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1日って何時間だっけ

今日は久しぶりになにもない日だった。何をしてもいい。学校も開いてないから勉強もしに行けない。だから勉強しなくていいわけではないのだけど。

昨日借りた本を読もうと思いつつ、ずっと何かしらの映像を見ていた。
まずはドラマの「重版出来」

柔道で日本代表目前までいったけれど、怪我をして引退した黒沢心。青年雑誌の編集部配属となり、持ち前の真面目さと明るさ、根性で周囲の人を少しずつ変えていく。目指すは増刷を意味する”重版出来”。出版に関わる人々みんなが幸せになる言葉。

主人公の黒沢は、本当に明るくて素直だ。猪突猛進タイプではあるが、人の悪口をいわず、すぐに否定することもなく、人の助言をうけうまく修正することができる。理想的な性格だ。黒沢を嫌う人はいないだろう。

作品自体は、様々な要素が絡んでいてよかった。特に自分が作ったものが様々な人の手を介されながら、向こう側の人に伝わっていくところは、学生新聞を作ったりしている経験から、嬉しさが十二分に想像できた。

重版出来では、人間のほの暗い感情が出てくるシーンは割と少なくて、元気がなくても平静な気持ちで観ることができた。特に主人公の黒沢心はすごい。

こんなふうにすごく素直で、人の暗かったり汚かったりする側面をほとんど持たない主人公は、一見わかりやすすぎて魅力がないようだけど、実はめちゃくちゃ魅力的だ。結局自分の中にほの暗い一面がないと思っている人なんていないからだ。
理想的な性格を見ていたい時期が必ずあるのだ。私はそう思う。

こういう主人公を最近別のところでもみたな、と思って引っ張り出してきた。

高松美咲の「スキップとローファー」
高校入学を機に地方から上京してきたみつみちゃんは、自分のことをしっかりしている賢い子だと思ってはいるけれど、実はめちゃくちゃ天然な女の子。人のことを悪く言わない。全然擦れていない。どんな子でも平等に接する、尊敬をもって。大小さまざまなわだかまりを持ったクラスメートたちは少しずつほだされていく。暖かさをもっていく。

私が高校生の時は、劣等感と自意識と羞恥心のかたまりを日々こねくり回していて、絶対にみつみちゃんのようにはなれなかった。それは今でもそうだ。

こういう「ものすごくまっすぐで良い子」が出てくる作品を、私は嫌いになれない。自分は絶対になれないという絶望とあこがれを持って、結局触れてしまう。いつかなれるのかな。いや…


その後はもうすぐプライムで見られなくなる「GO」を見た。一度見たことはあったけれど、あまり思い出せなくて、窪塚洋介だし…と思ってみることにした。

GOはもともと朝鮮籍で、韓国籍になった杉原の恋愛の話だ。杉原は朝鮮学校で血の気が多い生活を送っていたが、ある日日本の高校に入ることに決めた。日本の高校では在日とさげすまれ、喧嘩を売られまくっていたが、ある日クラブで桜井という女の子と出会う。杉原は、可愛くて少し風変わりな桜井に惹かれていく。

GOをみて、在日のことやアジアの歴史にうとすぎる自分に毎回嫌気がさしていたことを思い出した。でも今回はもっと別のことを考えてしまった。

人は人をどうして好きになるのかということだ。書いていて恥ずかしい。でも思ってしまったのだからしょうがない。

人は人を、というよりも、どうして杉原は桜井を好きになったのか、というところの方がわからない。桜井が杉原を好きになった理由はものすごくよくわかるのだ。だってあんなに喧嘩が強くて、大勢を相手に自由に駆け回る姿を見てしまったらそれは好きになるだろう。あの目を嫌いな女の子はいないだろう。

それに、受け答えもいい。自分の風変わりさを楽しんでくれるのもいい。あんなの好きにならないわけがない。

対して、杉原は桜井のどこを好きになったのか。顔のかわいらしさか。風変わりさか。自分を恐れないところか。全部納得はするけれど、やっぱり決定的に感じられないのは、自分が女だからか。柴咲コウの顔がタイプではないからか?

人を好きになったり付き合ったり結婚したりは、全部が全部、タイミングと運のような気がしてならない。

そう思うと、それらが少しでもずれていたときのことをどうしても考えてしまう。現在に不満がなくても。手にしたかもしれないもの、可能性について思いを巡らせてしまうのは、あまり意味がなくて、なんなら時間の無駄かもしれないとすら思う。けれど考えてしまう。


さらに、この先のことも考えてしまう。
少しでも何かが変われば、または今この時の行動が、将来の出来事を大きく動かしているかもしれない。

普段はこんなこと考えてしまったら足がすくんでしまう。たまにこのことを思い出して振り返るくらいでちょうどいい。

先日友人に「一番好きな本は?」と聞かれて、3秒以上は考えずに出てきた本はこれだった。中高生のときに大好きだった。やはりまだまだ中学高校に熱中したものは私の中で色濃い。この本も、こういうことをかいていたな。

今日はめちゃくちゃ長い一日だった。
DAOKOを聞きながら、このnoteをかいている今もまだ21時になってないんだよ。一日って何時間あるんだっけ。創作物って偉大だ。

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