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【ネタバレ】古のメンヘラとミッドサマー

ごきげんよう。
日光と相容れず、湿疹が増えていく日々、日没が安心するのに安心する時間帯が少なくなり、人間の陽気が湧き立つ季節を、いかがお過ごしでしょうか?

夏を感じたので、『ミッドサマー』もう一度視聴しよう!と思ったら配信終了していました。悲しい気持ちです。
でもあの感動を思い出しながら感想を書いていこうと思います。
がっつりネタバレと、偏見がふんだんに含まれているので、ご注意くださいませ。
メンヘラだけど、そんなんじゃないやい、って方も多いかと思います。ごめんね。

全然関係ないんですけど、良く言えばマイペース、悪く言えば…わざわざ悪く言わなくてもいいですね、人間の時間の感覚が難しいので、流行りのものを旬のうちに享受できません。化け狸だから。

何度か勧められていて、でもたぬホラー苦手なんです。一人で観れないんです。
物語りに没入するタイプなので、スプラッタ系も観ていて痛くて苦しくなっちゃうんですよね。この共感覚ってメンヘラだいたいそんな感じではと勝手に思っています。あと少しの爆薬で、感情が爆発しちゃうのも。
ホラーは、特にすごく「目が合いすぎて」しまう感じがして…
常々、理不尽にうちのめされて、むごく殺されるならば、絶対にただで簡単に死ぬものか、絶対にその時は怨霊になる、と体の全細胞に言い聞かせているので…妖怪とか怨霊サイドへの共感が止められなくて、生き物としての理性を保つのが難しいので、苦手なんです。あと単純に怖い。びっくりしやすいんです。
(全国にお姫様が恨みをもって死んでしまい、龍になった伝説っていくつかあるじゃないですか。そこ死ぬまでにちゃんと巡っておきたいです。)

『ミッドサマー』はフェスティバルホラーで全然暗くならないし、景色がずっと綺麗と聞いて、挑みました。

勧めてくれた子の友達が「なんだかんだ最後はにっこり映画」と言っていたのを聞いてすごく納得しました。
これは、メンヘラ目線で見たらすごく、スッキリにっこり映画です。
途中がね、ちょっとグロテスクなシーンがありますけど、白目剥いていれば、大丈夫ですからね。

まず、何より主人公のダニー役の方の、泣き方がリアルですごく良かったです。
メンヘラ極まって涙が溢れる時、いつだってメンヘラは獣に還る。
だってメンヘラの涙は魂の咆哮と一緒ですので。
昔の職場で、泣きながら退職したい旨報告した時、「君の泣き方、ほんとトラウマになりそう、いいよいいよ辞めて」って言われた時を思い出してしまいました。
ダニー、あなたは私、私はあなた、メンタルがヘラ突き上げ極まって、そうミッドサマー、これは私の物語。
ダニー、だけど私、メンヘラの成れの果てまできたから、わかるし、言えることがあるの。
ダニー、彼氏のクリスチャンまじ最悪すぎる。

もうほんと作品の中のお話なのでご容赦くださいませ。
クリスチャンが嫌いすぎます。
軽薄なところも、決断ができないところも、結局自分のことしか考えてなくて自分勝手なのに、それを自覚せず、しれっと取り繕っているところも全部嫌い。
『ミッドサマー』を見直したかったのも、クリスチャンの台詞全部書き出して、「メンヘラの地雷を踏み抜く見本」として自分の中で整理したかったからです。
(たぬ的メンヘラの地雷を踏み抜く見本として、『あなたの番です』の手塚翔太くんもいます。)

この映画って、とんでもない怪奇現象が起きたり、全然倒せない幽霊とか出て来るわけではなくて、ずっと人間しかいないんです。
それが故にホラーと言えばホラーなんでしょうけど、そんなこと言ったら現実世界が一番ホラーだよねってなっちゃうので、たぬ的にホラー映画ではなかったです。
ずっと景色は綺麗でした。暗がりもなかったです。画面の明るさ的な意味では。

印象的なのが、序盤のクリスチャンのヘイトの蓄積と、最後のダニーのお顔です。
ストーリーの主軸もすごくよかったです。つきましては、人間ってやはり恐ろしい生き物ですねの一言に尽きますね…
ホルガの人々より、招かれた人たちの方が怖かったです。

「メンヘラ」ってどんな感じなの?とご興味のある方、文明が廃れるのはいつだって人間の知見の様さゆえの暴力によるのだと鬱憤のある方、白夜の北欧の美しい森を堪能したい方、「にんげん?こわくないよ、おらたちなんたって妖怪だもの!」という人間初心者の妖怪の方におすすめの映画、『ミッドサマー』ぜひご覧くださいませ。

解き放たれた肩甲骨と共に、訪れない夜へとごきげんよう。

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