生死を分ける「ま(間)」 その刹那(瞬間)(2)

少年時代・・・・子供は何をしでかすか判らない

   小学2年生か3年生であったろうか。
母の実家のある北陸での夏休みのことだった。
上野から12時間、一人で来ていた。
(同方面に行く人にこの子をお願いしますと、今では考えらえれないことだが)
ある日の強い夕立の後のこと。

近くに大川がある。
川水が濁っているときが、魚が良く釣れる、と云うことで、従兄とその友達と二人で私を連れて大川に釣りに行った。
入り江のような形になっている川渕で糸を垂れていた。
本当に大きな鯉らしき魚とウグイが釣れた。
私も浮き浮きしていたのだろう、裸足の泥んこになった足を「足を洗ってこようっと」と云って、少し前の水の方へ足を洗う様に前に出た。
従兄も友人も私の動きに気が付かなかったのだろう。
その刹那、ツルンと滑ってドボン。
2~3メートルぐらい先は大川が猛り狂ったように渦を巻いた濁流になっている。
不思議と入江形状の川渕は静かなのだ。
もう少し角度を変えて入水したら持って行かれるところだった。
私は完全に頭が見えなくなった。
それまで何秒のことだったのか、私の頭が浮いて来て従兄の差し出した釣竿にすがった。
私にしても慌てる暇がなかった。

従兄は今でも胆をつぶしたと云っている。
従兄は中学1年生ぐらいだったであろうか。
「やっちゃん、先に帰っとろ」と云うので、泣きながら帰った。
怖かった記憶はない。
成人してから思い出しゾッとした。
自然の間も含めて色々なま(間)が良かったのだろう。

小学校5年生ぐらいの時だと思うが、家の近くの坂を自転車をこいで登っていた。
ガクッとペダルの根元が折れた。
自動車が通れない坂道をゆっくり上っていたので大事に至らなかった。
トラックの行き交う大通りをさんざん走って来た時のことだった。
危なかったなあと思っただけだった。

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