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Hommage à Jane Birkin

こんにちは。あるいはこんばんは。
おしゃま図書です。

2/23から25の三連休、私はジェーンの追悼上映(Hommage à Jane Birkin)のため、日仏学院を訪れました。

今回の上映作品:
①太陽が知っている  La Piscine(1969年、ジャック・ドレー)
②ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ Je t’aime moi non plus (1975年、セルジュ・ゲンズブール)
③ラ・ピラート La Pirate (1984年、ジャック・ドワイヨン)
④右側に気をつけろ Soigne ta droite(1987年、ジャン=リュック・ゴダール)
⑤美しき諍い女 La Belle noiseuse(1991年、ジャック・リヴェット)
⑥ジェーン・バーキンのサーカス・ストーリー(小さな山のまわりで) Trente-six vues du pic Saint-Loup  (2008年、ジャック・リヴェット)

1969年の『太陽が知っている』から、2008年の『ジェーン・バーキンのサーカスストーリー』まで、6本上映され、そのうち、私は4本を観賞しました。


太陽が知っている(La Piscine)

1969年といえば、ジェーンがセルジュと出会った年。
スウィンギン・ロンドンからやってきたジョン・バリーの元嫁。すでに一児の母というのが嘘かと思うくらい、あどけなさ満載。
フランス人がイギリスで唯一好きなのはプティットアングレーズ(イギリス娘)だと言ってたのは誰だったかしら。すらっとした脚。少年のような直線的な体。まさに、フランス男の夢!
ロミー・シュナイダーの肉感的なボディと対照的です。
そして、ロミーといえば、アラン・ドロンの元カノ! 週刊誌的な話題性もたっぷり。でも、今見ると、お話は豪華な火曜サスペンス劇場ね。
後にエルメスの「バーキン」が作られることになる、ジェーンお気に入りのカゴバックを持つ姿を見れただけで満足です、私。

ラ・ピラート(La Pirate)

セルジュと別れ、ドワイヨンの元に走って、女優としての才能を開花させたジェーン。実は私、これ、見逃していたので、スクリーンで見れて幸せでした。しかも、この回、満席!
1984年当時で、この内容、そりゃ物議をかもしたでしょうね。それにしても、実の兄と夫婦役させるなんて、ドワイヨンて趣味悪いよねぇ。
とにかく、感情の爆発具合がすごくて情緒どーなってんだ、と思います。室内劇っぽくもあり、寓話的でもある。あの、少女役の子が、すごくいい感じに回してた。

右側に気をつけろ(Soigne ta droite)

ジェーンって、ゴダールの『右側に気をつけろ』にも出ていたんですね。プログラムを見たとき、「え、そーだったっけ?」と思いました。
ゴダール自身が演じる白痴公爵殿下が映画を作る話、レ・リタミツコ(本人)の演奏するシーン、ジャック・ヴィルレが旅する様子…。 
スラップスティックコメディのようでもありますが、いろんな要素が入れ替わり、立ち替わり、脈絡なく登場するので、安定の難解さ。
考えるな、感じろってかんじ?
ジェーンの登場シーン、多分10分くらいでしょうか。こういう難解な作家の作品にも出てるっていうところに、幅の広さを感じます。

美しき諍い女(La Belle noiseuse)

90年代、単館系映画館全盛期の頃は、たくさんリヴェットの映画も公開されました。『美しき諍い女』もそんな作品の一つ。上映時間が約半分の短縮版もありますが、断然、4時間超えのこっちがいいと思う。
夫である人気画家(ミシェル・ピコリ)が若いモデル(エマニュエル・ベアール)と、かつて妻をモデルにして断念した作品にとりかかり、気が気でない妻の役。なぜか裸足で、城?城なの? 画家の家が広すぎ! そこで、妻であるジェーンは、動物の剥製を作ってる。無造作に引っ掛けたエプロンすらかっこいい。私がやったら、ただのだらしない人ですけど。センスのいい人って、何やってもいいよね。
当時まだ20代半ばのエマニュエル・ベアールのヌードも圧巻です。体が美しい(日本の週刊誌のおじさんとかは体当たりの演技とか言いそう。体当たりって、何なの?って思いますけど)
で、どんな絵を描いたのか、めちゃ気になります。
バルザックのお話が原案だというので、それも、読んでみたいです。
とにかく、繰り返し、繰り返し、画家とモデルがガチで作品づくりに取り組む。静かなバトル。久しぶりにスクリーンで見れて良かった。

そして、このジェーンの出演作品のプログラム、単に主演作品を追うのではなく、様々な、起点となる作品をチョイスしていて、さすが日仏学院だわー、と思いました。改めていろんな作品に出てたんだなー、と思いましたし、年代を追って見られて、ジェーンのフランス語の上達ぶりも、女優としての成長も、いろいろ垣間見えて良かったです。これからも大好きです。ありがとう。

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