モビリティトレーニングの歴史〜なぜ生まれたのか〜
日常生活やスポーツで快適に動ける「柔軟な体づくり」をサポートするモビリティトレーニングが、今多くのフィットネスシーンで注目を集めています。しかし、そもそもモビリティトレーニングはいつ、どのようにして誕生したのでしょうか?今回は、その成り立ちと発展の過程についてご紹介します。
1. モビリティトレーニングとは?
モビリティトレーニングは、関節の可動域を高め、体の動きを柔軟にし、怪我を防ぐことを目的としたトレーニングです。これにより、特定の動作がよりスムーズに行えるようになり、運動や日常生活の中で体への負担を軽減することができます。
従来のストレッチとは異なり、モビリティトレーニングは関節周りの筋肉や筋膜(筋肉を包む結合組織)の可動性も意識して行うのが特徴です。柔軟性に加え、体の安定性やバランスも強化されるため、フィジカルセラピストやアスリートを中心に取り入れられてきました。
2. モビリティトレーニングが誕生した背景
モビリティトレーニングは、ある特定の個人が考案したものではなく、リハビリテーションやスポーツ医学の分野から生まれ、徐々に発展してきました。
リハビリテーション分野の影響:運動機能の回復や改善を目的とするリハビリの現場では、関節の可動域を広げることが重要視されてきました。事故や病気で体が硬直した患者のために、理学療法士やフィジカルセラピストたちが研究を重ね、関節を柔軟にし、筋肉のバランスを整える手法として「モビリティ」の概念が発展していきました。
スポーツパフォーマンス向上のニーズ:アスリートにとって、関節の柔軟性はパフォーマンスを左右する重要な要素です。特に、バスケットボールやテニス、サッカーといったダイナミックな動きが求められる競技では、関節の可動域が怪我のリスクに直結します。こうしたニーズに応える形で、関節や筋膜の柔軟性を高めるモビリティトレーニングが積極的に取り入れられるようになりました。
3. 近代におけるモビリティトレーニングの普及
近年、アメリカのフィジカルトレーナーであるケリー・スターレット(Kelly Starrett)の功績により、モビリティトレーニングはさらに注目を集めるようになりました。
ケリー・スターレットの貢献:スターレットは、著書『Becoming a Supple Leopard』において、関節や筋膜の健康を保ちながら体を最大限に活かすためのモビリティトレーニングを体系的に紹介しました。彼のトレーニングはスポーツやフィットネス界で爆発的に支持され、モビリティの重要性が改めて認識されるようになったのです。
セルフメンテナンスのトレンド:フィットネスの自己管理(セルフメンテナンス)として、日常的に体をケアすることが推奨されるようになり、筋膜リリースやフォームローラーを使ったトレーニングが一般にも普及しました。これにより、モビリティトレーニングはアスリートだけでなく、幅広い層が手軽に行えるものとなりました。
4. モビリティトレーニングが現代に求められる理由
デスクワークやスマホの使用が増え、姿勢が悪くなりやすい現代人にとって、モビリティトレーニングは怪我の予防や健康管理の面でも大きな意味を持ちます。以下が、その理由です。
関節の可動域が狭くなりがちな生活:現代の生活様式では、長時間同じ姿勢を保つことが多く、関節の可動域が狭くなりやすい傾向にあります。これにより、肩こりや腰痛、姿勢の歪みが生じやすくなりますが、モビリティトレーニングを取り入れることでこれらを防ぐことができます。
怪我の予防とリハビリテーション:特にスポーツや運動時の怪我予防に効果的で、リハビリテーションとしても取り入れられています。柔軟性と安定性を同時に高めるモビリティトレーニングは、体に無理なく行えるため、幅広い年齢層に適しています。
5. まとめ:モビリティトレーニングの未来
モビリティトレーニングは、単なるトレーニング方法の一つではなく、日々の生活の質や健康維持に大きな役割を果たしています。今後もフィットネスや健康分野での需要は高まると考えられ、さらなる進化や新しい方法の開発が期待されます。
これまでの経緯からもわかるように、モビリティトレーニングは、リハビリからアスリートまで幅広く役立つトレーニング方法です。これを日常に取り入れ、より健康的で動きやすい体を手に入れましょう!
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