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浜田省吾2022年武道館2日目レポート

初めに

これから駄文を失礼いたします。
先日2022年1月7日金曜日に開催された『Shogo Hamada 40th Anniversary ON THE ROAD 2022 Live at 武道館』の2日目に参加してきました。
その一記録として書き置けたらなと思い、筆を執らせて頂きました。

まず初めに、今回の武道館公演は、抽選に外れ行きたくても行けない方や、仕事による断念、新型コロナウイルス情勢により参加を断念したという方がたくさんいらっしゃることを知っています。
私も地方ですし、運良く当日券をゲットできていなければ同じでした。
私の家族も平日に参加するのは無理だと、涙をこらえて参加を諦めました。

この記事が多くの方に届くとは思っていませんが、それでもこの武道館の内容を分け与えたいというのが、このレポを書いた理由です。

1日目参加されて、2日目の様子を探るために覗きに来られた方、ありがとうございます。そちらはいかがでしたか?
同じ日に参加されて、思い出を補強しに来られた方、ありがとうございます。でもところどころ間違っていると思います。ごめんなさい。
参加を断念された方、ここから先もしかしたら苦く思う表現があるかもしれませんのであらかじめお詫び申し上げます。
浜田省吾が誰かも知らないけどなんかたどり着いた方、どうもこんにちは。何か縁があったのでしょう。

ライブから1日たった今でも、「あれは現実だったのか?」と思うほどに、自分が参加している実感がなかったです。席が遠かったというのもあるんでしょうけど、それだけではなかったはずです。一体それがなんなのか、それはこれから考えていくとします。


【注意】

  • このレポートは筆者による記憶が全てです。実際の内容とは少し違う部分が多々あると思いますが、ご了承ください。

  • このレポートを書くにあたって、公演の録画・録音等を一切していないことをここに宣言します。

  • なお思い出したら加筆・修正を加えていくかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

  • 参加されていない方で、後に発売されるかもしれない映像等で何も知らずに楽しみたいという方はお戻りください。



Shogo Hamada 40th Anniversary ON THE ROAD 2022 Live at 武道館


2022年1月7日

16時25分、場内の緊張感が高まってゆく。

ある者はステージの上の変化を見逃さないよう目を見開き、ある者は客入れBGMである「 The Moonlight Cats radio Show」を聞いて身をゆらす。またある者は手を組んでじっと祈っている。

今回のライブは今までの彼のライブとは、「色々な意味で」違っている。

その内容についてはもはや説明する必要はないだろう。

40年前、1982年1月12日。彼にとって大きな転換点と言える武道館公演。
それはファンの間では伝説。

そしてその40年後の今日、当時のセットリストを完全再現するという夢のような公演なのだ。

そしてそれだけではない。
2020年から世の中に暗い影を落とし続ける新型コロナウイルスの大流行。その影響は彼にとっても例外ではなく、予定されていた2020年ファンクラブ限定ライブ、2021年ON THE ROAD アリーナツアー、その代わりとして急遽開催されようとしていた2021年ファンクラブ限定アリーナツアー…

3つのツアーが日の目を見なくなってしまった。

その最中にようやく開催された武道館ライブ。
マスク着用、厳重な入退場、歓声・声援禁止…

こんな状況で彼はどのようなステージを見せてくれるのか…個人的にはここが一番気になるところであった。

16時27分。

突如場内上部の設備照明が消え、マスク越しの驚きと興奮が場内に響く。そしてその後に湧き上がるような拍手が…

ステージ上部に設置された照明のみが客席を照らすなか、響くアコースティックギターの音…

The Beatles 「In My Life」

その彼が弾き語りしているバージョン。

誰が始めたのか、弾き語りのメロディーに合わせて手拍子が起こる。
いつもならここで口笛や歓声が響くのだが、それは起こらない。
館内にある入場口が次々と閉められ、避難誘導灯が消えた。
そして弾き語りもポロロンと響きながら終わり、客席を照らしていた照明も消え、青く照らされたステージがはっきり見えるようになる。

場内に大きな拍手が巻き起こり…!!

00.G線上のアリア

まさかのクラシックが場内に響く。

クラシックを全く知らない自分でも分かるほどの有名曲だ。場内が一気に上品な空間になる。

ステージ下手にスタッフの持つライトが光り、バンドメンバーが登場する。

それぞれの持ち場に着くと同時に、ステージ付近の観客の拍手がいっそう大きくなる。

浜田省吾、登場。

それに気がついた自分たち遠くの観客も拍手する。

そう、今回私は当日券にてギリギリ参加を許された人間。

故に本日の席はステージ上手側(メンバーで言えば長田さんが一番近い)の2階席東スタンドの後ろから2列目。

実質3階席であった。

コアな省吾ファンの方が想像しやすいように言うならば、2001年DVDに収録されている武道館公演を思い出してほしい。あの映像にも上手側から客席を見下ろした画角があるのだが、丁度あの角度とほぼ同じであった。

閑話休題。

ゆっくりと中央に歩いてきた省吾は、ギターを手にしてお辞儀をする。
そしてG線上のアリアが響き続ける中、いきなりドラムのリズムが鳴る。
そしてそのドラムのリズムに合わせて、長田さんのギターがうねる。

01.壁にむかって

ライブアルバム「ON THE ROAD」の1曲目にして、40年前の武道館でのオープニングナンバー。

青く照らされたステージを囲んでいるオレンジ色の照明が、リズミカルに点滅している。

今回は去年6月に発売された新曲「この新しい朝に」のシングル盤にてリアレンジされたバージョンの演奏。

省吾は紺色のTシャツと灰色の長袖を重ね着しているみたいで、首にはタートルネック的な何かをしている。

 声の衰えは全く感じず、いつも通り元気そう。

ギターとホーンがうなり、ジャーンと曲が終わる。場内は大きな拍手に包まれる。

それが鳴り止むか止まないかというところで、小田原さんの激しいドラムロールとフラッシュ。

そしてステージがまばゆい光に包まれると同時に、ステージ前部の迫り台のような部分から爆発音と空砲が!!!

02.明日なき世代

空砲の煙が輪を描いてステージ上部へと上る中、ギターとサックス、省吾の雄叫びが響く。

白い光の中、こまめにオレンジや黄色、緑や水色といった照明が点滅する。

「世界はまるで終幕(フィナーレ)をむかえてる 悲劇の舞台(ステージ) もう見たくないよ」

当時と意味合いは違うが、近年の状況のよう。

そして最後の大合唱の部分は、我々が歓声をあげられないのに、煽る煽る。

それにつられて自分の周りの席の数人も、マスク越しに呟きながら拳をあげる。

そうではない人も手拍子、拳をあげるなどして、それぞれが彼の合唱に応える。

『Wooow woooow…』

曲が終わり、暗闇に大拍手が響き渡る。

正面にスポットライトがつき、省吾が声をあげる。

「やあ!!」

「ON THE ROAD 2022 Live at 武道館 へようこそ!!」

場内に再び割れんばかりの拍手が巻き起こる。

「連日晴天続きだったのに、昨日に限って大雪…(笑)。しかし今日はまた晴天で、気分良く来ていただけたのではないかと思います。」

「今日の武道館公演はですね、ここで初めてコンサートをした1982年のセットリストを最初から最後まで演奏するというものなんですよ。いいでしょうか?」

場内、再び拍手。

「このご時世ですから、みなさんは声をあげることができません。ではどうすればいいのかというと、手拍子がありますよね。でもずっと手を叩いていたら…手が壊れます(笑)。ですからエア手拍子で結構です。」

そう言ってエア手拍子の見本を披露する省吾。場内、控えめの笑い。

「こんな感じで。曲の最中はエア手拍子で手を楽にして貰って、曲が終わったときに拍手を頂けたなら、俺達バンドはそれだけで十分です。立って踊っても良し、座って聞いても良し、好きなように楽しんでもらえればなと思います。」

「いい夜にしたいと思います。最後までよろしく!」

拍手の中、長田氏の鋭いギターリフが武道館に突き刺さる。

03.青春のヴィジョン

2018年に開催されたファンクラブ会員限定ツアー「Welcome back to The 70's(略)」にて久々に披露されたこの曲。

後に映像化され、当時とは違うアレンジを楽しむことができた。

今回もその2018年のアレンジ。毎日と言って良いほどあの映像特典のCDを聞いていた身からすると、そこに収録されていたアレンジとほぼほぼ違いはないと思う。

唯一の変更点として気がついたのは、省吾の持つギターがアコースティックギターっぽいのに変わっていたこと。
自分はギターに詳しくないが、2018年で省吾が手にしていたのはエレキギターっぽい見た目の、アコギ音がするものだったはず。音の厚み等に関しては全く変わらなかったと思う。

照明はブルーや水色っぽかった。

青年のもがく胸中を表すかのように曲が終わり、場内は再び暗闇に。

そしてそこから一転、弾むようなドラムビートと共に楽しげに照明が点滅する。
中央に立ちギターを持ち替えた省吾は、少しリズムに合わせ独特のダンスをした後叫ぶ。

「Everybody!!」

「ウノ・ドス!! ウノ・ドス・トレス!!」

なぜかスペイン語(だったと思う)で、「1・2・3」をカウントした後、ホーンが高らかに鳴り響く!!

04.土曜の夜と日曜の朝

「J.Boy」の次に演奏回数が多いのではないかと思うお決まりのナンバー。

直近の演奏は2019年ファンクラブツアー、「Welcome back to The 80's part-1」にて「今夜こそ」とのメドレーで披露された。フルでの演奏は2016年アリーナツアー以来。

アレンジは2006年ベストアルバムのバージョン。

観客もメンバーも楽しげに体をゆらす。

途中のコーラス掛け合いも、町支くんと中嶋さん竹内さんが観客の分まで盛り上げる。

「ありがとう!!」

「1982年の武道館公演のセットリストを再現するというものなので、当時を振り返りながら進めたいと思います。」

「当時武道館をやるとき、70年代に作った『生まれたところを遠く離れて』から『君が人生の時…』の5枚のアルバム、そして80年代初期の『Home Bound』と『愛の世代の前に』の2枚、合計7枚から選曲しなければならなかったんですよ。中でも『愛の世代の前に』は81年の夏に作ったわけですから、3ヶ月後のニューアルバムだったんですよね。」

「次はその40年前の新曲を聴いて頂きたいと思います。」

05.愛という名のもとに

ブルーとグリーンに包まれた照明の中、しっとりと歌われる名曲。

アレンジは2006年ベストアルバムのバージョン。

省吾はマイクスタンドからマイクを外し、その先端部分に手を置きながら歌う。

「眠れぬ夜は 電話しておくれ…」

最後の町支さんのコーラスがきれいに響いた。

拍手の鳴る場内の中、小田原さんのカウントが響き、再びリズミカルなナンバーへ。

06.モダンガール

アレンジはオリジナルや「ROAD OUT MOVIE」に収録されている、バラードアレンジではないもの。

直近のライブで披露されたのは2016年アリーナツアーだろうか。

ただオリジナルなどよりもホーンがはねている感じではなかったような気がする。

省吾はマイクを手に、今日初めてステージサイドへ駆け寄る。

体をゆらしながら、ステージサイドにいる観客に手を振る。

端にいる観客にまで意識を配ってくれるのは本当に嬉しい。

(個人的にはここで省吾と目が合った気がする…けど、そんなのみんな思っていること…)

コーラス隊が楽しそうだった!

ただ「愛という名のもとに」というバラードの次なこともあってか、立つ観客と座る観客4:6くらいだった…
立って踊りたかった…(変に空気を読んで座ったまま民)

「『愛という名のもとに』と『モダンガール』2曲続けて聞いて頂きました。」

「1982年、当時の俺は地方でツアーをしていて、1000人入る会館が半分埋まるかどうかという感じ。そんな人間が武道館でコンサートをするというのは、今で言えば地下バンドが東京ドームでコンサートをするイメージだったんだよ。」

「んで初めの頃はジャケットを着て身なり整えて、ビシッと決めてたんだけど…それがずっと続くもんだから、次第にきつくなってきたんだよね」

「それで動きやすいデニムとスポーツシューズになり、サングラス止めを兼ねてバンダナをして…気がつけばパブリックイメージができあがったんですよ(笑)」
「…いつのまにかパロディーにされたり(笑)」

場内爆笑。

「それでツアーに出るときには、毎回ギターケースを抱えて、スマホなんてないからカセットレコーダー(正確には別の物だったけれど思い出せない…)、スポーツバックに着替えを詰めて満員電車に乗り込むわけなんですよ。」

そう言って省吾がふと後ろを振り返ると、そこにはギターケースとカセット、スポーツバックが置いてある。

「なんかここにあるので(笑)ちょっと当時を再現してみましょう…(笑)」

そういって右肩にギターケース、左肩にスポーツバック、左手にカセットを持ち、その姿がステージの大スクリーンに映し出される。

場内に笑いが漏れる。

「…こんな感じですね(笑)これで朝満員の小田急線に乗るんですよ。そしたら横にいるお姉さんが、『もしかして浜田さんじゃない?』って…言われるわけもなく…(笑)。『邪魔くさい人ねえ、こんな朝から大荷物で』って(笑)」

場内失笑。

「…なんか変な空気になったので曲に戻ります(笑)」

07.君の微笑

「Sand Castle」に収録されているアレンジを再びアレンジし直した感じ。

照明がきれいに重なり、カーテンのようになる。

…なんかバラードになると急に語彙力がなくなってしまいますね(笑)

ここら辺で今回のステージについてまとめておきます。

正面に大きなスクリーン、そして左右のステージサイドにも中くらいのスクリーンがあります。

流れる映像はリアルタイムのステージ上の省吾やメンバーでどちらも同じなのですが、中央のスクリーンの映像は加工されたものが時々映っていましたね。モノクロになったり、ノイズが出たりしていました。

ただ自分の席からはほとんど照明機材で隠れて見えていないので、詳細はよく分かりません。

ただ例年のように「CG映像」や「自然の風景」みたいな用意されている映像は一つもありませんでした。

これは準備期間の短さからすると当然ですよね。

記憶を頼りに描きました。ちなみにSNSにはステージの画像をあげているマナー違反な方がいますが、必死に覚えたのが悔しいのでそれらは見ていません…(笑)

そして個人的にちょっと驚きだったのが、その映像の画角ですよ。

(↓以下、オタクの戯れ言なので飛ばして頂いて結構です)

今回は会場前のアナウンスでもあったのですが、映像収録用のカメラが入っていて、ステージ付近にはトロッコ式の可動型カメラだったり、クレーンでつるされたカメラや、同じような物がアリーナ席中央と後ろにもありました。
曲の中には、撮影スタッフがハンディーカメラ片手に客席を回っていましたね。
さて、今までのツアーを振り返ってみても、省吾やメンバーの姿がスクリーンにリアルタイムで映し出されていたのは特段珍しいことではありません。しかしその画角のほとんどって、正面からの省吾のアップだったり、メンバーのソロではそのメンバーのアップが映るくらいでしたよね?
今回で驚きなのは、そのクレーンやトロッコによって撮影された映像もスクリーンに出ていたんですよ!!!
それも曲を知り尽くしたスタッフによる見事なスイッチング(映像に切り替え)で、リアルタイムに編集しているかのようでした。
もっと分かりやすく言うと『今見ているステージが、将来映像化されたときにはこんなふうに収録されて見えるんだ』と分かるんです!!!
ホントに、あそこに映っていたスイッチング映像をそのままDVDにして売ればいいのにってレベルですよ。
それくらい今回のライブの映像班は神でした!!!

しっとりと曲が終わり、続けてカウントの後にあのメロディーが。

08.悲しみは雪のように

2011年のアレンジを少しだけアコースティックよりにしたようなもの。シングルでミリオンヒットを記録したアレンジでもある。

この日のライブの前日、1日目の東京では記録的な豪雪となった。幸い一日で雪は溶け、道中の路上の凍結も少なかった。

昨日はまた違った良さがあったんだろうなと思いながら、歌の世界に沈む。

「…昨日は最高だったんだから、この曲(笑)」

曲が終わり開口一番に彼は言う。場内に笑いが漏れる。

「武道館やる少し前、1980年代前半のことです。今もそうですが中国・四国地方は『夢番地』というイベンターさんにお世話になっていて、その当時の社長、といっても当時の俺と同世代の25歳前後なんですが、その彼がコンサート会場半分も埋まっていない時代に言うわけですよ。『今浜田省吾のライブを見れているお客さんは、ラッキーだよね』って。当時はその意味がよく分かっていなくて。俺自身は地方とかよりも東京とかの大都市でやりたかった思いもあったし」

「それでいざ武道館をやるとなったときに、夢番地の彼にはもうステージの全貌が見えているようで、『武道館の天井からステージの下まで崖を作りましょう』って言うのよ(笑)。『そして崖からドライアイスの滝を流して、それをバックに浜田さんが【君が人生の時…】を歌うんですよ!!』って(笑)」

「…想像できますか?崖を背にした俺が、『タ~イム オォブ ヨゥア ラァイフ~(低い声)』って歌っているのが(笑)」

場内、失笑。このときの『君が人生の時…』の歌い方が変で面白かった(笑)。

「…崖の前で歌っている姿が想像できる方は拍手してみて(笑)」

場内の2割ほどが手を叩く…

「…で、俺は思ったわけ」

「『滝に打たれて修行する崖っぷちシンガー、浜田省吾』(笑)」

「ということで次の曲は後ろに崖を想像して聞いてください…」

「次が前半最後の曲です。1989年、MIND SCREEN の中からSand Castleバージョンで聞いて頂きます。」

09.いつわりの日々

2018年ファンクラブツアーにて久々に復活した曲。

その映像化された際のアレンジとほぼほぼ変わらなかったと思う。

照明は赤やピンク、それらが混ざり合って細い糸のように重なる。

この曲は個人的に2018年に再発見した曲の一つで、今回聞けて凄く嬉しかった。

「ありがとう。…後ろに崖は見えましたか?(笑)」

「ここで15分間の換気休憩を取ります」

そう言ってステージ奥へ捌けてゆく。

時計を見ると17時30分と、ここまでで1時間。

『Intermission: Sand Castle (Off vocal version)』

君に会うまでは~散歩道~朝のシルエット~丘の上の愛

場内のモニターには1982年の武道館公演の写真や、70年代の写真などがスライドショーで流れる。

BGMには「Sand Casttle」の省吾のボーカル抜きのバージョンが。

なんと贅沢なカラオケ音源だろうか(笑)
普通にほしい…

場内の通用口の扉が開放され、廊下側にある外扉から冷気が吹き込む。

しかし私のいる2階席スタンドでは空気が入れ替わる感覚はなかった!!
むしろ後半少し酸欠ぎみで体調が悪くなったほどだ(笑)

17時45分を少し過ぎた辺りで、場内が再び暗闇に包まれ拍手が巻き起こる。

バンドメンバーと省吾が再びステージに上がり、カウントと共にまばゆい光が!!

10.路地裏の少年

場内が一気にはじけ飛ぶ。

知らぬ者なんていない、彼のデビュー曲。

アレンジとしては2016年と2011年の中間くらい(なんとも曖昧な表現…)

アコースティック感も残しながらのほどよいロック調であった。

省吾は前半のTシャツの上から、赤いチェックの長袖(2019年ファンクラブツアーにて着ていたものと同じ?)を羽織っていた。

絵に描き忘れましたけど、ハーモニカホルダーを首からさげていました。


…だけど今思い返すと、後半のどこかでいつの間にか脱いでいたような…?
(追記:コメントで教えて頂いたんですが、ラストショーのあとにはもうすでに脱いでいたそうです。早い!!)

11.ラストショー

続けて小田原さんのカウントと共に河内さんのピアノが響く。

「Edge Of The Knife」にてリアレンジされ、その後長年にわたりずっと演奏されているバージョン。

…もうオリジナルバージョンで演奏することはないのではないか…?

アレンジとしては2016年に近いけれど、最初のカウントが少しだけ細かかったような…

省吾はマイクを片手にステージ左右を動き回る。時々カメラに向かってサービスしてくれたりしてた。

めっちゃカメラ見てくれる!!

客席は腕ワイパーで「さ~よなら~」

「ありがとう!」

「友人の結婚式にカローラで行って、その帰り道に作った曲でした」

この辺りで何か別のこと言っていた気がしますが、忘れてしまいました。

「歌っていうものは、タイムカプセルみたいなものなんですよ」
「だから歌っていると、当時の色々なことを思い出すのです…」

12.片想い

13.陽のあたる場所

「片想い」はライブでの演奏は2016年以来、ちょっと久しぶり。

アレンジはオリジナルと同じで、本当に今のバンドでもう一度演奏してみたという感じだった。

続いて演奏された「陽のあたる場所」は、とても大好きな曲で、ライブアルバム「ON THE ROAD」に収録されているあの台詞が大好きなのは私だけではないはず。あの台詞って本当に深いですよね。

ただ今回はその台詞もなく、オリジナルとほぼ変わらない。2019年にも演奏され、大感激した思い出がある。

最後の「愛だけ~」のコーラスも綺麗だった…

「さて先程も言いましたが当時の俺は地方の会館半分埋まるかどうかというレベルで、それで武道館やるって決まったらなんと数時間で全席ソールドアウトという…」

観客、ここで大きな拍手を送る。

「…それで、実はこのステージは昨日もあったんですけれども、私今日で武道館5回目なんですよ。」

「自分にとってはやはり武道館ってとても神聖なもののような気がしていて、なんか気軽に武道館やろうぜなんて言えないんですよね。」

「自分にとっての武道館って、小さい頃のThe Beatlesの初来日が大きくて。当時俺はまだ小さかったんですけれど、その時住んでいた家のテレビは横揺れというかがひどくて、ずっとつけてると映らなくなってラジオみたいになっちゃうんですよ。」

「だから家出るときに母親に、今日はテレビつけないでねと散々言ってから学校に行きました。それで家に帰って恐る恐るテレビのスイッチを入れるとちゃんと映るんですよ」

「だから初恋はロックンロールって歌いましたけども、少年が初めて恋した女の子を今でも忘れられていない、そんな感じなんです。」

そう言い終わると、ステージの明かりが省吾を照らすスポットライトのみになる。

しばしの静寂。

エレキギターを手に持った省吾は、そこでまさかの歌を口ずさむ。

海辺の田舎町 10歳の頃 ラジオから流れてきた“The Beatles” 
一瞬で恋に落ちた

教室でも家にいても 大声で歌ってた

“I wanna hold your hand” “Please please me” “Can't buy me love”

ドーナツ盤に刻まれた3分間の物語 少年と世界を繋いでた

俺の初恋は Rock'n'Roll

そして今でも夢中で追いかけてる


まさかまさかのサプライズ!!

2005年発売のこの曲は、40年前にはもちろん存在せず、武道館でも演奏されていない!!

個人的には親のエゴで、死ぬほど聞いていたのが「MY FIRST LOVE」だったので、本当に嬉しかった。

ちなみに「初恋」のライブ披露は2011年以来だから約10年ぶり。

スクリーンにはステージにできた省吾の影が映し出される。
この構図の映像をを撮った人とは、おいしいお酒が飲めそう。

そして場内が驚きと興奮の拍手に包まれる中、間髪入れずにドラムのカウント。

そしてギターとベース、サックスがうなりを上げる。

それまで座っていた観客も、一気に立ち上がり会場のボルテージは一気に頂点へ!!

14.初恋~終りなき疾走

ステージ前部で煙幕があがり、青白い照明の中を、レーザー光線が縦横無尽する。

アレンジは2016年/2019年と変わらないと思う。

稲妻のようなフラッシュが瞬く。

マイクスタンドをつかみ、前傾姿勢で叫ぶ省吾。

あと個人的にこの「初恋」から「終わりなき疾走」への流れは繋がっていると思うので、このレポでの表記は上記のようにしたいと思います。

古村さんのサックスがわめく中、小田原さんのドラムのソロが武道館をゆらす。

場内は興奮のるつぼとなるが、これでは終わらない!!

15.独立記念日

歯切れの良いホーンのフレーズが響き、省吾が大きく手拍子を煽り、それに応える観客。

照明はオレンジ、緑、ピンク、黄色、とカラフルに点滅を繰り返す。

16.反抗期

「カモン、ベース!!ミック!!!」

省吾の呼びかけに応えるように、ベースが空間をうねる。

そしてホーン隊によるJazzyな掛け合いが繰り広げられる。

2011年のツアーではホーン隊4人(現メンバー+サックスのUkoさん)によるセッションがあり、省吾がその間に独特のダンスを見せていたのだが、今回もそれは健在。ただしアレンジは2019年のものと同じ。

…なぜそんなことが分かるかって?
実は私が2019年に参加したとき、これと全く同じセッションがあったんですが、その時のホーンのフレーズが印象的でずっと覚えていたんですよ。実際その後に書いたライブレポではそのフレーズをメモとして書いていますし。
そして今回もそのフレーズが出てきて、しかも完全に覚えました!!
去年のを修正して載せておきます!!

『タラッタ~ ターラララパラッパ~ パーパパパパァァァ~ ターラララパラッパ~』(2011年映像に残っているセッション)
『ターーーテュ ターーーー テュラララッ』(2019年に私が書いたメモ)
『ターーーテュ ターーー テュババッパッ ボバババパパパパパパパァァァ~ン』(今回参加して覚えたフレーズ)

……いいんです。別に伝わらなくても…

反抗期が終わると、福田さんのシンセが不気味な音を奏で始める。

まるで空襲か、厄災か、それともゆがまれた何かか。

そしてそれが武道館中を振動させ、カウントと共にけたたましいフラッシュが!!

17.東京

2019年にて復活した。

東京の影、そこにフォーカスして1980年に書かれた曲なのだが…

このコロナ渦を経た2022年には、本当に、また違った響きかたであった。

フラッシュと照明は今日一番激しく真っ赤に瞬く。

レーザー光線がステージ中を刺すように光り、ムービングライトは激しく動き点滅する。

時間にして恐らく3分強。本当に凄かった。

「ありがとう!!」

「40年前のセットリストをそのままやるというコンサートでしたが、お楽しみ頂けているでしょうか?」

場内、割れんばかりの拍手。

「今日来て頂いた人の中に、あの日来たぞって方いる?」

あちこちで手を挙げる方々。

「ありがとう。じゃあ逆に40年前にはまだ生まれてなかった人もいるのかな?」

自分含めた数人が手を叩く。

「ありがとう。次が最後の曲です。」

「1982年、8月6日に作りました…」

町支さんのギターがうなり、真っ赤に照らされる。

カウントともに、爆発音があがり、炎が噴き出す!!

18.愛の世代の前に

今回の武道館公演、用意された映像はないと先程書いたが、その代わり特殊効果や照明に力が入っていた。

そして本編ラストのこの曲ではその特殊効果が惜しみなく使われている。

2005年アリーナツアーラストの埼玉会場では、特殊効果として何メートルにもわたる火柱が上がった。

今回もそれを彷彿とさせる炎。ステージ前部から左右10カ所くらいから炎の塊が空中に吹き出ては消えを繰り返す。

激しく照明と炎が瞬く。

「Wooow wow!! Wooow woowoow!!」

観客と心の中でコールアンドレスポンスをする省吾。

そして演奏が頂点に向かうかのように集結していき、一番大きな炎があがり、演奏が終わった瞬間。

ステージ上部と下部から火花のような白い花火が降り注ぐ!!!

観客もさすがに驚いたようで、マスク越しに驚きが漏れる。

上から降り注ぐ火花…まるで途中のMCにて語られていた滝のようにも見えた…。

花火に気をとられている隙に、省吾とバンドメンバーはいなくなってしまった…

場内はすでにアンコールを求めている。

それもそのはず。なぜなら40年前もこれで終わりではないのだから。

再びステージに明かりがつき、バンドメンバーがステージに立つ。

少し遅れて省吾も登場し、それぞれの持ち場につく。

19.あばずれセブンティーン

カウントと共に始まったのはこの曲。

これはホントに不思議な曲なんだけど、省吾自身はホントに気に入っているみたいで、何気によく歌われているような…

楽しくゆられているうちに演奏が終わり、ドラムがビートを刻む中、省吾がハーモニカを吹く。

その姿は2001年のさよならゲームを思いださせるものであるが…。

「1・2 1・2・3・4!!」

20.HIGH SCHOOL ROCK & ROLL

「750cc高速とばして~」

今回の武道館公演、基本的には近年のライブでリアレンジされたもの中心であり、本当に久々という曲は少なかったのだが、これは正真正銘のレア曲。テンポはオリジナルと同じか少し遅めくらいだったかな?

リズミカルに点滅する照明。若い頃と変わらず歌い上げる省吾。

「お母ぁ」ではなく「Oh ママ」バージョンでしたね。

最後にコーラス隊のリフレインみたいなのがあるんですけど、4人が真面目に「Oh ママ」ってハモっているのは結構変な光景。

ハードにポップに2曲が終わり、省吾がミュージシャン紹介を始める。

「ドラム 小田原豊!

ベース美久月千晴!

オルガン&シンセサイザー福田裕彦!

ピアノ河内肇!

ギター長田進!

トランペット佐々木史郎!

トロンボーン清岡太郎!

サクスフォン古村敏比古!!

ボーカル竹内宏美!

ボーカル中嶋ユキノ!

ギター&ボーカル&ステージサウンドプロデューサー 町支寛二!」

少ししてゆったりとした小田原さんのカウントがとられ、場内が青色に染まってゆく。

21.Midnight Blue Train

青く染まった武道館の中を、緑色の照明が雲のように客席に向かって延びる。

ライブアルバム「ON THE ROAD」に収録されているのは武道館のものはほとんど使われていない。

本人達がアガったためにテンポが速くなる過ぎたためというのが公式の理由だった。

しかしアンコールの「Midnight Blue Train」は、1982年1月12日の武道館のものだ。

途中でギターのストラップが外れ落ちたというのは有名な話であるが、40年たった今ではそんなことはない。

そこに立っていたのは成熟したシンガーソングライターであった。

自身の進路や人間関係。もがき悩み旅の途中で作られた「ミッドナイト・ブルートレイン」は、

いつしか別の人間の悩みや葛藤、苦悩から、年齢を問わず連れ出してくれる「Midnight Blue Train」となった。

Midnight Blue Train 連れ去って

どこへでも行く

思いのまま

走り続けることだけが生きることだと

迷わずに答えて…

本来は観客と一緒に大合唱する部分も、省吾ひとりの独唱。

今はそうかもしれない。でも、またいつか。

ステージの照明が再びつき、省吾とバンドメンバーが三度登場して一列に並ぶ。

そして長いお辞儀を行う。

観客は今日最高級の演奏をしてくれたメンバーに温かい賞賛の拍手をする。

そして頭を上げた彼ら/彼女らはそれぞれの持ち場につく。

「ありがとう。次に会うときには、大声で叫べるようになっていると良いですね」

「再開の時を楽しみにしています。今夜はどうもありがとう!!」

22.ラストダンス

ステージ上部からミラーボールが降りてきて、武道館全体が光のシャワーに包まれる。

観客は手拍子や体をゆらしながら、別れを惜しむかのように曲に浸る。

あぁ、終わってしまう。終わらないでほしい…

「もう一度 踊っておくれ このままで…」

それでも、どんなものにも終わりは来る。

最後の合唱ももちろん省吾の独唱。

でも会場にいた全員が心の中で大合唱していたはずだ。

残された時間は多くはないかもしれない。

だからこそ、一回一回を無駄にしないようにしよう。

優しいメロディーが終わり、ギターをかき鳴らす省吾。

場内の割れんばかりの拍手を浴びながら、深々とお辞儀をして

そして去って行った。






場内の明かりがつき、「悲しい夜」のオフボーカルバージョンが流れ始める。明るくなった会場に残されたのは、分散規制退場のアナウンスと、先程までの冷めぬ熱だった。



Shogo Hamada 40th Anniversary 
ON THE ROAD 2022 Live at 武道館

2022年1月7日
15時30分開場
16時30分開演

01.壁にむかって
02.明日なき世代
03.青春のヴィジョン
04.土曜の夜と日曜の朝
05.愛という名のもとに
06.モダンガール
07.君の微笑み
08.悲しみは雪のように
09.いつわりの日々
10.路地裏の少年
11.ラストショー
12.片想い
13.陽のあたる場所
14.初恋~終りなき疾走
15.独立記念日
16.反抗期
17.東京
18.愛の世代の前に
Encore01
19.あばずれセブンティーン
20.HIGH SCHOOL ROCK & ROLL
21.Midnight Blue Train
Encore02
22.ラストダンス



最後まで目を通して頂き、ありがとうございました。

2022年1月9日




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