子育て中でもできる、「おさがりをあげない」というSDGs
二歳の娘が「ハナミズ、デタア!」と叫ぶので、ティッシュ片手にかけよった。すると、首をふって「コデジャナイ!」。さっき鼻水をふいたやつではなく、新しいのをよこせ、というのだ。まだこれ使えるよ、となだめてみるも「イ゛ーヤーー!」とだんだん声が大きくなる。ここで強硬突破すると、大泣きになり、お風呂に入れず、明日の登園にも影響する。しかたなく新しい一枚を出す。
今日だけで、どれだけティッシュをムダにしたんだろう。
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子育てとSDGsは、水と油だ。「未来を担う子どものために、環境を守ろう」がSDGsのねらいのはずなのに。ため息が出る。サステナブル、エコ、全部やめたくなる。それでも、私が心がけていることがひとつだけある。
「他人におさがりをあげない」ということだ。
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私の母は「もったいない」が口癖だった。すぐにサイズアウトするからと、子ども服はほとんど買わなかった。
「親戚の〇〇ちゃんの服、もらってきたよ」
私の服はおさがりばかりだった。
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大学生になり、自分で服を買うようになった。が、どんな服が似合うのか、何をどれくらいもつべきなのか、さっぱりわからない。一人暮らしの部屋は、ふらっと立ち寄った駅ビルで、なんとなく手にとったものであふれかえった。
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転機が訪れたのは、たまたま受講したこんまりさんの個人レッスンだった。
「ときめくものだけ持つ」が、彼女のセオリー。
もったいない気持ちをぐっとこらえ、ゴミ袋百袋近くを処分した。驚いたことに、いったんものを厳選すると、似合うものや必要な数がはっきりわかるようになった。レッスン以来、タグがついたままの服がクローゼットで出土する、なんてことは一度もない。常に少数精鋭の服を寿命がつきるまで着るようになった。
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ものがなかった時代は有益だった「おさがり」文化、いまや見直すべきではないだろうか。あげる側は捨てる罪悪感から解放されるが、もらう側はどうだろう。
目上の人から言われたら、ほしくなくても断れない。趣味じゃなくても、一度は着ないといけない。そして、かつての私のように、自分のときめきでものを選ぶ機会やスキルまで消失してしまう。結果、不要なものまであれこれ買ってしまい、SDGsとは真逆の道を突き進むことになる。
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身近な人におさがりを押しつけない。中古品は、フリマアプリを活用し、それを心底必要としている人に届ける。
子育て中でもできる、私の小さなSDGsである。
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