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はな奥様ストーリー【最終章】

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 時間は迫るもので、少し急いでシャワーを浴びる。残った時間はすっかりリラックスして、本当に他愛もないことをしゃべっていた。
 ちょっと男を取り戻すつもりが、今は名残惜しくてたまらない。また会えるだろうか。
 無意識にはなさんをじっと見ていた。それに気付いて、彼女が笑った。
「大丈夫ですか? さみしくなっちゃいました?」
「うん……そんな感じ」
 思わず正直に答える。あははっ、と彼女がくだけて笑う。
「私も寂しいです。でも、また会えたら、もっと楽しい時間過ごせるんじゃないかなって」
「もっとエロくなるってこと?」
 もう、と軽く肩を叩かれる。それで嬉しくなるぐらいにハマっていた。
 最後に短くハグをして、それではまた、と別れた。
(すっきりしたのに、寂しいなんてなあ)
 日常あっての非日常。居場所があっての冒険。
 これから戻る我が家は、きっといつもより物足りないかもしれない。

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