“動物愛護先進国”ドイツは世間体のいいご近所さん

ドイツが犬などの扱い方に関する新法公布を検討しているニュースが報道された。

飼い犬は1日2回、合計最低1時間の散歩をしなくてはいけないなど、犬に寄り添いまくった扱い方が義務化されるかもしれないという。

一見なにも考えずにみれば、動物愛護精神をもつ人は「イイネ!」と言うだろうし、そうでない人は「バカジャネーノ」と吐き捨てる案件だ。

もちろん私は、BBCの言葉を借りれば、“むくむくもふもふでかわいい”犬ないし動物をペットとして飼う場合、最大限の愛を注ぐべきだと考えている。
野生動物もたとえ害獣指定されていようが殺すべきではないという見解だが、これについてはまた別の機会に書こうと思う。

かといって、この法案に手放しで賛成というわけではない。

実際のところ、私は愛犬ぺたりの散歩は日に1度しか行かない罰則対象予備軍だし、人生すべてをペットに尽くして自分のやりたいことができないようになってしまうのは気が進まない。
外出や旅行は控えているし、ぺたりが24時間レベルで目が離せないような重病になってしまえば身を捧げて介護する覚悟はあるが、今健康でいるうちは、お互い妥協することがあっても仕方ないと考えている。

ロイターはあちら側

BBCやCNNと異なり、ロイターだけは第三者である「犬の業界団体広報担当者」の見解を差し込んでいる。
その担当者によると、“大半の飼い主は犬たちとの時間を充分取っており、法案を笑っている”そうだ。

このロイターの記事だけを読むと、「ドイツはすでに動物愛護先進国なんだから、いまさら犬の飼い方に言及する必要ないでしょ」と賛同する人もいるかもしれない。
事実を知っている人は見抜くことができるが、未だ日本にはドイツが動物愛護先進国を代表する国ととらえる気風があると感じている。

“動物愛護先進国”ドイツ

私が得ている知識はほとんどがWEB上のものだし、ドイツ語も読めないので現地のニュースも和訳されたものしか読んだことがないうえ、ドイツに行ったことすらないことを断っておく。

しかし開き直って言うと、ドイツは『動物愛護後進国』にほかならない。

日本の様々な書籍でよく見られる「犬猫の殺処分数がゼロ」「保護された動物が極上の環境で過ごせるティアハイムが充実」「保護犬猫の譲渡率はほぼ100%」のようなドイツの説明。
これはすべて神話だ。

ティアハイムは民間施設であり、保護された動物のなかには公的なシェルターに行くものもたくさんいる。
数字は明確にされていないが、そこでは多くの動物が殺処分されているらしい。

そしてドイツに根付く『ハンティング』の文化は、日本人にとって、少なくとも私にとっては受け入れがたい事実を生み続けている。
ハンターは狩猟動物だけでなく飼い主のいない犬猫の狩猟も法律で認められ、このハンターによって年間で数万頭の犬猫が“狩られている”という。

この忌々しい文化を良しとする国のなにが“先進国”か。

ちなみにドイツにはペットショップもあるし、遺棄される犬猫もたくさんいる。

クレックナーの勇気

今回のニュースの中心人物である、“むくむくもふもふ”発言をしたクレックナー食糧・農業相。
一見行き過ぎたように見える彼女の取り組みは、果たして本当に行き過ぎているのか。

確かに今回の法案は、内容が犬に偏っているところや、少しハードルが高い点など、指摘される部分があることは否めない。

しかし、火のないところに煙は立たない。

私は思う。
ドイツの実態は、私の想像よりはるかにひどいのではないか。

海外からの評価は比較的高いのに、実情は犬猫などの動物をぞんざいに扱う自国。
これではいけない。
もっと“動物愛護先進国”の評価に恥じない動物への接し方をしましょう、動物を慈しみ、ペットには最大限の愛を注ぎましょう。

そうしてクレックナーは、ドイツが“動物愛護先進国”であることを国民に自覚させるきっかけをつくりたいのではないか。
まあ狩猟法の改正を進めるのが先な気もするが。

日本よりは

しかし、クレックナーのような政治家が大臣レベルで存在し、今回のような法案が提出にまで至るドイツは、やはり先進国なんだろうと思う。

日本はどうか。
水面下で働きかけている人はいるようだが、浮上はまだだ。

かといって動物愛護団体や保護団体、動物愛護を想う個人の働きは、知る限り悲観することはないという印象だ。

私にできることは、こうして安全な立ち位置から自分の想いを載せること、活動する人たちに支援すること、そして愛犬ぺたりに尽くすこと。
自分で行動する気力はないし支援も選ぶのが億劫でできていないが。

とりあえずぺたりの散歩を日に2回することから、気温が下がるまでは1回だけで我慢してもらうとして、いやなるべく2回、尽くすことにしよう。


今回調べるなかで参考になった、FC2なのがもったいないと思うほど内容が充実しているブログ。


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