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内緒の関係 ちずる奥様のストーリ①


 人生は退屈なものだと、一か月前まではそう思っていた。
 自分の立ち上げたソフト受託開発を主にしている会社は、極めて業績がよく金に困ったことは一度もない。
 これまで自分は色々と遊び歩いて来た。ある風俗店を丸々貸切って嬢を独占したことだってある。
 金に物を言わせて無茶をしていた自覚はあったが、言い寄ってくる女たちが自分ではなく持っている金に群がってきていることは理解していた。
 だから調子に乗って痛い目をみることはなく、それなりに楽しく毎夜を過ごしていた。
 だが、どこか空虚で退屈なものを感じていたのも事実だ。
 そんなある時、たまには初心にかえって、適当な店のデリヘルでも利用するかと思ったのが、運命の分岐点だった。
 そこで自分は初めて夢中になれる女性に出会ったのだ。

 今日で彼女を指名するのは三度目になる。
 毎週通い詰めている自分のことを、彼女はどう思っているのだろうか。
 もちろん相手もビジネスなのだから、勘違いをするつもりは毛頭ないが、少しでも自分と会うことを楽しみに思っていてくれればよいのだが。
 そんなまるで恋する少年のような気持で待ち合わせ場所に向かうと、彼女も丁度こちらに向かって歩いてくるところだった。
 向こうもこちらに気付いたらしく、その整った顔に笑顔を浮かべた。
 その屈託のない笑顔に、自分はどうしようもなく心が跳ねるのを感じるのだった。

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