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70%の市町村に公園ボランティアの支援制度があり、新しく始める人も増えている。

公園そうじをしたり、花壇をつくって花を育てたり。公園を舞台に行われている市民の活動は、いろいろあって、制度もさまざま。

そんな市民の公園ボランティアの実態について、ただいま調査中。小さな公園の設置および管理は、基本的に市町村単位で行われているため、公園ボランティアに関する制度も市町村単位で作られ運用されており、市を超えたデータが存在しないのです。

ということで現在、神奈川県の33の自治体にアンケートをして調べてみることに。そこでわかったのは?

70%の市町村に、何らかの公園ボランティア制度がある

公園愛護会のような、市民が公園で活動するボランティア制度があると答えてくれたのは、全体の72%に当たる24の市町村。

その中で最もポピュラーなのが、公園愛護会に代表される報奨金タイプの制度。市町村ごとに細かな違いはあれど、何人かの団体が登録申請して、市民は清掃や除草などの活動をし、自治体は報奨金などのお金を交付するというシステム。制度がある自治体のうちの8割がこれを採用している。

残りの2割は、お金ではなく物品提供タイプの制度。こちらも何人かの団体が登録申請や契約をして、市民は清掃などの活動をし、自治体は活動に必要な物品を提供するというシステム。花壇の活動に、花苗や土・肥料なんかを提供するというケースも。

報奨金と物品提供の両方の制度を使い分けている自治体や、花の活動は物品提供で清掃活動は報奨金と言ったように、それぞれを別の制度で運用している自治体もありました。それぞれに歴史あり。

物品提供タイプの活動は、アダプトとか里親と言われることが多いけど、実際のところ名前は各市町村がそれぞれの考えやルールに則って決めているので、名前がそのままタイプを表している訳ではないということもわかりました。

制度の歴史も、スタートした理由も様々

日本での公園ボランティアの歴史は古くからあれど、制度として制定されたのは、1961年の公園愛護会が最初。その後、1998年にアダプトプログラムという考え方がアメリカから入ってきて、それを採用する自治体も増えてきた。

公園愛護会制度が始まった理由は、戦後の土地区画整理によって急速に増えた小さな公園の維持管理に限界が来て、住民の力を借りようということだったけど、1960〜80年代まではこんな感じで大都市を中心に制度化されていったのかな。

でも、そればっかりではない。一番最近の話だと、寒川町は今年2020年春に公園愛護会制度ができたという。そのきっかけは、すでに公園で清掃や花壇などの活動しているボランティアの住民がいて、その公園ボランティアの人たちをサポートするために制度を整えたとのこと。

誰がやっているの?

やはり一番多いのは、地元の自治会・町内会が、エリア内の小さな公園を見ているというもの。そのほか、子供会や老人会、近隣住民の有志など。グランドゴルフやゲートボール、青空自主保育などでよくその公園を使うという団体がやっていることもある。

行政から頼まれて活動をするのと、自分たちが好きで活動していてそれを行政がサポートするというのでは、そもそもの起点がものすごく違うけど、とにかく近所の公園を守ってくれている人たちがいることは事実。活動している人たちに敬意を表したい。

2020年も、多くの自治体で新規設立されている

公園愛護会について話を聞くと登場必須ワードの「高齢化」と「担い手不足」。急激にどんどん減っているのか?と言うと、そうでもないみたい。新しい団体もあちこちで生まれている。毎月どこかで新しい公園ボランティアの団体が生まれている。

ステイホームで近所の公園が見直されている影響があるのかないのか分からないけど、制度がある市町村のうち80%くらいは今年2020年に新規登録があったと答えてくれた。この1年で3~5団体という市もあれば、10団体以上の新規登録があった市もある。もちろん、解散・登録解除になってしまう団体もあり新陳代謝が起こっていることは事実だけど、新しくやろう!という人がそれなりの数いて、それをサポートする人たちがいる。

このように多くの自治体で新規設立はあるものの、やはり高齢化と担い手不足が声高に叫ばれている背景には、既存の団体の中で参加する人数が減っているということもあるし、メンバーの高齢化によって活動自体が縮小せざるを得ない団体も少なくないという。今の枠組みで考えていくと、少子高齢化や、自治会町内会制度の問題と切り離せないけれど、新しい視点と発想で捉えていくと、良い方法があるかもしれない。

いろんな世代の、いろんな人が、近所の公園を大切に思いながら、楽しくつかい守っていくって、改めて良いことだよな〜と思うのでした。


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