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No.5 1987年11月「子どもが創ったアイデア漢字傑作集」の発表に教室は爆笑

 1987年11月ごろから、各社の新聞に「アイデア漢字」が載り始めました。日本新聞協会の募集に応えて寄せられた「アイデア漢字」作品を、新聞各社が紹介したものでした。作成したのは主に大人で、デザイナーなどプロの方も参加されていました。
 面白かったです。このアイデア漢字を使って6年生の国語の時間に授業をしてみました。

 まず、新聞に載っていた「アイデア漢字」を印刷したものを渡し、次の発問をしました。「それぞれの『アイデア漢字』はどこが工夫されているでしょうか。」「比」については、「太さをちがえている」「左と右で長さをちがえている」「全体的に長さや太さの形を変えて、比べるという意味を表している」

 「笑」については、「竹かんむりの一部を変えて、目が笑っているようになっている」「竹かんむりの下も、手や足を延ばしたかっこうになっていて本当に喜んでいるみたいだ」「これは漢字の一部を変えて、笑っているような感じを出している」「願」については、「おみくじのようなものを付けて願いごとの意味を表している」「漢字にあるものを付けてその意味を表している」と意見が出てきました。こうしているうちに、「私たちでもつくってみたい」という声が子どもたちからあがり始めました。そこで、次のように指示し、「オリジナルアイデア漢字」創りにチャレンジしました。「漢字の長さや太さを変えたり、あるものを付けたりして、自分たちで『アイデア漢字』をつくってみよう。国語辞典から漢字を探してもいいですよ。ノートに書いてください。」

 その後、B5版の紙を子どもたちに渡し、黒のマジックまたはサインペンで出来上がった作品を描いてもらった。思わず笑いが出るような次のような「オリジナルアイデア漢字」が多数出てきました。

宅配便の「割れ物注意」に
求人広告のマークに
男女トイレの入口に
歯医者さんの看板
エレベーターの開閉ボタンに
エレベーターの開閉ボタンに
郵便局の看板

 子どもたちの工夫した「アイデア漢字」が現実の社会の中で応用できないか、みんなで考えることにしました。まず、子どもたちが創った「アイデア漢字」のうち面白かったものを縮小コピーにかけB4版の紙一枚に貼って印刷したプリントを全員に配布し、次のように言いました。「みんなが創った『アイデア漢字』が社会の中で、どのように応用できるかアイデアを考えて下さい。このプリントの漢字以外に『アイデア漢字』を創ったり付け足したりしてもいいです。」子どもたちはこんなアイデアを考えました。

 「アイデア漢字」は子どもたちのアイデアと笑顔を引き出してくれたのです。

​参考
日本新聞協会 
・拙論「広告をキャッチ アイデア漢字をつくってみよう」『新聞で遊ぼう 考えよう NIE実践事例集・小学校編』日本新聞協会、1993年。所収。

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