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フランク=バウアー編/前奏曲、フーガと変奏曲

セザール・フランク(1822-1890)はベルギーで生まれ、フランスで活躍した作曲家・オルガニストである。

この作品は『大オルガンのための6曲集』のうちの一曲で、40歳頃に完成した。
それまでの彼の作品は、当時流行した超絶技巧を取り込もうとしたものの、アイデンティティーに欠けると評され ることが多い。
しかしこの作品では、過度な装飾は取り払われ、その代わりにフランクの内的で深遠な世界が十分な魅力を持って現れている。

この頃の彼に多大なインスピレーションを与えたものの一つに、サント・クロチルド聖堂のパイプオルガンがある。
彼はこの楽器を深く愛し、何時間も練習・即興・作曲に励み、オルガンの美しい響きと共にその名声を高めていったという。

サント・クロチルド聖堂
Wikipediaより
同聖堂のオルガン
Wikipediaより

弟子らによって語られたフランク像は大変に思慮深いものであった。
芸術の気品や音に対する熱く真摯な姿勢と、配慮を巡らし穏やかで思索的な性格はそのまま音楽に表れているように感じる。

2022.07.20 東京藝術大学ランチタイムコンサート2022 〈大学院音楽研究科修士課程1年生によるピアノジョイントリサイタル Vol.2〉より(一部加筆)
出演:佐伯日菜子、伊達広輝

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