![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82650926/rectangle_large_type_2_e6925fc243216ff51912b47b1048383f.png?width=800)
【前編】ON THE ROAD 2022 近年の傾向を分析して、セットリストを妄想する~近年のライブ振り返り編~
こんばんは
なんかずいぶんこのnoteをほったらかしにしていました。色々書こうと思っていたことは多いのですが、あと少しのところで力尽きてしまうことが多く、今だ下書き状態のまま保存しています。
年明けの武道館にいくまでの話とかも書いていたんですがね…
*
それはともあれ!!!!
浜田省吾さんのホールツアー「ON THE ROAD 2022 Welcome Back to THE ROCK SHOW "EVE"」の開催が決定いたしました!!!!
いやあ、まさかまさかのホールツアー
今年ツアーがあることは何となく匂わせがあったのですが、てっきりファンクラブ限定のライブかと思っていました。全国ツアーとしては、「ON THE ROAD 2016」以来約6年ぶり、ホールツアーとしては「ON THE ROAD 2015」以来約7年ぶりですね。
――え、7年…!?
嘘でしょ、ついこの前でしたよね??
冷静に考えてみれば「Journey of a Songwriter」も2015年ですからね。自分まだ中学生でしたよ。「光の糸」歌いながら農道を自転車で爆走して、田んぼに突っ込んだのは良い思い出です。
*
そんでもって、ホールツアー。正直どんな曲をやるのか分からないじゃないですか。なんたってオリジナルアルバム引っさげたツアーでもないので、選曲の幅が増えるわけです。
そこで今回はセトリ予想なるものをしてみようかと。
ただ妄想を垂れ流すだけでもいいのですが、どうせなら近年の浜田省吾によるライブのセットリストや発言を分析しながら考察してみたいと思います。
――まあ妄想には変わりないのですが…
まあ大学生の若造の戯れ言だと思って、軽く読み飛ばす程度にご覧頂ければなと思います~
*
シンガーソングライターである浜田省吾さんは、1976年にソロデビューして以降様々な時期を経て、熱いファンを獲得して活動し続けています。
そして近年ではファンクラブ会員限定ライブも合わせて、それぞれ特色のあるライブが開催されています。
なのでまずは前提として、近年(2005年以降)の浜田省吾ツアーのおさらいと分析をしてみたいと思います。
ただかなり長くなりそうなので
前編:現在までのライブの傾向を分析
後編:それを踏まえてON THE ROAD 2022 はどうなるか?
という構成になります。
なのでこの前編は、「最近浜田省吾から離れていた・もしくは昔よく聴いていたけど、最近どんな活動していたの?」という方向けでもあります(もちろんコアなファンの方も楽しめるように書くつもりです)
長いのがめんどくさい方は、後編からでも大丈夫です。
【注意】
・「かなり」長いです
・分析とか格好つけましたが、ほぼ妄想です。
近年の浜田省吾ライブの軌跡
というわけでまずは振り返ってみたいと思います。
遡りだしたらきりがないのですし、「近年」と捉えるには少し昔すぎるかもしれませんが、2005年以降のツアーを振り返ってみたいと思います。
*
【俺の初恋はRock'n'Roll――ON THE ROAD 2005】
2005年、当時としては約4年ぶりとなるオリジナルアルバム「MY FIRST LOVE」と共に始まったアリーナツアー。
このアルバムから始まったコンセプトは、「自身の音楽のルーツ、Rock 'n' Roll への回帰」。自身の初恋が「Rock 'n' Roll」だったことになぞって、「MY FIRST LOVE」というタイトルでした。(ちなみにアルバムの歌詞の世界では「光と影」というテーマがありますが、ライブではそのコンセプトを採用していないと感じたので、今回は論旨からは外します。)
選曲としてはニューアルバムの大半を含めつつ、代表曲や人気の曲も網羅し、愛奴時代への目配せもある非常にバランスの取れたセットリストでした。オープニングナンバーが「ある晴れた夏の日の午後」という予想外の選曲に、戸惑われたファンも多いとかなんとか…。
この前に行われていた4年がかりのツアー「ON THE ROAD 2001」が、浜田省吾のそれまでのキャリアの総決算的なツアーであったのに対し、この「MY FIRST LOVE」発売以降はどこか肩の力を抜き、純粋に音楽を楽しむようなスタイルがあるように感じます(この兆候は「青空の扉」からもあった)。そしてその傾向は、現在まである程度変わっていないと思います。近年の浜田省吾ライブを分析するには、この辺りの年代からがおすすめですね。
――あと熱心なファンの方のライブレポが、この辺りからが多いので参考にしやすいのもあります。
ON THE ROAD 2005 MY FIRST LOVE
00:All You Need Is Love
01:ある晴れた夏の日の午後
02:光と影の季節
03:この夜に乾杯!
04:旅立ちの朝
05:HELLO ROCK & ROLL CITY
06:終りなき疾走 or 勝利への道
07:彼女はブルー or 誰かどこかで or 19のままさ
08:君の名を呼ぶ or 片想い
09:青空のゆくえ or 愛しい人へ
10:さよならゲーム
11:君がいるところが My sweet home
12:マイホームタウン or DARKNESS IN THE HEART
13:Thank You
14:I am a father
15:花火
16:SWEET LITTLE DARLIN'
17:モノクロームの虹 or MONEY
18:J.BOY
19:家路
20:日はまた昇る
Encore 01(センターステージ)
01:初恋
02:土曜の夜と日曜の朝 or 勝利への道 or 恋は魔法さ
03:バックシート・ラブ
04:星の指輪
05:ラストショー
06:さよならの前に(メインステージへ)
07:AIDOのテーマ
08:君と歩いた道
Encore 02
09:Midnight Blue Train or ラストダンス
こうしてみると、やはり発売したての「MY FIRST LOVE」からの選曲がほとんどと、80年代の代表曲が多い感じですね。意外と90年代の曲(明るいアルバム「青空の扉」が多め)も取り入れられていますが、70年代の曲は少なめ。ちなみにこれ以降「MY FIRST LOVE」からライブで演奏されるときには、「光と影の季節」「この夜に乾杯!」「I am a father」「Thank You」の4曲が多くなります。
また浜田さんのライブでは、本編ラストやアンコールラストに演奏する定番として、「家路」「日はまた昇る」「Midnight Blue Train」「ラストダンス」の4曲があります(個人的にこの4曲を「〆曲」と呼んでます)。ただ「Midnight Blue Train」と「ラストダンス」は、これまでのツアーでは「特別な曲」としてツアー最終日のアンコール等でしか演奏しないナンバーでした。それが通常のセットリストの中に組み込まれているのは、当時としては意外性があったでしょう。同じ会場の土日2公演参加すれば、この〆曲を全部聴くことができるなんて、素晴らしいですね。
【デビュー30年と新曲たちの調和――ON THE ROAD 2006-2007】
2005年のアリーナツアーを終え、ソロデビュー30周年を記念して始まった全国ツアー。テーマは「原点回帰のホールツアー」。全国の大きめのホールだけでなく、地方都市のホールも巡って46都道府県制覇を目指したツアーでした(なお奈良県のホールで今ツアーのセットを組めないということで、全都道府県巡ることは叶わず)。2006秋~冬、2007年春~夏、2007年秋~冬の三学期に分けて丸1年かけて行われたツアーですね。「ON THE ROAD 2001」よりはスケールダウンしますが、それでもかなりの公演数でした。
ON THE ROAD 2006-2007 "MY FIRST LOVE is Rock 'n' Roll”
00:ある晴れた夏の日の午後(Instrumental)
01:A PLACE IN THE SUN
02:光と影の季節
03:HELLO ROCK & ROLL CITY
04:この夜に乾杯!
05:旅立ちの朝 or バックシートラブ〈07秋〉
06:二人の絆 or 君のいるところがMy sweet home or あばずれセブンティーン〈07春~〉
07:誰かどこかで〈06秋〉 or 彼女はブルー or 花火〈07春~〉 or 君に捧げるlove song 〈07秋〉
08:君に会うまでは or ロマンスブルー or 片想い〈07春〉
09:散歩道 or 愛という名のもとに or 紫陽花の歌〈07春~〉 or サイシードの影〈07秋〉
10:路地裏の少年(弾き語り)
11:生まれたところを遠く離れて or ある晴れた夏の日の午後〈07春~〉
【Short Movie :MY FIRST LOVE】
12:初恋
13:勝利への道 or 終わりなき疾走 or BIG BOY BLUES〈07春~〉
14:土曜の夜と日曜の朝 or 今夜こそ〈07春~〉
15:Thank You
16:I am a father
17:J.BOY
18:家路
Encore 01
01:ラストショー
02:MONEY or ON THE ROAD〈07秋〉
Encore 02
03:君と歩いた道
04:ラストダンス
(05:日はまた昇る)
※このツアーは時期によってかなり演奏曲がごちゃごちゃなので、厳密には違う部分も多いですがご容赦ください
まとめるのも一苦労なほど、様々な日替わり曲が用意されています。各地の公演を渡り歩いたファンの方は楽しかったでしょうね~
2006年にベストアルバムとなる「The Best of~」の二枚組が発売されたので、それと「MY FIRST LOVE」からと選曲が多めです。特に6曲目~9曲目のバラードコーナーは、新旧の曲を程よく取り入れられています。70年代の曲が再びステージで取り上げられたのは嬉しいですね。一方第二部(ショートムービー後)に目を向けると、各公演でそこまで遊びがなくしっかりまとまっている印象があります。
そしてアンコールに「Money」があるのが特徴的で面白いです。
なお浜田省吾ライブ冒頭のド定番「HELLO ROCK & ROLL CITY」ですが、似た系統の曲「この夜に乾杯!」が出現したことにより、この辺りから急激に存在が霞んできます。実際このツアーの後半ではカットされる会場もありました。
2005年アリーナツアーと合わせて109公演。2008年にはライブDVDが発売となり、これにて「MY FIRST LOVE」シリーズは完結となります。
【春のオーケストラとロックバンド――100% FAN FUN FAN 2009】
2年ほど空いて次に開催されたのは、2003年以降久しぶりのファンクラブ会員限定ツアー、「100% FAN FUN FAN」でした。サブタイトルは「春来たらば夏遠からじ…」
※ちなみにこの文章では、これ以降ファンクラブ限定ライブのことを「FFF○○○○」と略する場合があります(○には開催された年が入ります)
このライブの最大の特徴は、それまで様々なアルバムのアレンジを担当された星勝さんが11人のストリングスメンバーと共にステージに登壇して演奏するスタイルです。それまでのライブの中で一番多いメンバー構成でした(後述しますが2011年でさらに増えます)
Road & Sky-Shogo Hamada Official Fan Club Presents
”100% FAN FUN FAN“ featuring Kazu Hoshi
2009年、春の音楽会「春来たらば夏遠からじ…」
01:丘の上の愛(Instrumental)
02:君に会うまでは
03:君の微笑
04:ミス・ロンリー・ハート
05:4年目の秋
06:行かないで
07:片想い(Instrumental)
08:モノクロームの虹(Instrumental)
09:LONELY-愛という約束事
10:BREATHLESS LOVE
11:デスク越しの恋
12:恋する気分(当時新曲)
13:星の指輪
14:家路
15:君が人生の時…
Encore01
01:とらわれの貧しい心で(東京公演のみ)
02:光と影の季節
03:恋は魔法さ
04:土曜の夜と日曜の朝
Encore02
05:初秋
セットリストを見ると、これぞファンクラブ限定コンサートというべき内容ですね。特にコンサートの大半の曲が70年代の曲で、本当に久しぶりに演奏される曲も多かったようです。
ストリングスとともに奏でられる極上のバラードライブ、自分も参加してみたかったです。余談ですがこのライブは詳しいライブレポを書いている方が少なく、パッケージ化もされていないので、自分の中での認識がすごくふわふわしています。
特徴的なのはやはり浜田さんの歌唱なしで、Instrumentalとして演奏された2曲があるということ。特に「モノクロームの虹」はストレートにロックしてますから、どんなアレンジだったのか気になります。
そして忘れてはいけないのが、新曲「恋する気分」が初披露されたこと。実際にレコーディングして発売されたのが2015年の話ですからね。こういった部分もファンクラブならではです。あとこの辺りから急激にサブタイトルが長くなってきます。
大量のストリングスメンバーとのツアー、星勝さんによるインスト曲のみの披露、「君が人生の時…」のリアレンジなど、この後にある「ON THE ROAD 2011」に向けての布石という印象が強いです。
【我々はどうしてこの状況にいるのだろう――ON THE ROAD 2011】
6年ぶりとなるアリーナツアー「ON THE ROAD 2011」。
ソロデビュー35周年記念であり、オリジナルアルバム発表なしで自由に選曲する割と久しぶりのスタイルとなったツアーでした。
一応直前に発売されたものとして映像作品「僕と彼女と週末に」とベストアルバム第三弾「The Best of~ vol.3」があり、どちらも社会問題を歌った「硬質な祈りの歌」がほとんどです。
そしてその「硬質な祈りの歌」の持つ意味が、そしてライブをすること自体の意味が、ツアー開始直前に起こった3月11日東日本大震災によって変わってしまいました。
イベント等を自粛する流れの中、そして混乱する状況の中で決行されたこのアリーナツアーは、浜田省吾ライブ至上最も完成度の高いライブの1つとなりました。
ON THE ROAD 2011 “The Last Weekend“
00:J.Boy MIX 2011
01:ON THE ROAD
02:この夜に乾杯!
03:HELLO ROCK & ROLL CITY
04:恋は魔法さ or 二人の絆 or 独立記念日〈秋~〉
05:さよならゲーム or 勝利への道 or 反抗期〈秋~〉
06:悲しみは雪のように or 初恋 or 光と影の季節〈秋~〉
07:MY OLD 50's GUITAR or Thank You
08:Money
09:涙あふれて or 愛のかけひき or 風を感じて
10:君に会うまでは or 片想い or 君の名を呼ぶ
11:あれから二人 or もうひとつの土曜日 or 星の指輪
12:君が人生の時…〈~春〉 or PAIN〈秋~〉
13:BLOOD LINE -フェンスの向こうの星条旗-(Instrumental)
14:我が心のマリア(Instrumental)
15:A NEW STYLE WAR or MY HOME TOWN
16:裸の王達
17:詩人の鐘
18:Theme Of Father's Son-遙かなる我が家-
19:Rising Sun-風の勲章-
20:J.BOY
21:僕と彼女と週末に
22:愛の世代の前に
Encore 01(センターステージへ)
01:光と影の季節 or モノクロームの虹 or ラストショー
02:終わりなき疾走 or モノクロームの虹
03:君のいるところがMy sweet home
04:I am a Father
(05:ラストショー)
06:ラストダンス or 路地裏の少年〈秋~〉
07:家路(メインステージへ)
Encore 02
08:日はまた昇る
Encore 03
09:君が人生の時…〈秋~〉
(10:ラストダンス)〈最終公演のみ〉
濃密!!!!!
ホントに濃すぎるセットリストです。
冒頭のロックンロールパーティー~中盤のバラード~Instrumental~硬派な祈りの歌ロック~弾けるセンターステージアンコールと、隙の無い見事な構成。
2011年の春~夏、秋~冬、そして振り返り・追加公演の2012年春まで含めて非常に長いアリーナツアーでした。セットリストとしては2011年秋に少し様変わりしている印象です。70年代の久しぶりにやる曲・代表曲の多い80年代・内向的な90年代前半と明るく弾ける90年代後半・そして近年の2000年代がバランス良く配置されています。ソロデビュー35周年にふさわしいセットリストです。
またバンドメンバーにストリングスセットと新たにホーン隊3名を加え、過去最多の22人体制!!
特徴的なのは、まずはオープニングナンバーの「ON THE ROAD」。ツアーの象徴でありながらも、オープニングナンバーに選ばれたことは(ほぼ)ありませんでした。
そして4曲目・5曲目の部分ですが、秋からは「独立記念日」~「反抗期」のレパートリーが加わりました。この流れは1982年の武道館と、その模様を記録したライブアルバム「ON THE ROAD」の曲順と同じ流れで、これ以前・以降もこの2曲はセットで演奏されることが多いです。
FFF2009からの流れで星勝さんの指揮によるロケストラの披露もあり、生の弦楽器とロックバンドの演奏が融合したステージを楽しめました。
それからセンターステージでのアンコールについては、演奏する曲の順番がコロコロ変わったりしているのも特徴です。セットリストに遊びがあって面白いですね。「光と影の季節」なんか、ツアー後半ではメインステージの6曲目になったりしてますからね。
余談ですがこのツアーが自分が初めて参加した浜田省吾ライブとなります。当時小学5年生。ほとんど何も覚えていませんが、1曲目「ON THE ROAD」のときスクリーンに映っていた走る浜田さんの姿と、センターステージでのウェーブは強烈に覚えています。
【雨上がりのJAZZYなパーティー――100% FAN FUN FAN 2013】
「ON THE ROAD 2011」が終わり、しばらくの充電期間を経て次に始まったのが「100% FAN FUN FAN 2013」でした。ちょうどこの年はファンクラブ設立30周年でそれを記念したツアーでした。
2011年に加わったホーン隊3名のうち、トランペットの佐々木さんとトロンボーンの清岡さんが続投。さらに新たに女性ボーカル2名が新たにメンバーに加わりました。後述しますがこの女性ボーカルを含めたバンド構成が2015年以降の基本となります。
Road & Sky - Shogo Hamada Official Fan Club Presents
100% FAN FUN FAN "On The Avenue 2013"「曇り時々雨のち晴れ」
01:Walking in the rain
02:モノクロームの虹
03:この夜に乾杯!
04:Same Old Rock 'n' Roll
05:街角の天使
06:土曜の夜と日曜の朝
07:雨の日のささやき
08:朝のシルエット
09:恋に落ちたら
10:少年の心
11:カンフル罪一発!〈カンフル罪コーナー〉
12:負けてられない〈カンフル罪コーナー〉
13:ベイブリッジセレナーデ
14:さよならゲーム
15:二人の絆
16:恋は魔法さ
17:Thank You
18:I am a Father
19:家路
Encore 01
01:こんな夜は I Miss You
02:こんな気持のまま
03:さよならの前に
Encore 02
04:最後のキス
「街角の天使」や「朝のシルエット」といった、ファンクラブ限定ツアーならではの選曲が今回も光っています。
特徴的なのは70年代・90年代以降に作られた曲が多く選曲されているところと、その反対に80年代の曲がほぼ見られないところです。「土曜の夜と日曜の朝」「恋に落ちたら」「家路」「こんな夜は I Miss You」くらいでしょうか? 一応「さよならの前に」は81年にシングル「ラストショー」のカップリングで発売していますが、作られたのは70年代ですし。
そしてギターの町支さんとサックスの古村さんによるユニット「カンフル罪」による演奏もあったようです。昔のライブではメンバーのオリジナル曲を披露していたこともあったようですが、こういったスタイルは久しぶりです。
セットリストを全体的に見て、とにかく音楽的に楽しめるものばかりが詰まっていて、お弁当箱みたいです。
後に発売された音源を聞くと、今回の主役はホーン隊と言わんばかりに、ホーンアレンジが目立っています。また今回からサウンドプロデューサーとして町支さんが本格的に活躍しています。些細なことですが後のツアースタイルの変遷を見たときに、このFFF2013のもたらした物は大きいです。
【自分忘れの旅の途上で見つけたもの――ON THE ROAD 2015】
2015年4月、前作「MY FIRST LOVE」から10年ぶりのオリジナルアルバムとなる「Journey of a Songwriter ~旅するソングライター」が発売され、そのアルバムと共に「ON THE ROAD」ツアーの開催が決定しました。
このアルバム「Journey of a Songwriter」ですが、今までの浜田省吾アルバムの中ではサウンドの面でかなりユニークなものが多く、独特のドラムパターンだけどシンプルなロック「光の糸」、ラテン調の「旅するソングライター」、ケロケロダンスミュージック「夜はこれから」など、「浜田省吾」に慣れていた人が聞くと新鮮に思える曲ばかりです。また作風としても一部を除きかなりポップな仕上がりです。
ON THE ROAD 2015 “Journey of a Songwriter”
第一部
00:永遠のワルツ(Instrumental)
01:光の糸
02:旅するソングライター
03:マグノリアの小径
04:美しい一夜
05:サンシャイン・クリスマスソング
06:瓶につめたラブレター
(07:花火)〈ワンフレーズ、導入として〉
08:五月の絵画
09:ハッピー・バースデイソング
10:夢のつづき
11:夜はこれから
12:恋する気分
13:きっと明日
14:アジアの風 青空 祈り part-1 風
15:アジアの風 青空 祈り part-2 青空
16:アジアの風 青空 祈り part-3 祈り
17:誓い
第二部
18:光と影の季節 or モノクロームの虹〈帯広公演のみ〉
19:Thank You or 二人の絆〈横須賀公演2日目のみ〉 or 恋は魔法さ
20:I am a Father
21:君の名を呼ぶ
22:ON THE ROAD
23:J.BOY
Encore 01
01:二人の夏
02:ラストショー or 演奏旅行
Encore 02
03:永遠のワルツ
Encore 03
04:青空のゆくえ or 家路〈横須賀公演2日目のみ〉 or MIDNIGHT FLIGHT-ひとりぼっちのクリスマス・イブ-〈クリスマス時期限定〉
このツアーは「Journey of a Songwriter」の曲を全曲やるということと、第一部が「Journey of a Songwriter」から、第二部は昔の曲を時間の許す限り演奏するということがアナウンスされていました。
基本的に第一部に関しては言うことないんですが、アルバム順でいうと3曲目の「きっと明日」が後半に持ってこられているところと、「永遠のワルツ」がアンコールに選曲されているところでしょうか。
そして第二部以降です。
ファンクラブ会報にて「第二部は日替わり曲を、そっくり入れ替えられるほど用意している」という発言がありましたが、蓋を開けてみるとほとんどの公演で似たような選曲になっています。
初日・2日目だった横須賀会場では選曲のばらつきがありますが、おそらく用意していた曲を少しずつ試していたけど、「光と影の季節~Thank You ~ I am a Father ~ 君の名を呼ぶ ~ ON THE ROAD ~ J.BOY」の流れがしっくりきて、そのまま後半までほぼ変わらずに通したという理由が考えられます。それと今回はほぼ1人1公演に近かったので、できる限り同じステージを見て貰う方がいいと途中から判断した可能性もあります。
それとラストの「青空のゆくえ」はかなり意外な選曲です。「〆曲(家路・日はまた昇る・ラストダンス・Midnight Blue Train)」以外からの選曲ではありませんでしたし。他にもこのツアーは「Money」や「HELLO ROCK & ROLL CITY」、「終わりなき疾走」などいわゆるド定番曲も外れています。ツアー恒例の「年代別チェック」もなく、新鮮なアルバムと共に行われた新鮮なステージでした。
あとツアー最終日にサプライズ曲(この日のためだけに用意した曲や、日替わりのラスト曲を続けて演奏する)の披露が無かったのは、ON THE ROADとしては珍しいのではないでしょうか? (ツアー最終日の鹿児島は悪天候で、少しでも早く会場を出なければいけなかったことが考えられます)
あとクリスマス時期には「MIDNIGHT FLIGHT -ひとりぼっちのクリスマス・イブ- 」の披露がありましたが、この時期にこの曲を披露する流れは次の「ON THE ROAD 2016」にも続いています。
前回のFFF2013で試験的に導入されていた女性ボーカルですが、今ツアーから中嶋ユキノさんと竹内宏美さんになり、バンドのサウンドのクオリティーが安定するようになります。浜田さん自身もこのバンド構成に好感を持ち、現在までメンバーが替わることなくコンサートや収録が行われています。この11人のバンドメンバーが「J.S. Inspirations」となり、その後の浜田さんの活動に大きく影響を与えることとなります。
【路地裏の少年は、今。――ON THE ROAD 2016】
2016年の年明けと共に約5年ぶりのアリーナツアー開催が告知されました。今回はツアーサイトにて「聴きたい曲アンケート」を採っており、セットリストの参考にしていました。この試みは過去のFFFで何度か実施されていましたが、「ON THE ROAD」ツアーとしては初めてです。
このツアーのテーマとしては「Journey of a Songwriter」「ソロデビュー40周年」と「J.BOY発売30周年」の3本の柱があります。この3本の柱を1つのツアーで成立させるのはかなり難しかったと思います。その部分に注目してみると、色々と面白いです。
ON THE ROAD 2016 “Journey of a Songwriter” since 1976
第1部
00:旅するソングライター(Instrumental)
01:路地裏の少年
02:HELLO ROCK & ROLL CITY or この夜に乾杯!
03:モダンガール
04:想い出のファイヤー・ストーム or ラストショー
05:19のままさ or AMERICA
06:悲しみの岸辺 or Edge Of The Knife
07:DJお願い!
08:バックシートラブ
09:土曜の夜と日曜の朝 or 今夜こそ
10:終りなき疾走
11:Midnight Blue Train
12:Money or 愛の世代の前に
第2部
13:丘の上の愛 or 星の指輪
14:もうひとつの土曜日 or 片想い
(14.5:永遠の恋人〈埼玉・広島公演にて客席と合唱〉)
15:マグノリアの小径
16:光の糸
17:旅するソングライター
18:きっと明日
19:夜はこれから
20:ON THE ROAD
21:J.BOY
Encore 01(第3部)
22:アジアの風 青空 祈り part-1 風
23:アジアの風 青空 祈り part-2 青空
24:アジアの風 青空 祈り part-3 祈り
25:誓い
Encore 02
01:こんな夜はI MISS YOU
02:MIDNIGHT FLIGHT -ひとりぼっちのクリスマス・イブ-〈広島公演3日目のみ〉
03:光と影の季節 or 恋は魔法さ〈兵庫2日目のみ〉
04:I am a Father
Encore 03
05:家路
Encore 04
06:サイシードの影〈弾き語り、福岡公演のみ〉
07:ラストダンス〈最終日のみ〉
オープニングが最新アルバムの「旅するソングライター」のインスト~デビュー曲の「路地裏の少年」で、そこから『ソロデビュー40周年』の流れに。1日目と2日目で日替わり曲がありますが、各会場コンサート1日目は『J.BOY発売30周年』の軸・2日目では『ソロデビュー40周年』の軸が基本になっていたりします。
あと前にも書きましたが、「HELLO ROCK & ROLL CITY」が「この夜に乾杯!」と日替わりになっていて、「これを聴かなきゃ浜田ライブじゃない」みたいな立ち位置が薄れているのに苦笑い(この曲は2001年野外コンサートやFFF,武道館といった企画系ライブ以外では、ほぼ欠かさず歌われていました。)。運動部で有能な後輩が入ってきて、立場が危うい先輩みたいな感じですね。
第2部では「Journey of a Songwriter」から代表曲へと続き、初めのバラード以外は固定でした。
「Journey of a Songwriter」が密になって固まっている、ちょっとここは後で「ON THE ROAD 2022」の予想で取り上げる部分なので、覚えておいてもらえるとありがたいです。
そして1回目のアンコール(アンコールって呼ぶには重々しいので、個人的には「第3部」と呼んでいます)ですが、「アジアの風 青空 祈り」シリーズがここに入っているのは驚きです。ファンクラブ会報内でもこのシリーズをどこに挟むか悩んだという話がありました。
全体的に見て、「ON THE ROAD 2015」と「ON THE ROAD 2016」はセットで語るべきライブだと思います。
2015のほうは「旅するソングライターが旅行先で撮った写真を見るツアー」、2016は「旅するソングライター自身の軌跡をたどるツアー」だと思います。だからこそ「新曲中心の2015年」と「懐かしい歌と新曲を一緒に演奏する2016年」というセットリストになったとのだと考えられます。
成果と経緯。
両方のツアーによって「Journey of a Songwriter」というシリーズは終わったのだと、ツアー終了後は思っていました…
――まさかこの後3年以上連続で開催されるファンクラブ限定ツアーで、「旅するソングライター自身の軌跡をたどる」というコンセプトが続くとは思っていなかったのです…。
【血肉として生きている曲たち――100% FAN FUN FAN 2017】
「Journey of a Songwriter」シリーズが終わったかと思いきや、翌年2017年にファンクラブ会員限定ツアーが決定します。
2016年頃から「バンドメンバーで洋楽のカバーアルバムを発表する」という趣旨の発言がチラホラでてたり、会員サイトでは浜田さんがDJを務める「The Moonlight Cats Radio Show」という謎の不定期ラジオが始まったりと徐々に次のコンセプトが見え始めていました。
そして「The Moonlight Cats Radio Show」というタイトルで2枚組の洋楽カバーアルバムが発売され、普段とは全く異なった会員限定ツアーが始まったのでした。
Road & Sky - Shogo Hamada Official Fan Club Presents
100% FAN FUN FAN 2017 Welcome back to The 60's
“The Moonlight Cats Radio Show”
第1部
00:初恋(Short version)
01:Soulful Strut (Instrumental)
02:My Cherie Amour
03:My Girl
04:Mercy, Mercy, Mercy
05:You've Really Got a Hold on Me
06:Crazy Love
07:This Boy
08:The Supremes Medley ~Stop! In the Name of Love
~You can't Hurry Love
09:Will You Still Love Me Tomorrow
10:What's Going on
11:Ain't No Mountain High Enough
12:The in Crowd (Instrumental)
第2部
13:Darkness In The Heart -少年の夏-
14:旅するソングライター
15:さよならゲーム
16:花火
17:あれから二人
18:光の糸
19:君のいるところがMy sweet home
20:・・・ to be “ Kissin' you ”
Encore 01
01:夜はこれから
Encore 02
02:日はまた昇る
(タイトルが長い)
第1部が全曲洋楽カバーアルバム「The Moonlight Cats Radio Show」からの選曲で、ステージ上も生放送ラジオブースのように豪華でした。なので第1部については「ON THE ROAD 2022」を予想する上で語ることがないのですが、これ以降のツアーでは客入れのBGMとして「The Moonlight Cats Radio Show」の曲が使用されています。自前の音源なので会場で流すための許可が取りやすいんですかね。
コンサート自体は非常にまったりとゆるい雰囲気で楽しめました。カバーアルバム第2弾も密かに待ってます。
第2部は「Darkness In The Heart」以外全て90年代以降からの選曲。「ON THE ROAD 2016」であまり演奏しなかった90年代以降を補完している意味合いもある気がしますが、浜田さんが自由にやれる・やりたい曲を選んでいると思います。
それと前年まで割と場所を固めて演奏されていた「Journey of a Songwriter」の曲たちが、初めて古い作品と一緒に混ざって演奏されたセットリストです。そんな意味でこの第2部にセットリストは個人的に大好きです。
このファンクラブ会員限定ツアーのコンセプトは「バンドメンバーを丁寧に紹介する」と「浜田さんが少年の頃に聴き倒していた60年代の曲を知ってもらう」ことの2つだったと思います。
前者については言い方を変えれば「今後はこのバンドメンバー『J.S. Inspirations』で活動してゆくことの表明」であり、後者に関しては「その曲達が浜田さんの血肉となって曲が生まれ、今の浜田さんがいる」ということです。
ツアー終了後にファンクラブ会報でこれを読み取ったとき、
「そうか! 『旅するソングライターの軌跡』は「旅をするまでの準備」も含まれていて、そこまでやって初めて『Journey of a Songwriter』というシリーズは完結するのだな!」
と気がつきました。
要するにこのツアーは「ON THE ROAD 2015-2016」の補完・スピンオフであり、「Journey of a Songwriter」シリーズの完結編なのだなと。
だからこそ浜田さんの少年時代への帰還、「Welcome back to The 60's」というタイトル。点と点が線で繋がりました。
*
ただこの時の私の考えは間違っていました。
この「Welcome back」の意味をもう少し深く考えるべきだったと。
長旅の話をするときに、「旅をする前の準備の話」を最後に持って来るでしょうか?
否!!!!
「旅をする前の準備の話」は、「旅の出発のときの話」をする前にするものです!!
ということで、このFFF2017は「Journey of a Songwriter」シリーズの完結編ではなく橋渡しであり、「Welcome back 」シリーズの始まりだったのでした。
【思い出のアルバムを開こうか――100% FAN FUN FAN 2018】
2018年晩春、2年連続となるファンクラブ会員限定ツアーの開催が告知されました。FFF2018、そのコンセプトは「Welcome back to The 70’s」。70年代に作られた初期の曲のみのセットリストです。
当時高校生の私の頭はこの時点で「???」でした。
終わったはずと思っていたコンセプトが生きていたのです。
正式タイトルは「"Journey of a Songwriter since 1975" Welcome back to The 70's “君が人生の時~Time of Your Life”」
またこの開催を記念して、メモリアルシングルとしてニューアレンジされた「Good Night Angel / Love Train」が発売されました。実はシングルって、2005年「Thank You」以降発表されていなかったのですが、この2018年から毎年メモリアルシングルとして何かしら発売される流れが続きます(ちなみに2022年7月中旬現在、2022年に向けてのシングルの発表の予定はありません)。
Road & Sky - Shogo Hamada Official Fan Club Presents
100% FAN FUN FAN 2018 "Journey of a Songwriter" since 1975
Welcome back to The 70's “君が人生の時~ Time of Your Life”
第1部(弾き語りコーナー)
00:とらわれの貧しい心で(Instrumental)
〈1人で弾き語り〉
01:生まれたところを遠く離れて
02:あの頃の僕
03:いつかもうすぐ
04:19のままさ
05:遠くへ-1973年・春・20才-
〈町支さんと2人で弾き語り〉
06:朝からごきげん
07:君に会うまでは or 散歩道(数公演限定)
08:君の微笑
09:路地裏の少年
第2部
10:雨の日のささやき
11:恋に気づいて
12:悲しみ深すぎて
13:Love Train
14:子午線
15:4年目の秋
16:ミス・ロンリー・ハート
17:いつわりの日々
18:風を感じて
19:涙あふれて
20:今夜はごきげん
21:青春のヴィジョン
22:君が人生の時・・・
Encore 01
01:Good Night Angel
Encore 02
02:行かないで
03:ラストダンス〈弾き語り〉
その他全公演セットリストは共通
(だからタイトルが長い)
70年代の曲に作られた曲のみのセットリストですが、「19のままさ」や「遠くへ」といった、当時に作られたけど発売されたのが別の時代というのもあります。
70年代中心のセットリストですが、この時代にしては結構有名な曲ばかりで固めてきたなあというのが率直な印象です。もっとマニアックに「からっ風のララバイ」とか「幻想庭園」とかやるのも聴いてみたかったなあ。
そうはいっても、ステージで初めて披露された「子午線」、超レア曲「ラブ・トレイン(Love Train)」「青春のヴィジョン」など、この企画がなかったら二度と聴けないであろう曲がステージで歌われたというのは非常に貴重なことだと思います。
第1部の弾き語りコーナーも味があり、この時代ならではの雰囲気を味わえました。
セットリストを全体的に見ると、初期の5枚のアルバムのうち、「生まれたところを遠く離れて」「Love Train」「MIND SCREEN」「君が人生の時…」の4枚からはバランス良く選曲されている(ただしMIND SCREENは浜田さん自身が作曲した中からの選曲という意味)のですが、サードアルバム「Illumination」からの選曲が少ないのが気になります。
それと余談ですが2009年、2011年、2018年とここ数年で重要なポジションである本編のラスト曲(〆曲)に「君が人生の時・・・」が選ばれていることにより、自分の中での「〆曲」の定義に「君が人生の時・・・」が加わって、「「家路」「日はまた昇る」「Midnight Blue Train」「ラストダンス」「君が人生の時・・・」」の5曲となったのがこの辺です。
翌年にこのツアーの模様をパッケージ化したBDとDVDが発売されますが、「浜田省吾映像作品史上初めてコンサートまるまる一本収録したもの」の発売となります。
*
「Welcome back to The 70's」というツアーは終了し、次のコンサートの流れが分かってきました。タイトル「Journey of a Songwriter since 1975」とあるように、前回・今回のツアーは「Journey of a Songwriter」シリーズです。
ただ「ON THE ROAD 2015-2016」の「Journey of a Songwriter」とは少し系統が違います。
FFF2017以降は、「Journey of a Songwriter since 1975」であり、「since 1976(ソロデビューから)」ではないのです。
ここを解きほぐすヒントに、ライブ中のMCがありました。
浜田「今日70年代の歌だけをやるというコンセプトを考えたのは、もしジョンとジョージが生きていて『The Beatles』が再結成されて、『In My Life』が聴けたらいいなぁと思ったんです。(中略)でも彼らはもういない、…しかし俺は、まだ、生きてる。」
浜田「遙か遠い遠い昔、俺の歌を見つけてくれて、愛してくれて、育ててくれたリスナーのみなさんと、思い出のアルバムを開くみたいに一緒に歌を楽しめたら…音楽を楽しめたらいいなと思ったのが、今日のコンサートのコンセプトです」
もうこれが全てですね。
2015-2016は「旅するソングライター自身の軌跡」という意味の『Journey of a Songwriter』でしたが、「Welcome back」シリーズの『Journey of a Songwriter since 1975』は、「旅するソングライターが旅していた同じ時期に、別の旅をしてきたリスナーと音楽を楽しむ」という意味だと考えられます。
つまりこの「Welcome back」シリーズは、「Journey of a Songwriter」シリーズと兄弟であり、スピンオフであり、「Journey of a Songwriter」のテーマをもう一度丁寧に掘り下げるライブでもあるのです。
だからこそ「Journey of a Songwriter since 1975」と「Welcome back」の2つのサブタイトルがあるのです。(そして長くなる)「since 1975」なのはおそらく 「ON THE ROAD 2016」のときよりも深く掘り下げるという意味合い(=2016年のときの「旅するソングライター自身の軌跡」との差別化)も兼ねているのでしょう。
※そうするとFFF2017では「since 1975」というタイトルが使えなかったのに合点がいきます。なんせ60年代はまだ「ソングライターの旅」が始まっていないんですから、「Journey of a Songwriter since 1975」と言えませんし、じゃあ 「since 1975」を取っ払ってしまうと今度は2015-2016と同じテーマになってしまいます。
そしてこの「Welcome back」シリーズは、次のステージへ進むのです。
【そのとき、疾走が始まった。――100% FAN FUN FAN 2019】
3年続けて開催が決定したFFF2019。
「100% FAN FUN FAN 2019 "Journey of a Songwriter" since 1975 Welcome back to The 80's part-1 終りなき疾走~ALL FOR RUN」
「Welcome back」シリーズ第3弾です。
今回の選曲は一番勢いのあった80年代のみのセットリストですが、80年代は曲数が多いということで、part-1とpart-2の2回に分けて開催されることがアナウンスされました。
このFFF2019はその前編、「HOME BOUND」「愛の世代の前に」「PROMISED LAND~約束の地」の3枚のアルバムからの選曲となりました。
Road & Sky - Shogo Hamada Official Fan Club Presents
100% FAN FUN FAN 2019 "Journey of a Songwriter" since 1975 Welcome back to The 80's part-1 終りなき疾走~ALL FOR RUN
00:君が人生の時(Instrumental)
01:終りなき疾走
02:独立記念日
03:反抗期
04:あばずれセブンティーン
05:恋に落ちたら
06:愛という名のもとに
07:DJお願い!
08:バックシートラブ
09:さよならスウィート・ホーム
10:愛しい人へ
11:丘の上の愛(弾き語り)
12:悲しみは雪のように(弾き語り)
13:防波堤の上
14:陽のあたる場所
15:OCEAN BEAUTY (Instrumental)
16:マイホームタウン
17:東京
18:明日なき世代
19:ON THE ROAD
20:凱旋門
Encore 01
01:今夜こそ~土曜の夜と日曜の朝
02:ラストショー
Encore 02
03:家路(弾き語り)
「HOME BOUND」「愛の世代の前に」「PROMISED LAND~約束の地」の3枚は、まさに「ロックシンガー浜田省吾」の側面がバリバリに出ている年代です。70年代のポップなイメージから脱却し、一気に人気が加速したともいえる時代の楽曲達です。盛り上がらないはずがありません。
基本的にON THE ROADツアーでよく選曲されているものも多いのですが、その人気曲の影に隠れていた曲達も再発見されました。当時のツアーで大事な役割を持っていた「凱旋門」、ツアーで演奏されることのなかった「防波堤の上」、当時よく演奏されていたけど近年はご無沙汰だった「明日なき世代」、2001年以来久々の登場「東京」など。
個人的には「さよならスウィート・ホーム」を聴けたのが嬉しかったです。この曲も本当に久々の演奏でしたかね。
セットリストを見ると、第2部の始まりが弾き語りコーナーになっているのが面白いですね。「丘の上の愛」「悲しみは雪のように」の2曲は代表的なバラードとして人気が高い曲ですが、演奏のしかたで違った曲のように聞こえたのを覚えています。あと事前に告知されていた3枚からではなく、同時期に発売されたシングル・ライブアルバムから特別に「ON THE ROAD」が選曲されています。
このセットリストは個人的に大好きなものだったので、ライブ円盤を心待ちにしているのですが…どうやら80年代part2と一緒に編集してリリースするつもりらしく…
まだ当分お預けのようです(フルでリリースしてくれれば良いんですけど…)
非常に楽しいライブで、翌年の2020年には80年代part2が開催されるものだと思っていました…が。
【100% FAN FUN FAN 2020(中止)】
2020年。年明けから不穏な影は見え隠れしていましたが、新型コロナウイルスの感染報道が相次ぎ、あっというまにパンデミックに。
そんななか2020年5月に、「100%FAN FUN FAN 2020 "Journey of a Songwriter Since 1975" Welcome back to The 80's part-2 "DOWN BY THE MAINSTREET"」の開催が発表されました。80年代後半のアルバム「DOWN BY THE MAINSTREET」「J.BOY」「Father's Son」からの選曲です。キャリアの中でも大きな節目ともいえるアルバムからの選曲、盛り上がらないはずがありません。
しかし感染状況は終息せず、告知された一ヶ月後に中止が発表されました。
またメモリアルシングルとして、「MIRROR / DANCE」が秋に発売されました。ニューレコーディングされて、現代のダンスミュージックのようなアレンジに様変わり。FFF2020用に用意していた曲で、他にも候補曲があるそうですが、そちらは再び開催されるまでのお預けとなりました。
また11月には、2004年頃から始まった「Fairlife」プロジェクトにて、作曲提供や歌唱として参加した曲を、浜田省吾名義で再収録したミニアルバム「In the Fairlife」が発売されました。
これらの曲については、どうやらコンサート内で演奏できるみたいです。
【ON THE ROAD 2021(中止)】
【Fan Club Concert Tour 2021(中止)】
2021年3月、勢いの止まらない新型コロナの感染拡大のなか、衝撃のニュースが。6年ぶりの新曲となる「この新しい朝に」が配信にてリリースされるというものでした。また6月には新曲のCD盤としてシングル「この新しい朝に」が発売。カップリングとしては、どちらもファーストアルバムから「青春の絆」「壁に向かって」を収録。2021年はソロデビュー45周年でしたので、様々な企画が用意されていたものと思われます。歌詞集も発売されたり、45周年記念用の公式Twitterもオープンしました。
本来ならば2021年には、ソロデビュー45周年ということもあり、ON THE ROAD 2021という冠でアリーナツアーが計画されていましたが、新型コロナによりキャンセルに。
その代わりとして、アリーナ会場を使用したファンクラブ会員のみのコンサートも急遽予定されましたが、そちらも中止に。
このファンクラブコンサートのタイトルは、「Fan Club Concert Tour 2021 Welcome back to The Rock Show "Eve"」。これまでの「Welcome back」シリーズを応用したタイトルとなっていて驚きました。
意訳すると「ロックショー帰還の前夜」とかですかね。
2年続けてコンサートの中止が続き、当初予定されていたプランが大きく崩れてしまいました。
2020年はシングルだったり、YouTubeの更新だったり、映像発売などが続いたので、コンサートは中止になったものの、ファン目線からすると供給が多く嬉しかったのですが、この2021年は6月のシングル発売以降なにか供給があったかと聞かれると首をかしげてしまいます。作られた公式Twitterも、結局プレイリストを作った以外の呟きはありませんでしたし。
そんな2021年11月のおわり、完全に飢えた獣状態のファンのもとに、またもやとんでもない知らせが届きます。
【ある40年前の年明けのできごと――ON THE ROAD 2022 Live at 武道館】
2022年1月6日・7日の2日間、東京の日本武道館にてライブをすることが決定。タイトルは「ON THE ROAD 2022 Live at 武道館」。その内容は、40年前の1982年、1月12日に開催された初の武道館コンサートのセットリストを完全再現するものでした。
40年前の武道館といえば、間違いなく浜田省吾のライブツアーの転機、伝説と呼べるライブです。地方で細々と続けていたライブ活動の成果開き、その年のツアーからは「ON THE ROAD」というタイトルが付くようになりました。
そんなライブを40年後に再現するというのですから、ファンとしては行かない理由はありません。
しかし、約1ヶ月前のスピード告知だったり、武道館(もっといえば東京)のみでの公演、平日開催、なによりキャパが少なすぎるということもあり、プレミアムチケット必須。自分も地方民だったので、応募はしたものの色々苦しかったです。(運良く自分は2日目の当日券を奇跡的に入手。某東北の片国から新幹線を乗り継いで、現地へとむかいました。)
ちなみにその武道館の様子は、ライブレポートとして残しています。↓
正直、内容としては40年前のセトリなので、今回のツアーを考えるにあたってはノイズになるのですが。今の浜田省吾のライブの組み立て方を考える上で参考にはなるので、一応。
Shogo Hamada 40th Anniversary ON THE ROAD 2022 Live at 武道館
00.In My Life~G線上のアリア
01.壁にむかって
02.明日なき世代
03.青春のヴィジョン
04.土曜の夜と日曜の朝
05.愛という名のもとに
06.モダンガール
07.君の微笑み
08.悲しみは雪のように
09.いつわりの日々
10.路地裏の少年
11.ラストショー
12.片想い
13.陽のあたる場所
(13.5.初恋)
14.終りなき疾走
15.独立記念日
16.反抗期
17.東京
18.愛の世代の前に
Encore01
19.あばずれセブンティーン
20.HIGH SCHOOL ROCK & ROLL
21.Midnight Blue Train
Encore02
22.ラストダンス
…なんか特に書くこともないんですが。その後長年大切に歌われている曲たちが、多く登場しています。当たり前のことですが。とはいえ近年のライブで演奏した曲が大半をしめているので、久しぶりにやる感のある曲は意外と少ないですよね。
ファンクラブ会報内の話なのでぼやかして書きますが、浜田さん自身も今の浜田省吾のやるセットリストの流れではないように思っているのはうかがえます。
例えばバラードが中盤に固まりすぎていて、コンサートとしての流れが上手く出来ていない印象です。しかも今回は途中で休憩時間があるので、「路地裏の少年」~「ラストショー」の流れもしっくりきますが、当時のままだとバラードコーナーに突如現れた2曲のように見えてきます。
なんやかんやありましたが、状況が見えない中での武道館コンサートも無事に終わり、映像等もリリース。
そして2022年9月から、久しぶりのホールツアー「ON THE ROAD 2022 Welcome Back to THE ROCK SHOW "EVE"」が始まるのです!!!
近年のライブ構成の分析
いやーーーー長かった。
ここからが本題です!!!!!
ここまで近年のライブのセットリストを見ていると、ある程度の流れは理解できるのではないでしょうか?
![](https://assets.st-note.com/img/1662619753238-8M3fO1Ydzf.png?width=800)
これは近年のライブの流れと、私個人の偏見を元に作成したものです。
例えばFFF2009やFFF2017前半などの企画ものの場合や、第1部第2部を明確に分けていない2011年などは、少し特殊なのでこれには当てはまりませんが、そのほかのライブに関しては割とこの通りかなと思います。(もちろん微妙に差はあります)
詳しく見ていきましょう。
①1曲目~、オープニング
幕が上がり最初の盛り上がりです。
登場だけで盛り上がるのですが、1曲目からは基本的にロックンロール系の明るめな曲が多いです。だいたい4曲目までは同じ流れが続く印象です。
よく登場するイメージ
「HELLO ROCK & ROLL CITY」「この夜に乾杯!」「二人の絆」「さよならゲーム」「勝利への道」「あばずれセブンティーン」「独立記念日」「反抗期」など
中でも1曲目は、そのツアーを飾る曲なので、日替わりなしの意味のある曲なことが多いです。ただ曲調としては激しすぎるロックというより、ミディアムテンポが多いイメージ(「路地裏の少年」「A PLACE IN THE SUN」など)です。
②5曲目~6曲目など
この辺りになると、パーティー感のある4曲目あたりから少し抑えめになり、次に続くバラードコーナーへの橋渡しをするような曲が続きます。ツアーによってはこの役割を持つ曲を飛ばすこともあります。
この枠のイメージ
「雨の日のささやき」「AMERICA」「街角の天使」「19のままさ」など
③6曲目くらいから2曲ほど続けて…
ここで軽めのバラードがよく入ります。エイトビート調の曲が多いですが、それとセットでドラム(小田原さん)が休憩できるような曲が入るイメージです。またアコースティックな曲もここら辺で挟まれます。
「もうひとつの土曜日」などの深く深く沈むようなバラードは、このブロックでは演奏されない傾向にあります。
この枠のイメージ
「彼女はブルー」「君の微笑」「愛という名のもとに」「恋に落ちたら」「悲しみは雪のように」など
またOTR2015は、第1部が「Journey of a Songwriter」のアルバムからということもあり、第1部自体が長いライブでした。「瓶に詰めたラブレター」~「夢のつづき」のアコースティック系がここに当てはまります。
④7曲目~ 3・4曲くらい続けて
ここから再びエンジンがかかり、明るめな曲が続きます。
そのブロックの最後には、第1部最高潮ともいえる盛り上がりの曲が配置されることが多いです。
また場合によっては前のブロックの流れを引き継いで、盛り上げることなく重めのバラードを演奏することもあります(OTR2006-2007、FFF2013など)。
この枠のイメージ
「DJお願い!」「バックシートラブ」「今夜こそ」「土曜の夜と日曜の朝」「君のいるところがMy sweet home」など
第1部最高潮
「Money」「終わりなき疾走」など
⑤10~11曲目など 第1部、締めの1曲
15分の休憩に入る前に、前までの流れを押さえる曲が1曲だけ差し込まれることがあります。FFF2019では「愛しい人へ」や、OTR2006-2007「生まれたところを遠く離れて」「ある晴れた夏の日の午後」「誓い」など。
比較的大切・重要な曲などが多いイメージです。
⑥12曲目以降~ 第2部の開幕
第2部の始まりかたは、第1部がどのような形だったのかで、2パターンにわかれます。
第1部の終盤で盛り上がる曲を続けた場合→バラードでスタート(OTR2016、FFF2019など)
第1部の終盤がバラードなど→軽やかに踊れる曲でスタート(OTR2006-2007、FFF2018など)
⑦13・14曲目くらい
深く深く沈むようなバラードはこの辺りに配置されます。基本的に幸せじゃない恋愛系の歌が多いです。
「もうひとつの土曜日」「いつわりの日々」「陽のあたる場所」「PAIN」など
またこの次に来るのがアップテンポのロックなことが多いので、その直前の曲は、しっかりとバンドで演奏する系のバラードが多いです。
⑧15曲目くらい~
ここから再びアップテンポが4曲ほど続きます。
バラード系統の曲から、自然と立ち上がれるようにドラムや電子音などで煽ることが多いです。
硬質な祈り系統の曲か、明るいロックンロールかはツアーによります。
またON THE ROADツアーだと、このブロックの最後が「J.BOY」です。
そこが最高潮になるように組み立てられることが多いです。
⑨20曲目 本編の締めの曲
ON THE ROADツアーだと、だいたい「J.BOY」のあとに演奏される曲が本編締めです。重要かつ大きな意味を持ったメッセージソングが演奏されることが多いです。
「僕と彼女と週末に」「愛の世代の前に」などの硬派な曲から、「家路」「日はまた昇る」「君が人生の時…」などのメッセージソングなど
⑩アンコール
アンコール第1部では、ゆったり踊れる系の曲がセレクトされます。「こんな夜はI MISS YOU」のようなアカペラ系だったり、「光と影の季節」など陽気に弾けるのかはツアーによりますが、リラックスした曲が2~3曲続きます。
また2015年・2016年のツアーでは、クリスマスが近くなると特別に「MIDNIGHT FLIGHT-ひとりぼっちのクリスマスイブ-」がこの枠で演奏されています。
イメージ
「こんな夜はI MISS YOU」「二人の夏」「光と影の季節」「I am a Father」「ラストショー」「演奏旅行」など
⑪23曲目くらい ラストの曲
2回目・3回目のアンコールが、ラストナンバーです。
冒頭でも書いた「〆曲」がここでセレクトされる傾向が大きいです。どれも最後は激しくなく、ゆったりと終わるイメージです。
また最終公演のアンコールでは、日替わりのラストナンバーを2曲続けて演奏したり、この日のためだけに用意したナンバーを披露するなどのサプライズがあります。
「家路」「日はまた昇る」「Midnight Blue Train」「ラストダンス」など。また変化球で「初秋」「最後のキス」などもあります。
*****************************
いかがでしょうか?
ばらつきはあるものの、要所要所の流れはどのツアーでも共通するような気がします。
さて。
ではこれを元に、「ON THE ROAD 2022 Welcome Back to THE ROCK SHOW "EVE"」ではどんな曲が披露されるのかを、妄想コミコミで予想していきたいと思います!!
後半に続く!!!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?