大猫

トイレットペーパー用の特大ダンボールを突破してすぐに、知人からペットケージを借りてはみたものの、ケージに閉じ込めて育てるのは無理だとすぐに悟ったので、たいして広くもないリビングはジョージの独壇場と化す。

リビングが独壇場と化してからも、しばらくは寝室には入れないようにしていた。子ども達が軽いアトピー性皮膚炎だった事もあるが、眠っている時に潰してしまうというリスクを回避するためでもあった。けれど、数週間もすると夜中に寝室の扉をガリガリと引っ掻き開けようとするようになり、すぐに寝室入室禁止も解除される。

夜寝る時には寝室の扉をジョージが入れる程開けておいてあげると、皆が眠る態勢になった頃にするるーんとその隙間から入ってきた。ジョージは私達が川の字で寝ている布団には乗らず、寒そうな窓辺や押し入れの前で丸くなって寝ていた。用意した猫ちゃんハウスは気まぐれで入る程度で、なぜそこに!?と思うような場所でくつろいでいる事が多く、特に日中は咄嗟に動くジョージを踏んだり蹴ったりしないよう人間達は慎重に過ごす。ちょこまかする年頃の息子や娘も本当によく気を付けていた。一度誤って娘がジョージの曲がり尻尾を軽く踏んでしまった時などは、踏んでしまってショックで泣く娘を烈火の如く叱る息子、更に泣く娘の双方を落ち着かせるのに苦慮した。

その後1年、2年と経つうちにやっと人間達の布団の足元で眠るようになってくれる。

子猫だったジョージは6キロ近い大猫に育っていた。

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