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No.137 2008年6月 監修 朝日新聞環境教材『地球はいま』DVD・教育テキスト・大判写真の発行と授業

 2008年に朝日新聞創刊130周年記念事業として、小学生向け教材をテーマに子どもたちに地球環境問題を伝えるための環境教材『地球はいま』が発行されました。その教材の監修を依頼され、2年間ぐらいいろいろな意見を伝え検討する会議が開催されました。DVD・教育テキスト・大判写真をセットにした教材を提供して頂くことができました。私は、各地の環境破壊の映像だけでなく、地球の美しさと動物の生きている姿を伝える映像が欲しいと要望を出しました。そして、「世界のどこで、どんな問題が起きているのかを一覧できる大判の地図があると授業で使いやすい」と話し、これを参考にイラスト入りの地図に各地の出来事を写真で示したポスターも作成されました。
 DVD・教育テキスト、大判写真の3点で教材が構成されることになりました。
 
DVD

 収録されている映像は次の世界各地のものです。
①グリーンランド(デンマーク領)2006年5~6月
②スバールバル諸島(ノルウェー領)2006年6~7月
③アラスカ(アメリカ)2006年7~9月
④北極海 2007年7月
⑤シベリア(ロシア)2003年8~9月、2006年1~2月
⑥沖縄(日本)2007年5月
⑦南太平洋諸島(ツバルなど)2007年3月
⑧オーストラリア 2007年4月
⑨インドネシア 2007年9~10月
⑩ブラジル 2007年8~10月
⑪ヒマラヤ(ネパール)2007年10~12月
⑫バングラデシュ 2007年10~12月
⑬アフリカ 2008年2月
 
教育テキスト

 この教育テキストは以下のように構成されています。
1 いま、地球で何が起きているのだろう?
2 地球の氷がとけている
3 なぜ、地球の気温が高くなってきたのだろう
4 これから地球はどうなっていくのだろう
5 美しい地球を守るためにわたしたちにできること

大判写真

 大判写真は教育テキストに対応した5枚の写真で構成されています。
 
1 いま、地球で何が起きているのだろう?(ホッキョクグマの写真)
2 地球の氷がとけている(スバールバル諸島で氷が解けている写真)
3 なぜ、地球の気温が高くなってきたのだろう(ブラジルの熱帯雨林が伐採されている写真)
4 これから地球はどうなっていくのだろう(バングデシュの岸が削られている写真)
5 美しい地球を守るためにわたしたちにできること(フィジーでマングローブ林を植林している写真)
 私はこの環境教材を活用して6年生に授業をしました。その授業を取材して記事に掲載されたものがありますので、ご紹介致します。

「朝日新聞」2008年6月11日朝刊より

「東京港区の聖心女子学院初等科。岸尾祐二教諭は、6年生の総合学習で、1年間、地球温暖化を取り上げることにした。4月から、インターネットや新聞などを使って学習を進めている。岸尾さんは、まず教育テキストを使った授業に入った。地球温暖化の影響で氷が解け、生息域が狭められたホッキョクグマの様子が書かれたテキストを声を合わせて読み、大型写真でホッキョクグマの姿を確認した。ホッキョクグマが過ごすのに重要な北極海の海氷を示すグラフを見て、氷が減っている様子を読み取った。また、南太平洋の島国ツバルの生活もテキストをもとに学習した。6年生になると地球温暖化に関心が高い子もいて、知識や理解に差が出てくる。岸尾さんは『同じ土俵で学び合うには、まず基礎知識を身につける必要がある。テキストは羅針盤になる』と話す。テキストで学んだ後、テキストに登場した北極圏やツバルの映像をDVDで鑑賞した。折りたたみ式のポケット地図『地図はともだち!』を使い、映像に登場した場所を地図で確認した。岸尾さんは『地球温暖化の足音がどこから聞こえてくるのかを、常に地図上で確認しておくことも環境教育には大切だ』という。DVDを見た子どもたちは、美しい自然と、干ばつや森林伐採などで木々が失われた姿との違いに驚いていた。ある子は『人間が引き起こした温暖化で可愛い動物が困っている。私たちに罪がある』。また、別の子は『私たちの便利な生活が、温暖化を誘うことが分かった。温暖化を進めるのも人間、止めるのも人間だと思う』と話した。」

「朝日新聞」2008年6月11日朝刊より

 2023年の夏の気温の高さは異常でした。もはや「地球温暖化」ではなく「地球沸騰化」(国連グテーレス事務局長の言葉)でした。2008年から16年後の2024年はどのような「地球沸騰化」の現象が見られるのでしょうか。大人の責任を感じます。

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