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内緒の関係ちあき奥様のストーリー③

彼女のことは、あらかた頭に入れていた。
待ち合わせ場所にたどり着くと、人待ち顔のちあきさんがいた。
「失礼、ちあきさんですか?」
こちらから声を掛けると、ぱっ、と明るい顔で振り向いた。
「はじめまして。よろしくお願いします」
茶色の髪がふわり、と揺れる。
上品で、シンプルなベージュのコート。
白のニットセーターに、タイトスカート、黒のストッキング。
肌の露出は冬らしく抑えられているがー。
はた目にも、腰のくびれや胸の起伏が目立つ。
ぱっちりとした目に、よく手入れされた眉ー。
彫りはやや深く、都会的な洗練さを感じる。
(30させごろ、か……イイ女だな)
ポーカーフェイスのまま、品の良くない感想を抱く。
30代で、これほど、すっきりしたシルエットを保っているのは奇跡だ。
20代は若さで何とかできるものも、30代には手入れの差が出て来る。
美意識の高さや、努力のほどがうかがえる。身なりも、安っぽさが微塵もない。
それでいてー。
「では、失礼しちゃいます」
ちあきさんは、私の二の腕を取り、おどけたように言った。
「ああ……。よろしく頼むよ」
その無邪気な様子に、口元が緩む。寄り添う彼女の体温を感じながらー。
私は、胸の奥で、熱い期待を感じていた……。


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