用量がどれくらいなのかを機械学習で解析する感じですわ。

そんなこんなで、お薬に関する機械学習の応用例を見てきたわけですけれど、実は薬物治療って、お薬のことだけでは不十分なんですわ。


スライド31

そう、私達は病気のことも分からなければ、適切なお薬の使用はできませんわ。
ということで、病気そのものに対するアプローチに対しても機械学習は期待されてるので、そちらも少し紹介したいと思いますわ。
特に研究が進んでいるのはゲノムと疾患の関係、レントゲンやMRI画像などからの診断補助、診断に使える疾患マーカーの探索などかしら。
私が今回読んだ論文の中ですと、救急で搬送されてきた患者様の覚醒状態の判断を行うシステムですとか、感染症疑いの患者様が感染症の中でも危険な敗血症かどうかを判断するシステムですとか、そういったものもございましたわ。
ただ、薬剤師が診断の様な行為をすることはないと思いますので、そういった研究の中でも薬剤師に少し近い部分の研究を紹介いたしますわ。

一つ目は術後患者様の過鎮静もしくは過少鎮静状態を脳波から評価する研究ですわ。
薬剤師がICUでせん妄の評価とかけっこうハードル高くありません?
そんな時にサポートしてくれるツールになるかもですわ。

次も似た例ですけれど、パーキンソン病とその治療薬のレボドパによる副作用のジスキネジアもなかなか専門の医師以外は評価が難しいですわ。
そこで、撮影した動画の姿勢や動きからそれぞれの症状をひょうかできないかという研究もありますわ。
少なくとも、私が判断するよりはずっと良い予測精度な気がいたしますわ。

最後に、スペインでは認知症の早期発見を目的として、地域の薬局で拾い上げができないかと研究されておりますわ。
正直、変数167項目に応えてくださる患者様がどれほどいるか微妙ですけれど、精度7割は今後に期待できそうですわ。

これら以外に、起きるか起きないかといった2択ではなく、低血糖や入院などが何分以内、何年以内にどれくらいの確率で起きそうかといった感じで、
時間軸を組み込んだような研究もされておりますわ。
このままでは15分以内に低血糖が起こるというのが分かるとしたら、結構うれしくありません?
15分あればコンビニや自動販売機で糖分を購入できるかもですし。

こんな感じで、病気や症状などの評価、予測などは臨床の薬剤師に
大きな利益をもたらしそうではないかしら。スライド32

最後に!
実は薬学って治療だけじゃなくって、社会全体の健康にも寄与する必要がありますの。
ということで、薬と社会問題に関わる部分ではどのように機械学習が期待されているか紹介いたしますわ。

ここはもう端的にズバッとお話しようと思いますけれど、医薬品の不正取引にインターネットが利用されることは良くありますわ。
私達が良く使うTwitterやInstagramなども不正取引に利用されておりますの。
ただ、全テキストを人の目で確認していてはまったく追いつくはずもありませんので、機械が文章の意味を読み取って、不正取引の確率が高そうな投稿を抽出する研究も機械学習を使って行われていたりしますわ。

最後におまけ的な社会問題への取り組みですけれど、大気や地表面のデータからその年の花粉発生量を予測する研究もあったりしますわ。
スライド33

といった感じで機械学習は、生物学や化学、創薬だけでなく、薬物治療への転用もどんどん研究が進んでおりますわ。
しかし、研究から実用へ移行するのに課題が多いのは世の常ですの。

まずは元となるデータ問題ですわ。例えば患者の意思や医師の考えなど、全てを記述することは不可能ですわ。
また、健康のために使えるデータが多いことは間違いないですけれど、患者様の生活情報をどの程度利用して良いかはプライバシーとのバランスを取る必要がございますわ。
そして、特に日本では統合した医療データソースがないことも問題ですわ。
今回読んだ論文もほぼアメリカや中国といった住民の医療カルテを一元的に管理し、研究などの用途に使用することが認められている地域がほとんどで、日本の論文もないわけではなないのですが、患者数が数十例程度のデータ数が多くない論文のみでしたわ。
たくさんの患者数で研究可能な環境がなければ機械学習を応用することは難しいですわ。

次に実際にAIを使用する段階でも課題がございますわ。
機械学習はしばしば差別的な判断をしてしまうことがございますわ。
例えば女性だからこの病気になりやすいだろうですとか、高齢だから治療価値はないだろうですとか、貧困層だから不正取引をしやすいだろうですとか。そういった差別的判断をどう取り扱うかはAI使用の課題ですわ。また、機械学習でつくられたAIが判断ミスをした場合、誰が法的責任を取るかも課題の一つですわ。これは医療分野だけでなく、自動運転なども同様の問題を抱えておりますわね。
そして、もしかしたらこれは医療分野特有かもですけれど、高い予測精度に治療が追いつかない場合の問題もございますわ。
「貴方は99%の確率で、16か月後に病気で死亡します。回避する方法は現在のところございません」という予測結果は、知れて良かったという方もいれば、知らずにいたかった方も絶対にいると思いますし。

最後に時間経過とともに環境や状況が変わることで、作ったモデルの精度が下がる可能性があるため、リアルタイムでの改善が必要になるのですが、どの程度の頻度でそれが行えるかという問題もございますわ。

スライド34

こんな感じで、現在機械学習は倫理的側面を中心に課題はまだまだございますけれど、寄せられる期待も大きなものですわ。
これからは、例えば次の納品日までに必要な医薬品量の予測であったり、一包化された錠剤やカプセルの内容の自動鑑定であったり、棚配置の最適化のような倫理的問題が少ない部分から実臨床で使われていくのではないかしら。

将来的には、ウェアラブルデバイスと組み合わせたヘルスアプリの発展などもあると思いますし、プライバシーとデータソース問題のバランスを解決するために、匿名性の高い医療専門SNSなどもでてくるかもかしら。

今回、100報以上の論文を拝読してみた結果、未来がどのように変わっていくのか楽しみになりましたわ。

ここまでお読みいただいて深謝に絶えませんわ。今後の研究進展も楽しみに思う薬学乙女たんbotでしたわ。

読んだ論文のタイトル
The Next Era: Deep Learning in Pharmaceutical Research
Deep architectures and deep learning in chemoinformatics: the prediction of aqueous solubility for drug-like molecules
Deep learning applications for predicting pharmacological properties of drugs and drug repurposing using transcriptomic data
Developing Enhanced Blood-Brain Barrier Permeability Models: Integrating External Bio-Assay Data in QSAR Modeling
Combining Structure- and Ligand-Based Approaches to Improve Site of Metabolism Prediction in CYP2C9 Substrates
Automated detection of altered mental status in emergency department clinical notes: a deep learning approach
Deep learning algorithm predicts diabetic retinopathy progression in individual patients
Models and Machines: How Deep Learning Will Take Clinical Pharmacology to the Next Level
Using deep learning to improve medication safety: the untapped potential of social media
Applying Deep Neural Networks and Ensemble Machine Learning Methods to Forecast Airborne Ambrosia Pollen
Automated tracking of level of consciousness and delirium in critical illness using deep learning
Early and Accurate Prediction of Clinical Response to Methotrexate Treatment in Juvenile Idiopathic Arthritis Using Machine Learning
Decision Tree for Early Detection of Cognitive Impairment by Community Pharmacists
Qualitative and quantitative approach to assess of the potential for automating administrative tasks in general practice
Evaluation of Machine-Learning Algorithms for Predicting Opioid Overdose Risk Among Medicare Beneficiaries With Opioid Prescriptions
Machine learning and clinical epigenetics: a review of challenges for diagnosis and classification
Predicting Meridian in Chinese traditional medicine using machine learning approaches
Predicting short- and long-term glycated haemoglobin response after insulin initiation in patients with type 2 diabetes mellitus using machine-learning algorithms
Machine learning model combining features from algorithms with different analytical methodologies to detect laboratory-event-related adverse drug reaction signals
Prediction of irinotecan toxicity in metastatic colorectal cancer patients based on machine learning models with pharmacokinetic parameters
Using machine learning to examine medication adherence thresholds and risk of hospitalization
Predicting drug-resistant epilepsy - A machine learning approach based on administrative claims data
From hype to reality: data science enabling personalized medicine
Prediction of Nephropathy in Type 2 Diabetes: An Analysis of the ACCORD Trial Applying Machine Learning Techniques
Deep Learning-Based Prediction of Drug-Induced Cardiotoxicity
Exploring convolutional neural networks for drug-drug interaction extraction
Machine Learning to Predict, Detect, and Intervene Older Adults Vulnerable for Adverse Drug Events in the Emergency Department
Predicting neurological Adverse Drug Reactions based on biological, chemical and phenotypic properties of drugs using machine learning models
人工知能を用いた薬物副作用としての痙攣誘発活性の予測
Using Smartphones and Machine Learning to Quantify Parkinson Disease Severity
Predictive modeling of structured electronic health records for adverse drug event detection
Improvement of Adequate Digoxin Dosage: An Application of Machine Learning Approach
Deep learning improves prediction of drug–drug and drug–food interactions
Detecting Chemotherapeutic Skin Adverse Reactions in Social Health Networks Using Deep Learning
Ensembles of randomized trees using diverse distributed representations of clinical events
Machine learning workflow to enhance predictions of Adverse Drug Reactions (ADRs) through drug-gene interactions: application to drugs for cutaneous diseases
Integrative relational machine-learning for understanding drug side-effect profiles
Learning temporal weights of clinical events using variable importance
Computational models for the prediction of adverse cardiovascular drug reactions
Machine learning for the prediction of sepsis: a systematic review and meta-analysis of diagnostic test accuracy
Artificial Intelligence in Clinical Decision Support: Challenges for Evaluating AI and Practical Implications
Identifying incident dementia by applying machine learning to a very large administrative claims dataset
Comparison of machine learning models for the prediction of mortality of patients with unplanned extubation in intensive care units
Learning to detect and understand drug discontinuation events from clinical narratives
Predicting atrial fibrillation in primary care using machine learning
"Reevaluating the Efficacy and Predictability of Antidepressant Treatments
A Symptom Clustering Approach"
Potential identification of vitamin B6 responsiveness in autism spectrum disorder utilizing phenotype variables and machine learning methods
Machine Learning Algorithms for Objective Remission and Clinical Outcomes with Thiopurines
Predicting Adverse Drug Reactions on Distributed Health Data using Federated Learning
Accuracy of an automated knowledge base for identifying drug adverse reactions
Health Checkup and Telemedical Intervention Program for Preventive Medicine in Developing Countries: Verification Study
Conceptual Knowledge Discovery in Databases for Drug Combinations Predictions in Malignant Melanoma
Detecting Potential Adverse Drug Reactions Using a Deep Neural Network Model
Using natural language processing methods to classify use status of dietary supplements in clinical notes
Integrating Medication Therapy Management Education into a Core Pharmacy Curriculum
Medical concept normalization in social media posts with recurrent neural networks
Predicting inadequate postoperative pain management in depressed patients: A machine learning approach
Predicting adverse drug reactions of combined medication from heterogeneous pharmacologic databases
Rationale and design of a multicenter Chronic Kidney Disease (CKD) and at-risk for CKD electronic health records-based registry: CURE-CKD
Machine-learning to stratify diabetic patients using novel cardiac biomarkers and integrative genomics
Predicting hospital-acquired pneumonia among schizophrenic patients: a machine learning approach
The eICU Collaborative Research Database, a freely available multi-center database for critical care research
A new machine-learning method to prognosticate paraquat poisoned patients by combining coagulation, liver, and kidney indices
Semi-Supervised Recurrent Neural Network for Adverse Drug Reaction mention extraction
Machine Learning for Health Services Researchers
Analysis of Machine Learning Techniques for Heart Failure Readmissions
Supervised machine learning for the prediction of infection on admission to hospital: a prospective observational cohort study
Development and validation of a diagnostic model for early differentiation of sepsis and non-infectious SIRS in critically ill children - a data-driven approach using machine-learning algorithms
Inflammatory biomarkers in infective endocarditis: machine learning to predict mortality
A White-Box Machine Learning Approach for Revealing Antibiotic Mechanisms of Action.
Personal clinical history predicts antibiotic resistance of urinary tract infections
Tracking antibiotic resistance gene pollution from different sources using machine-learning classification
DeepSynergy: predicting anti-cancer drug synergy with Deep Learning
An integrative machine learning approach for prediction of toxicity-related drug safety
Machine learning and feature selection for drug response prediction in precision oncology applications
A Landscape of Pharmacogenomic Interactions in Cancer
Machine learning of big data in gaining insight into successful treatment of hypertension
Prediction of drug combination effects with a minimal set of experiments
Data-driven modeling and prediction of blood glucose dynamics: Machine learning applications in type 1 diabetes
Development and Validation of Machine Learning Models in Prediction of Remission in Patients With Moderate to Severe Crohn Disease
Application of Machine-Learning Models to Predict Tacrolimus Stable Dose in Renal Transplant Recipients
Machine-Learning and Stochastic Tumor Growth Models for Predicting Outcomes in Patients With Advanced Non–Small-Cell Lung Cancer
Impact of Machine Learning with Multiparametric Magnetic Resonance Imaging of the Breast for Early Prediction of Response to Neoadjuvant Chemotherapy and Survival Outcomes in Breast Cancer Patients
Beyond multidrug resistance: Leveraging rare variants with machine and statistical learning models in Mycobacterium tuberculosis resistance prediction
Distinguishing Asthma Phenotypes Using Machine Learning Approaches
Machine-Learning Approach for Modeling Myelosuppression Attributed to Nimustine Hydrochloride
Computational prediction of multidisciplinary team decision-making for adjuvant breast cancer drug therapies: a machine learning approach
A Machine Learning Approach to Identifying Placebo Responders in Late-Life Depression Trials
Revisiting Warfarin Dosing Using Machine Learning Techniques
Big Data Toolsets to Pharmacometrics: Application of Machine Learning for Time-to-Event Analysis
A comparative study of logistic regression based machine learning techniques for prediction of early virological suppression in antiretroviral initiating HIV patients
Stacked Classifiers for Individualized Prediction of Glycemic Control Following Initiation of Metformin Therapy in Type 2 Diabetes
Finding medication doses in the liteature
The Optimal Levothyroxine Dosing Scheme After Thyroidectomy: A Comprehensive Comparison and Evaluation
Feature selection and prediction of treatment failure in tuberculosis
Deep Neural Network Architectures for Forecasting Analgesic Response
Predicting the need for a reduced drug dose, at first prescription
Enhancing Seasonal Influenza Surveillance: Topic Analysis of Widely Used Medicinal Drugs Using Twitter Data
A Machine Learning Approach for the Detection and Characterization of Illicit Drug Dealers on Instagram: Model Evaluation Study
Vision-based assessment of parkinsonism and levodopa-induced dyskinesia with pose estimation
A Machine Learning Approach for the Discovery of Ligand-Specific Functional Mechanisms of GPCRs
Chemi-Net: A Molecular Graph Convolutional Network for Accurate Drug Property Prediction









この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?