海からの使者

波が砂浜に砕ける白い泡のスープが漂う場所、
そこから、この碧い奇跡の星『母なる地球』で最初の生命が誕生したと言われています。
それだけ自然エネルギーが高くて神聖な場所、それが自然の砂浜であり、海なのだ。

今の私達が手軽に誰にでもすぐに、そして直接に『母なる地球』のために、できること、て何だろう。といつも考えながら海を漕いでいる。

それは海のゴミを拾い、浜のゴミを拾い集めること。

すごくシンプルで簡単なことなんだけど、なかなか皆が日常的にやらないことだと思う。

特に海に浮いたゴミを拾うことは、普通に陸の上で社会生活している人には、そんな機会は与えられないだろう。

僕が日頃日常的に海を漕ぐ時に使っているヴァアというアウトリガーカヌーは、たいへん安定感があり、漕ぐために座る位置が、漕ぐたびに海に触れるほど海面に近い乗り物だ。だから海に浮いたゴミを網などを使う必要もなく、ヒョイと気軽にピックアップすることができる。

毎年長年にわたり恒例になっていることだけど、先日、葉山から南伊豆の弓ヶ浜まで、マラマホヌア『母なる地球をいたわり、愛しむ』ボヤージングの際。葉山から相模湾をまっすぐに横断して7時間、60キロ、川奈のイルカ浜まで漕いだワヒネ(女子)のクルーたちは海上に浮いた缶や瓶やペットボトルやプラスチックゴミを拾い集めながら漕いでいた。上陸した先々の浜でもビーチクリーンをしながら、まさに母なる地球をいたわり愛しむマラマホヌアな彼女たちの姿にいつものことながら感動した。https://www.facebook.com/oceanvaa

そして、その清々しい『虹の戦士』たちの行いに感銘を受けながらも、僕は愛してやまない海のおかれた危機的な状況を見過ごすことはできないと感じたのだった。いつものことながら、、、

目に映るすべてのことはメッセージ、、、
と歌にもあるように、
特に人工的な陸地の世界や人間の社会から遠く離れた海の上での感覚は眠っていた野生が目覚め、研ぎ澄まされ、神がかっているといつも感じているのだけど、

その日、マラマホヌアな『虹の戦士』のような存在のワヒネたちが漕ぎながら進むヴァアの下を、白色に光り輝く物体が横切ったのが見えたのはちょうど漕ぎ始めて4時間ほどだったと思う。

龍神さま、、、とふと直感した。

初島がかすかに見え始めたちょうど相模湾の真ん中あたり、相模湾で一番深いエリアで、潮溜まりのように大きく渦巻く海域にさしかかった時だったと思う。僕が座る舵取りpeperuシートからはあまりハッキリとは見えなかったけども、前方に座っていたワヒネたちが言うには、リュウグウノツカイ(竜宮の遣い)だと戸惑いながらも驚いていた。

リュウグウノツカイとは、深海魚の一種で、目撃情報は世界各地でもニュースになるくらいなかなかお目にかかることはできないものらしいのだ。
そう、「竜宮からの使者」「龍神様からのつかい」が、
海を癒やしながら、ひと漕ぎひと漕ぎと母なる地球に『ありがとう、だいすき』と語りかけながら漕いで渡る、私たち『虹の戦士』の前に、なにかのメッセージを持って現れたのだった。

ありがとう!と伝えにやってきたのかな、、

とその時は思ったりもしたけども、どうみてもそんなことではないらしい。

その場所は陸地から遠く離れた相模湾の真ん中だったけども、そこの海は人間が捨てたゴミで哀しいほど汚れていた。

大雨の後だったということもあるけども、こんな陸地から離れている場所なのに、プラスチック製のゴミが浮かんでいて、オイルや汚染で汚れていたのだった。

深い深い、私たち生身の人間は到底行くことさえできない深海からわざわざ私たちの漕ぐヴァアをめがけて、死をも覚悟して何かを伝えにやって来たリュウグウノツカイ。

龍神様の遣い、

その光輝く姿は、私たちに助けを求めに来たのではないだろうか。

驚きながらも、そんな哀しい気分になったのは俺だけじゃないと思う。
ましてや、私達が7時間漕いで交代のために上陸した場所は、川奈にあるイルカ浜というかわいい名前が付いた一見きれいな人工の砂浜だった。あちこちに可愛いいイルカのモニュメントが置かれてはいるけども、この場所はかつてイルカ漁が盛んだった漁港で、毎日たくさんのイルカさんたちが入り江に誘い込まれて銛で刺され、こん棒で叩き殺され、海が真っ赤に染まっていた場所なのだ。そんな哀しい人間とイルカたちの関係の歴史を持つ場所に私たちは上陸した。もちろんそのことを理解して、私達は祈りを捧げ、イルカたちに感謝の気持ちを伝え、イルカの魂を癒やしながら、オリを唱えながらその入り江に入っていったのだった。
砂浜から見る、碧くキラキラと光り輝く海が、無性に哀しい場所なのだ。

浜で待つオハナたちに海でリュウグウノツカイに遭遇したことを話している会話を小耳にしたのだけど、つい昨日か一昨日、どこかの浜にリュウグウノツカイが死んだ状態で打ち上がっていたらしく。解剖したところ、内蔵からたくさんのプラスチックゴミが見つかったらしいのだった。その話を聞いて、僕は確信したのだった。

私たちがボヤージング中に相模湾の真ん中で助けを求める様に深海から決死の覚悟で水面まで浮上してきて私たちに助けを求める様にして私たちに見えるようにヴァアを横切っていったリュウグウノツカイ。”海からの使者” がマラマホヌアをうたって航海する私たちのもとにやってきた意味がわかった気がしたのだ。

今の海は危機的状況なのだと、手遅れになる前に、これ以上海を汚さないために、母なる地球に元気になってもらうために、今すぐに私たちにでもできることをやろうじゃないか。

色々計画を立てたり考えたりする前に今すぐ私たちにできることを行動に起こそうじゃないか、と心に強く思った。

自分たちの便利さや快適さばかりを追求する人々の意識や感覚をかえる時だと思ったのだった。

続く

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