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「墓の魚」公演に登場する不思議な楽器達

道化のお面

「墓の魚」の音楽には、古い時代に南ヨーロッパなどで使用されていた楽器が沢山登場いたします。
ここでは、そんな楽器達の一部を紹介したいと思います。

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どんな名前の楽器なのか?公演の中でのその役割(象徴)は何なのか?事前に知っておくと、「墓の魚」の公演を、より楽しむ事が出来るかも!?



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マルティネーテのハンマー

フラメンコのMartineteという曲種で使用される鍛冶屋が鉄を打ち付けるハンマーの音を出す楽器。
打楽器をほとんど使用しない「墓の魚」の音楽で、打楽器といえば、これか、カスタネットか、パルマ(手拍子)位です(タンゴもファドも打楽器を使用しません。
オペラも本質的な意味では、あまり一定に打つ打楽器を使用しません。静寂の中で感じさせるリズムには、魂の気品と、気高さが宿るのです)。
迫害の歴史を持つジプシー(ヒターノ)の鍛冶屋が鉄を打つハンマーの音は、人間の人生の日々の苦悩を表現しています。
場をより重厚にし、魂の痛み【Duquelas】を感じさせる打楽器です。


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リュート

ルネサンス時代のヨーロッパで使用されてたギターの祖先。
ギターよりも繊細で乾いた音色を奏でます。
「墓の魚」では、俗世の葛藤が浄化され、最終幕でキリスト教の信仰が表現される場面【Commendatio animae】(天上の天使達が奏でるシーンでもある)で演奏される事が多いです。


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木製ペグのフラメンコギター

フラメンコギターはクラシックギターよりも軽い木材などで作られ、乾いた荒々しい音色を出すように改良されています。
いわゆる【L'âme du Pauvre】(貧者の魂)の表現であり、恐らく、起源も貧困なヒターノ(ジプシー)達が安価なギターを使っていたのが最初ではないかと言われています。
糸巻きペグが木製のこのギターは、かなり古い時代にフラメンコで使用されていたタイプです。


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19世紀ギター

「墓の魚」で使用されている19世紀ギターは、制作されてから200年も経っているフランス製のギターです。
古い時代のギターは小型であったり、弦高が低かったり、それゆえの独特な音を持っています。
もはや、かなり朽ちている状態ですが、「墓の魚」の【L'âme du Pauvre】(貧者の魂)をよく表してくれる良い楽器です。
作曲家は、こういう墓場で虫が這っている様な楽器が好きです。
古い木の糸巻きをギギギと鳴らし、調弦する時、それは、貧者の棺桶が風で軋む音【Noche oscura del alma】でもあります。


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バテンテギター(キタラ・バテンテ)

南イタリアの特殊な古いギターで、現地では、タランテッラ(毒蜘蛛の踊り)という舞曲に使用されます。
とはいえ、非常に乾いた鉄弦の音色を持ち、陽気な南イタリアの雰囲気を奏でる魅力的なギターです。
「墓の魚」の音楽には、意外に出番が多く、そのほとんどが激しいかき鳴らし弾き奏法で使われています。
作曲家は、このギターの音色を、イワシ(サルディーニャ)料理のギター【Violão sardinha】と呼んでます。


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ポルトガルギター

ポルトガルのファドという音楽にのみ使用される特殊なギターです。
高音でありながら、悲しみを含んだ重い音色は、他のギターでは全く代用できません。まさに人生の喪失を嘆くギターです。
「墓の魚」もファド【Fado Enterro】を作曲するので、そういった作品に使用されていますし、「墓の魚」音楽【Chanson funéraire】を代表する重要な弦楽器でもあります。

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マカフェリギター

フランスのミュゼットなどに使用されるハスキーな音の鉄弦ギターで、フランスのジプシーが演奏していた為、ジプシーギターと呼ぶ人もいます。
一見、普通のフォークギターと似ていますが、構造が異なるだけでなく、あまり響かない音色を持っています。
それはつまり、美しさよりも、乾いたユーモア【Esprit】を重視した戯け者に好まれる楽器という事かもしれません。
「墓の魚」のフランスをテーマにした作品には、このギターを使っているので、ぜひ探してみて下さい。

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カスタネット

カスタネットといっても、フラメンコや、南欧世界で演奏されるカスタネットは、激しい連続したラスゲアードの様な高い技術を要する叩き方をします。
打楽器が入る事がほとんどない「墓の魚」の音楽で、こういったリズム楽器が入ると、盛り上がる様ですね。


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イタリア・マンドリン

イタリア民謡などに使用される古いイタリアの民俗楽器。
鉄弦による高音の美しいトレモロを奏でます。


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天使が終末に吹くトランペット

宗教画などで天使が吹いている特殊なトランペットです。
長いトランペットは壮大な音を奏でますが、メロディー音を出すのが非常に難しく、「墓の魚」では、開幕の合図のみに使用されています。


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カリヨン(教会の鐘)

本物の教会の鐘です。
クラシックでは古くから、神の信仰を表現する為に、本物の教会の鐘を使用する試みが行われてきましたが、その大きさ、不便性から、多くは他の楽器などで代用されてきました。
このカリヨンは比較的小型なので、「墓の魚」の信仰を表現する場面【Commendatio animae】などで壮大に鳴らされます。


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卓上オルガン

電気により中のふいごが動き、その風により音を奏でるオルガンで、アコーディオンに似た音を持っています。
「墓の魚」の劇 【Los nematodos】の中でも、魔女のサバトの会話を淡々と描く形式【Aquelarre】の中で、サバトに置かれる劇中の楽器として、最初は導入されました。


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トイピアノ

鉄琴に近い音を奏でる小型鍵盤楽器。
元来は玩具としての性質が強く、市販のトイピアノのほとんどはチープな作りをしていますが、中にはこの楽器の様に、本格的な物も作られていて、一部の現代音楽家も使用しています。
「墓の魚」の作品の様々な場面で活躍しています。
こちらも、卓上オルガンと同じく、「墓の魚」の劇 【Los nematodos】の中で、サバトに置かれる劇中の楽器として、最初は導入されました。


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パイプオルガン

壮大なキリスト教の信仰の音をならすオルガン。
その厳格で厳粛な音色は昔から、「墓の魚」作品【Chanson funéraire】のキリスト教信仰を表現する場面【Commendatio animae】で活躍します。
作曲家は、パイプオルガンの曲をかなり多く作曲していて、この楽器は「墓の魚」では不可欠なパートとなっていますが、そのせいで「墓の魚」が演奏会を開ける会場は限定されているという事情があります(パイプオルガンが常設してある会場が少ないので)。


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ポルタティーフオルガン

「墓の魚」作品の中で、葛藤が浄化され、キリスト教信仰が表現される終幕の部分を【Commendatio animae】的と考えていますが、その場面で不可欠なパイプオルガンが演奏会場に設置されていない場合の対策として、小型オルガンの導入は、長い間「墓の魚」の課題でした。
近年、楽器製作者である後藤 和孝様から楽器をお借りする事で、実現する事になりました。それがこのポルタティーフオルガンです。



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アゴゴ

「墓の魚」作品の中で、一曲だけ、この打ち鳴らす打楽器を使用する作品があります。
これも一種の【L'âme du Pauvre】(貧者の魂)を表現する楽器と言えます。




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パエリャ鍋

打楽器として活用します。
身近にある生活品を楽器に使用するのは、ラテン音楽的であり、【L'âme du Pauvre】(貧者の魂)の演出であると言えます。


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ヴィオラ・ダ・ガンバ

チェロに似ていますが、もっと古い時代のヨーロッパで使用されていた弦楽器です。
チェロよりも音は小さく、素朴な音色を持っています。



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コーラス達

「墓の魚」の音楽は、合唱が多いです。
児童合唱的な天使の合唱【ángeles】と、コミカルで道化的な墓場の虫の合唱【escarabajos】で求められる歌唱が全く異なりますが、人員不足故に、同じメンバーが両方をこなす事がほとんどです。


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道化師達

「墓の魚」の音楽をメインで歌うのは道化師です。
彼、彼女達は、オペラを歌う者から、ラテン音楽を歌う者、演劇専門の者まで色々な種類の道化師がいます。




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→ツイッター
https://twitter.com/polilla_de_fe

→YouTube音楽動画
https://www.youtube.com/user/pescado666cristo/videos

→墓の魚・公式サイト
http://site-1295095-2445-4622.mystrikingly.com/
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自作の詩による詩集「沼地の聖書」(ハードカバーによる分厚い豪華本を予定)を出版する為のサポートを募集しております。ぜひ、よろしくお願いします!!いただいたサポートは詩集の費用にさせていただきます。