タイでコンサート三昧(ライブ回想録)-その2:プムプアン追悼コンサート
【Place2】2010年6月12日(2)プムプアン18回忌追悼コンサート@ウェーティータイ
セントラル・ラマ2世での7C(チェット・シー)コンサートで、ルークトゥン・コンサート初体験にもかかわらず、ターイ・オラタイとシリポーン・アムパイポンという2人のトップ歌手に会う事が出来たこの日。
日本だったら1日1か所のコンサートに行けば充分な感覚だが、タイでのコンサート巡りはそれでは終わらないのが面白い所。
7Cコンサートは12時から生放送されているテレビの1時間番組なので、13時きっかりに終わった。その後2ショット写真を撮ってもらったり、遅いお昼ご飯を食べたりしたが、時間はまだ14時過ぎたくらいだった。
この時案内してもらっていたSさんから、この後もう1ヶ所コンサートがあるので、一緒に行きますか?と聞かれ、もちろんご一緒させていただく事にした。
次のコンサートはウェーティータイ(เวทีไท)という、こちらもテレビの生中継番組だったのだが、始まるのが18時という事で、まだ会場に行くのはちょっと早い。場所もプラプラデーン・アーケード(サムットプラカーン県)で、セントラル・ラマ2世からそれほど離れていない所なので、時間的にはだいぶ余裕があった。
そこでセントラルの中を少し散策したりするも、目ぼしい物もなく、大して時間もつぶせなかった。なので、Sさん曰く、リハーサルを観るのもそれなりに面白いという事だったので、少し早いがプラプラデーン・アーケードに向かう事にした。この時、時間はまだ15時過ぎ。
Sさんのお付きのドライバーが運転する車に乗せてもらい(Sさんは駐在員だったので、会社が付けてくれたドライバーがいた)、20分弱くらいでプラプラデーン・アーケードに到着。そこに広がっていたのは、先ほどのセントラル・ラマ2世とは全く違う野外のオープンセットだった。
下が砂利になっている駐車場に車を止め、ステージがある方に行くと、そこにはプラスティック製のちゃちい椅子が並べられていて、既にそこそこ人がいた。Sさんはコンサート会場でよく会うという常連のおじちゃんおばちゃんに、僕の分も含めての席の確保を事前にお願いをしておいてくれていた。
ステージの上ではブルーベリーの3人がリハーサルをしていた。この頃はまだ彼女たちは活発に活動していたが、個人的はあまり興味がない人たちだった。このリハーサルを見て、「ブルーベリーがプムプアンの歌を歌うの?」と頭の中にクエスチョン・マークがいっぱいになったのを覚えている。
ブルーベリーの後にリハーサルに出てきたのは、この頃、自分が一番気に入っていたリウ・アヂャリーヤー(หลิว อาจารียา)だった。ただ、メイクもまだ途中で、しかも頭にカールを付けたままと、なかなかの衝撃的な格好だった。と同時に、「これこそ、タイだなぁ~」と、妙に納得したのも事実。
初めてプラプラデーンに来たという事もあったし、ガイドブックには載ってないディープな場所だったので、まずはステージ周りをぶらぶら散策してみた。
ステージの上手(かみて)には、プムプアンを祀るテーブルが設置され、お線香と食べ物が供えられていた。この日の出演歌手は皆、会場に到着すると、ここでプムプアンにお祈りしてからステージに上がっていた。
会場のプラプラデーン・アーケードは、普段マーケットで様々な出店がでていて、さらにこの日はコンサートという事もあり、日本の縁日のような屋台もたくさんあって、タイ初心者にとっては、それだけでもワクワクする光景だった。
人を観察するのも楽しかった。会場では応援用のパネルを準備しているファンやマーライ(花を使って作られた首輪)を売る人、子供の世話をする子など、様々な人が来ていた。
リハーサルも順調に進んでいて、出演歌手も続々と揃ってきていた。ウーン・ザ・スター(เอิร์น เดอะสตาร์)、タカテーン・チョンラダー(ตั๊กแตน ชลดา)、プムプアンのひとり息子であるペット君も出演するようだ。そして、さっきまで7Cコンサートに出演していたターイ・オラタイもこちらに移動してきていた。
ウェーティータイ(เวทีไท)は当時5チャンネルで毎週土曜日の18~19時に生放送されていた、ルークトゥンモーラムの番組である。7Cコンサートはルークトゥンもポップスも放送していたが、ウェーティータイはルークトゥンとモーラム専門だった。
7Cコンサートやウェーティータイは、他のコンサート情報が見つからない時にその場所に行けば、ほぼ間違いなくコンサートが観られたので、コンサート巡り初心者にとってはありがたかった。
リハーサルを観ているとあっという間に時間は過ぎ、いよいよ本番スタートとなった。
まずは、この日出演する歌手が全員登場し、一緒に1曲を歌った。先ほどまでメイクしていなかった人もしっかりメイクをして、衣装もちゃんと着ての登場だ。
ビックリしたのは、Grammy GoldとR-Siamの歌手が同じステージに並んでいる事だった。
Grammy GoldとR-Siamはライバル会社で、レコーディングで一緒になる事は絶対にない。そのライバル会社同士の歌手がこうして並んでいるのは、なんとも不思議だったが、Sさんに聴いたところ、コンサートでは珍しい事ではないという話だった。やはりルークトゥンはCDだけ聴いているだけでは分からない事が多い。
それにターイ、タカテーン、ウーン、リウといった豪華メンバーが揃うのは、プムプアンの追悼コンサートならでは、だと言えるだろう。コンサート初体験の人間にとっては、この上ないラッキーだった。
オープニングのあと、まず登場したのはペット君だった。彼はこの頃、ラジオDJをやっていたと思うが、歌手としては母親の歌をカヴァーしたアルバムをグラミーから1枚出しただけだったはずである。にもかかわらず、彼の人気はすごかった。まさに親の七光りと言える。
ペット君の次にある女性歌手が登場したが、残念ながら名前を忘れてしまった。たしかSさんの話では、何かのコンテストで優勝した人だという事だったような。歌っていたのは「ナックローン・バーンノーク(นักร้องบ้านนอก)」だった記憶がある。
無名の歌手の次にいきなりトップ歌手のターイ・オラタイが登場。この時は何度も言うように、タイでのコンサートは初めてで良く知らなかったので、コンサートの始まりから大物が出てくることに不思議な感じを抱いていけど、この時はテレビ番組という事もあり、その辺の順番は番組の演出という意味合いもあったのだろう。
ちなみに、タイのコンサートで出演の順番を決める際に一番優先されるのが、その歌手のスケジュールである。忙しい歌手は1日に何か所も掛け持ちするので、次に別の場所に行かなければいけない歌手ほど、早く出てくる。有名度というのは二の次、というのがタイのコンサートのルールである。
続いて登場したのは、こちらもビッグネームのタカテーン・チョンラダー。正直な事を言うと、ターイよりもタカテーンの生歌を聴くことが出来た事の方が、感激が大きかったかも。とにかく、彼女の生歌は素晴らしかった。
グラミーの大御所2人の次は、R-Siamの若手だったブルーベリーの3人。実は彼女たちにはほとんど期待していなかったけど、実際に聴いてみたら、印象としてはそれほど悪くはなかった。でも、僕の中の彼女たちのイメージを覆すまでには至らなかった、というのも事実。
そして、いよいよこのコンサートで一番楽しみにしていたリウ・アヂャリーヤーが登場。彼女は2009年に開催されたGrammy Goldのプムプアン追悼企画「ドゥアンヂャン・・・グラーン・ドゥアンヂャイ(ดวงจันทร์…กลางดวงใจ)」にも参加していて、その時のリウの歌がすごく気に入っていたので、こうして生で彼女が歌うプムプアンの歌を聴けたことは感無量だった。
この時リウが歌っていたのは、「グラッセ・カオ・マー・シ(กระแซ๊ะเข้ามาซิ)」だったと思う。
最後はウーン・ザ・スターが登場。彼女は当時、Grammy Goldの中でも若手の部類に入る人で、個人的には名前は知っているけど、それほど熱心に聴いていた訳ではない歌手だった。なので、ラストがウーンというのは、何となく締まらない感じがしたのを覚えている。
タイ現地での人気度も良く知らなかったから、登場するなり彼女に花を上げる沢山のファンを見て、ちょっとビックリした記憶がある。
そしてエンディングは、出演歌手全員と司会者も加わって、「コー・ハイ・ルアイ(ขอให้รวย)」が歌われる。この曲は僕が初めて聴いたプムプアンの歌で、彼女の歌の中でも1番好きな歌だ。
その歌を聴けた事は、この時期にタイに来て、本当に大正解だった。
テレビの中継はここで終わりだったが、ウェーティータイを観に来る醍醐味はこの後で、会場に来てくれたファンの為だけに、出演歌手が何曲か歌ってくれるのである。
ただし、全員という訳ではなく、スケジュールに余裕がある人だけなのだが、それでもすごく得した感はある。
この時はタカテーンの他、何人かが歌ってくれた。しかも、テレビの演出はないので、本番とは違い、結構ラフな感じで、観客も凄く盛り上がっていた。まさしく「これぞ、タイのコンサート」という雰囲気だった。
時間は20時頃になっていただろうか。もう充分、お腹いっぱいだったのだが、Sさんによると、この日はまだもう1ヶ所コンサートがあるという。一緒に行くかどうするか、無理しなくても良いよとSさんは言ってくれたが、せっかくのチャンスなので同行させてもらう事にした。
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