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本当の自分であること

看護学校に通う社会人は多い。他職種から転向したり、子育てを終えたりした人が看護学校に通っている。なかには生徒の半数近くが社会人なんて学校もあるみたいだ。

残念ながら、わたしが通う大学では社会人はマイノリティだ。だからというわけではないけれど、とにかく肩身が狭い。クラスメイトとはいえ、高校を卒業したての子たちと気軽に友達にはなれない。相手が社会人だとわかった瞬間、彼女たちの間に居心地の悪い空気が流れる。どう接していいかわからないんだろうなと、こちらが気の毒になるくらいだ。

19歳のふりをする

入学早々、わたしは19歳を演じることを決めた。30歳が19歳のふりをするなんていくらなんでも無理じゃないかと思うかもしれないけれど、何を隠そう童顔だけがわたしの取り柄。まんまと周囲をだますことに成功した。

今あの1年をふり返ると、19歳のふりをすることには何のメリットもなかったと思う。表面上はうまく周囲にとけ込んでいた。「彼氏が欲しー」という女子トークにつきあい、部活の夏合宿では高校の制服を着て踊って見せた(その後退部)。でも、心のなかは罪悪感と生きづらさでいつも破裂寸前だった。

それでも演技をやめられなかったのは、本当の自分を知られるのが怖かったからだ。6年勤めた会社を辞めてまで大学に入学するなんて、何か事情があるんじゃないか。会社でうまくいかなかったから逃げてきたんじゃないか。若い子たちにそう思われるのが怖かった。自分みたいな学生を受け入れてもらえるのか自信がなかった。だから必死で嘘をつき続けた。

自己開示は弱さじゃない

結局、積もり積もったストレスはうつ病と強迫性障害という最悪のかたちで爆発してしまった。新しい環境に適応しようと精一杯努力したつもりだったけれど、どうやら努力の方向性を間違えてしまったみたいだ。

この1年大学を休学して気づいたのは、自己開示は弱さでも何でもないということ。

わたしは社会人学生だ。
わたしには精神疾患がある。

もちろん、人によっては否定的な反応をすることもあるので相手を選ぶことが前提だけど、自分のことをオープンにすればするほど相手も心を開いてくれるし、新たな発見や探していた答えが見つかる。怖がることなんてなかったのに、臆病で劣等感の強いわたしは19歳を演じることで必要以上にバリアを築いていたんだ。

次に大学へ行くときは、19歳の自分ではなく31歳の本当の自分でいよう。まずは信頼できる社会人学生に自己開示してみようかな。


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