【映画の中の詩】『フィラデルフィア物語』(1940)
『フィラデルフィア物語』(1940)ジョージ・キューカー監督。
キャサリン・ヘプバーン。
ケーリー・グラント。
ジェームズ・スチュワート。
この映画は『上流社会』(1956)として、後にミュージカル化されています。
グレース・ケリー、ビング・クロスビー、フランク・シナトラ主演。
登場人物は始終酒を飲んでいるし、プールが重要な舞台装置の役割をしているしで、観ていると溺れそうな気がしてくる映画。
酒に酔って水面の月をつかまえようとして乗っていた船から落ち、溺死した詩人というのは、月と酒を愛した李白。
芭蕉の『奥の細道』の冒頭の「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり」の一節は李白の「春夜宴諸従弟桃李園序」の「夫天地ハ万物ノ逆旅光陰ハ百代ノ過客」に由来しています。李白を敬愛した芭蕉の、
〈名月や池をめぐつて夜もすがら〉
の句は月をつかまえようとして溺れた李白に思いを馳せた本歌取り、という考察も目にしました。
追記:2024/11/1
11月1日は詩人エズラ・パウンドの忌日でした。 二十世紀詩の幕開けを告げたイマジズムの主導者。 エリオットの「荒地」の産婆役を努め、また俳句や漢詩等、東洋的精神を自らの詩に取り入れるなどしました。 映画「フィラデルフィア物語」に彼の詩を重ねてみました。
参考リンク:
西浦大輔「芭蕉発句試論」 https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/record/26664/files/CLC_11_005.pdf
『李白における「捉月」説話』松浦友久 https://cir.nii.ac.jp/crid/1050001202469870208
エズラ・パウンド「墓碑銘」岩崎良三訳『世界詩人全集 第21』
https://dl.ndl.go.jp/pid/1349590/1/22
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