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公園ボランティアについて調べてみた(ボランティアの担い手編)

こんにちは、今日もお久しぶりです。前回の公園ボランティアについて調べてみた(全国自治体編)の続きとして、今日は公園ボランティアの担い手さんたちに聞いてみた編について、書いてみようと思います。

公園ボランティアって、どんな人がやってるの?

これまでの調査で、公園ボランティアへの支援は自治体ごとに違っていることがわかった。支援の内容や充実度は、その地域でのそれまでの歴史や、行政の中での公園の重要度(公園の中でも作る方は注目されがちだけど、小さな公園の維持管理については優先順位がずっと低空飛行になりがち)、お財布事情によって、かなりばらつきがある。

じゃあ、近所の公園を良くしようと活動する公園ボランティアの担い手の人は、どうなんだろう?どんな人たちが、どんな想いで、どんな活動をしているの?どんな困りごとを抱えていて、どう思っているのだろう?

だったら、聞いてみようじゃないですか!〜1年目神奈川編

ということで、自治体調査と同じように、多くの人に聞いてみようとアンケートをすることにした。1年目は神奈川県で。自治体調査と同様に、趣旨を説明し、参加協力をお願いした。というのも、公園ボランティアの担い手につながる道は、役所を経由する以外に方法がないから、公園ボランティア団体へアンケートを実施するということに価値を見出してくれなかったら、そもそも実施が不可能なわけ。

結果、川崎市、三浦市、厚木市、藤沢市、茅ヶ崎市、伊勢原市、寒川町、大磯町の8市町が参加してくれることになった。メンバーの人数や属性、活動の頻度や内容、やりがい、課題などを聞いた。そのまとめは、こちら。

1175の団体にアンケートを送付して、57.7%の回答があった。自治会・町内会が母体になっているケースが多いことや、70歳代が主力メンバーであることなど、様々なデータを取ることができた。

全国では、どうなってる?

そして2年目。地域で課題や活動内容の違いは存在するの?そもそも雪国なんかは冬はどうしてるの?全国自治体調査と同時にアンケート参加自治体を募ったところ、なんと北海道から九州まで37自治体が団体アンケート実施に手をあげてくれ、2292もの団体へアンケートを送付することができた。

参加自治体はこちら:
紋別市、釧路市、登別市、石巻市、名取市、富谷市、福島県、小山市、足利市、千葉市、鎌ケ谷市、栄町、豊島区、目黒区、荒川区、葛飾区、三鷹市、狛江市、茅ヶ崎市、小田原市、綾瀬市、寒川町、加賀市、福井市、敦賀市、安曇野市、江南市、東郷町、三重県、滋賀県、大阪市、大東市、三木市、大牟田市、佐賀市、大分市、姶良市

どんな方法でやる?

自治体調査やヒアリングでわかっていたのは、公園ボランティア団体とのコミュニケーションは郵便と電話だということ!確かに、私たちの公園愛護会でも市からの一斉連絡や報告書関連は全て郵便。一部の団体とはメールで会話もするけれど、全団体とコミュニケーションを取ろうとすると、メールができない人もいるとの理由で、ほとんどの自治体で根強く郵便が支持されている。

ということで、紙のアンケートを作って、お手紙と切手付きの返信用封筒を用意して、団体数分を自治体へ送付、自治体から各団体へ郵送してもらうという方法を採用。

「高齢化」と「担い手不足」が共通の課題と言われ続けているけれど、実際担い手の人々は何歳くらいなのか?全員が70-80代という団体と、中に40代が1人でもいるというケースでは、大きな違いがありそうだけど、実際はどうなのか?同じ人ばかりがずっと固定で活動しているケースと、新しい人の参加がある団体では、継続への見通しや雰囲気が違いそうだけど、実態はどうなのか?

みんな、どんなことに喜びを感じ、やりがいと思っているのか?また、どんな困りごとがあって、どんなことを課題と捉えているのか?地域によっての違いはあるのか?

聞きたいことはいっぱいあれど、回答してもらいやすいように、設問数を絞ったり、集計しやすいように工夫したりしながら、アンケートを作った。

調査の結果

37自治体2292の公園ボランティア団体へのアンケート送付+インターネットによる自由参加で、1319 件の回答をもらうことができた。回答率は57.5%

ものすごい量の郵便の束。達筆コメントの数々。別紙のお手紙や、新聞の切り抜き、プリントした写真を同封してくださる方も。デジタル文字じゃ入りきらない爆発的エネルギーを感じずにはいられない。アナログパワー爆裂!

みんな共通する活動は、除草とゴミ拾いに落ち葉かき

公園ボランティアの活動内容として最も多かったのは、除草(87.7%)、ゴミ拾い(87.6%)、落ち葉かき(80.0%)の3つで、回答のあった団体のうち約8割以上がこれらの活動をしていることが分かった。

各種イベントなど、清掃以外に、公園を利用した地域の交流活動を行っている団体も一定数あったり、新メンバーの募集や愛護活動のPRをしている団体もある。

この2年はコロナ禍で活動が難しいというコメントも多く、出来ることをそれぞれ工夫しながら活動していることがわかった。

約88%の団体が月1回以上活動をしている

活動の頻度は、多くが月1回以上という団体が多いが、それぞれのペースで行われていることがわかった。たとえば、北海道釧路市の団体には、4月から9月の暖かい期間のみ草取りなどの活動を頻繁にして、10月から3月はお休みという方もいた。(雪の季節でも活動している団体は、公園内の通路の除雪をしていたりするとのこと。活動内容も本当にそれぞれ!)

そのほか、団体としての活動以外に、個人的な活動をしている人も、71.1%いることがわかった。しかも結構高頻度。こういう個人活動は、行政への報告書には記載されない活動の実態だったりして、なかなか表に出てこないけれど、地域の人の善意のありがたさを感じずにはいられないポイントだったりする。

やりがいは、地域のため、みんなのため。そして自分のため。

やりがいについて聞いてみると、「人の役に立ちたい・地域や公共のために」といった、地域貢献や社会参加の気持ちが、活動へのエネルギー源になっているケースは多い。

同時に、今回のアンケートでやりがいについて聞いた設問では、「人と集まったり話す機会がもてること」が最も多い回答で、コロナ禍で人と会う機会が極端に減ったことも影響あるかも。公園活動は、屋外で距離も保てるから、コロナ禍でも比較的やりやすい活動だったりする。

そして「自分たちの喜びや楽しみ、そして健康のために」活動を続けているという声も多く聞こえてきた。

地域のボランティア活動継続のためには、社会的なやりがいの他にも、自分自身の楽しみになるなどの、内的な動機も、とても大きな要因になるのではないか。

孤立と健康の問題でも言われているように、地域でのボランティア活動は、定期的に人と話したり関わることができるし、社会の役にも立ち、外に出て自然と体を動かすので、健康長寿に良い!と思われる。

高齢化とともに課題なのはポイ捨てゴミが減らない問題

高齢化問題は実に約半数の団体が、活動に支障があるとしているが、新し参加者も増えず、メンバーも減少するという複数の要因が絡み合っていることが分かる。

年々参加者が減っているという声や、義務感でやるしかないという実情、ゴミに関しては、タバコの吸い殻やペットのフン・飲食後のゴミの放置が多いことなど、多くのコメントが寄せられた。

コメントは本当にリアルな声が盛りだくさんで、猫やハトへのエサやりとその後始末についての困りごとが多く書かれている地域があったり(これについては大阪がダントツ多かったんだけど、大阪の人って人一倍愛情深かったりするのかなぁ)、家具や家電が不法投棄されるなど派手なゴミが多い地域があったり、地域の特色みたいなものがすごく感じられた。

高齢化が問題、ということで年齢を聞いてみた

代表の人の年齢を聞くというより、メンバーに1人でも若手が存在するのか?全員がご高齢なのか?全体の雰囲気を知りたいということで、団体内の年齢構成を、各世代ごとのメンバーの有無という形で聞いてみた。

その結果、回答のあった団体のうち、89%に70歳代がいることがわかった。10団体あれば、9団体には70歳代がいらっしゃるということになる。

また、団体内で人数の多い世代を聞いた設問でも、1番人数が多い年代は70歳代で、回答のあった団体のうち50%が該当。公園ボランティアは、70歳代の人々の力に支えられているという現実がよく見える。皆さん、お元気!

調査の詳しい結果はここで全部公開してます

全ての項目の調査結果はみんなの公園愛護会のウェブサイトでレポートしているので、興味のある人はぜひ覗いてみてくださいな。


問題なのは、高齢化の奥にある孤立と不安なんじゃないか

ということで、ここからは、思うこと。

公園ボランティアといえば、どこの自治体でも常に「高齢化」と「担い手不足」が共通の課題と言われている。実際、年齢を聞いてみると70歳代が主力で、若い人の参加は少ないことがわかる。

人は必ず年を取るし、高齢になると草取りもしんどいし、活動できる範囲が小さくなるのは当然の事実。同じ人がずっとやっていれば、それは先行き不安になる。けど、新しい人が参加したり、一緒にやる仲間がいて、みんながお互いできる範囲で楽しくやることができれば、不安は小さくなるんじゃないかと思う。

「ありがとう」の大切さ

やりがいについての設問でも、ご近所さんや公園利用者からの感謝のひとことが、どれだけ励みになるか、どれだけの喜びになるか、多くのコメントが寄せられていた。「ありがとう」の言葉のエネルギーは大きい。

褒められるためにやっている訳ではなくても、きちんと正当に認められ、感謝されることは大切なことだと思う。

逆に、日々の活動が誰からも評価されなかったり、義務感や不公平感だけがあって、やりがいはないといった残念な声も実際ある。

「ありがとう」が可視化され、循環されていくような、そんなことが出来たらいいなあ。

まずは、知ることから

地域の公園を守っている公園ボランティアの活動。公園を使っていても、その存在を知っている人は、実は多くない。みんなが遊ぶじゃまにならない時間を選んで清掃や除草などの活動をしている方もいるし、あまり告知もしてないから、たまたま目撃しないと分からないことも多い。

でも、良いことはみんなに知ってもらいたい!と私は思う。

公園ボランティアの活動を、もっといろんな人が知ったら。公園を見る目が変わるかもだし、ありがとうの気持ちがもっと回っていくかもしれない。参加してみようと思う人も増えるかもしれないし、きっとやってみると面白いので、またやろうってなったり、みんなが参加しやすい形に少しずつ工夫されていくかもしれない。

活動のヒントや楽しむノウハウも共有していこう

たとえば、少人数だとエンドレス強制労働のようになりかねない草取りも、イベント化してゲーム感覚で大勢で楽しくやる方法や、親子で参加しやすい活動にするコツ、季節の流れに合わせて変化を楽しめる花壇のつくり方、公園をもっと楽しめる季節のイベント、毎回のお楽しみタイムにこんなことしてるよ〜など、みんなの活動の中で工夫されてきた活動のヒントや楽しむためのノウハウを集めて、真似しやすいように情報共有していこうと思う。

自分たちだけでは思いつかないことも、他の公園での取り組みをヒントにしながら、楽しく作っていける。

私もいろんな公園での楽しい取り組みを知りたいし(知るだけでも結構楽しい)、出来そうなものは仲間と一緒にやってみたい。

ボランティアは楽しいのが一番だから!

今回も長旅、最後までつき合ってくれてありがとう!

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