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栄養素の基礎 その3                 ミネラル


はじめに

前々回(第17回)から栄養素の基礎について解説してきました。
今回はその最終回として、ミネラルについて解説します。

前回までは・・・

  • 栄養素とは「生きるために食べたり飲んだりしなければいけない物質

  • 栄養素は
    タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルの5大栄養素+水

  • 栄養素の働きは
    エネルギー源になる
    からだのパーツをつくる材料になる
    いろいろな機能を調節して、からだの中を一定の状態にたもつ

  • タンパク質、脂肪、炭水化物の働き(ここまで第17回 記事はこちら

  • ビタミンの種類と働き(第18回 記事はこちら

ミネラルもビタミンと同じように、3大栄養素と比べるとフードに含まれる量は微量です。
ですが、これもビタミンと同様、どれもネコやイヌが生きるために必要不可欠な栄養素です。
ですからミネラルが不足すると当然ですが、体にさまざまな影響がでます。

だからといってミネラルを取り過ぎても、体に悪影響を与えます。しかも、あるミネラルと別のミネラルのバランスが悪くても問題がおこります。

ミネラルは微量ながら必要不可欠であるとともに、適切な量を取らなければいけません。そのうえ、ミネラル同士のバランスにも気をつける必要がある、摂取量の調節がとても難しい栄養素です

ねこさん・わんちゃんにおやつやサプリメントをあげるときには、ビタミンだけでなく、ミネラルの取り過ぎにもならないように注意してあげてください。

とくに手作りフードに興味のある飼い主さんは、ミネラルの働きやそれぞれのミネラルを多く含む食品、不足・過剰の影響などをきちんと理解する必要があります。
フードを手作りする場合は、食材の組み合わせだけでミネラルのバランスを調整することは非常に難しいため、やはりサプリメントを利用することになります。

ただしネコ・イヌ・ヒトは、それぞれに必要なミネラルの量やバランスが違いますから、ヒト用に調整された複数のミネラルを含むサプリメントをそのまま利用すると問題がおこることもありますから、細心の注意が必要です。

ビタミンは少なすぎると「欠乏症」、多すぎると「過剰症」がおきます。
ミネラルの場合はビタミンとは働きが違うため、一般的には過剰症・欠乏症という言い方はあまりされません。

ミネラルが少なすぎる場合は、単に「〇〇不足」と呼ばれ、血液中の量が少なくなりすぎた場合「低〇〇血症」と呼ばれます。
逆に多く過ぎる場合は「○○過剰」あるいは「〇〇中毒」と呼ばれ、、血液中の量が多くなりすぎた場合「高〇〇血症」と呼ばれます。

ミネラルの主な働きは、骨や歯の成分としてからだのパーツをつくる材料になる(栄養素の働き②)ことと、いろいろな機能を調節して、からだの中を一定の状態にたもつ(栄養素の働き③)ことのふたつです。

今回はまずはじめに、ミネラルの定義、種類と分類について解説し、そのあとで個々のミネラルについて、具体的にはカルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、塩素、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛について解説していきます。

今回も、これらのミネラルの働き、多く含む食品、不足や過剰の影響を下の表にまとましたので、ひとまずこの表をご覧ください。
(今回も文字が小さくて申し訳ありません。)

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