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大学職員の仕事はAIが代わってくれるのか

AIに取って代わられる職業なのか
 

「お絵描きしている場合じゃないぞAI」なんて話題が耳に新しい今日この頃、大学で働く事務職員の仕事がAIに代わられる日はくるのだろうか。
 今回は私が経験した仕事を説明しつつ、自動化するにはどんな障壁があるのかを紹介していきます。

不明入金の確認編


 本学はたくさん銀行口座を持っている。大学がもらうお金って授業料・入学料以外にも多様にあって、他大学で講演した教員の謝金や病院の診察料、企業から送られる共同研究費、政府・他大学から送られる研究費などなど想像がつかないような内容の入金もある。

 それをさらに文学部学生の授業料口座、経済学部学生の授業料口座など部局ごとに口座を作るから授業料に関する口座だけでも20~30ぐらいある。

 これだけ口座があると口座番号を間違えて振り込んだり、何の目的で振り込んだりしているか分からない不明入金の内容確認が問題になってくる。

 この仕事やってびっくりしたのは、50万円などけっして安くない金額ですら平気で口座番号を間違えて振り込む人がいるのだ。それに学生や教員はだいたいこちらからお願いしている振込方法を守らずに振り込んでくる。「学籍番号・職員番号を入力してください」なんてほとんどの人が守ってくれない。そのせいで確認にめちゃくちゃ時間がかかる。

さぁ、不明入金の確認は自動化できるのか次項で検討していきます。

不明入金の自動化検討
 

 イメージがつかみやすいようにここでは、文学部の授業料口座に金額が授業料と一致せず、振込人名にも覚えがない入金があったと仮定してみます。
 まず、振込人名義と口座の種類(授業料口座など)から学生か教職員あたりをつけます。この場合、授業料口座なので、学生の可能性が高いと判断して、全学生の情報を検索できるシステムで名前検索をしてみる。
 検索でヒットしたら、けっこう楽なケース!その学生の情報を見てみます。どうやら学生は文学部ではなく、経済学部にいるようです。
 次に振込金額を確認します。今回振り込まれたのは132,000円です。大学の授業料は123,000円なので、これは学生が振込時に打ち間違えて金額を指定してしまったと仮定します。
 ここまで仮定したら、経済学部の学務担当に「そちらに所属する〇〇さんと思われる方から文学部の口座に132,000円の振込みがありました。おそらく授業料123,000円を間違えて、振り込んでしまったかと思われますので、ご本人に確認をお願いします」と連絡して、回答を待ちます。ついでに文学部の会計担当(学務担当じゃないのがミソ)に「〇月〇日付けで●●という人から132,000円振り込まれていますが、おそらく経済学部の学生の誤りですので、現在、経済学部に確認中です。確認が取れ次第、改めて連絡します」と一報します。

しなくても別にいいんですけど、会計担当はけっこう細かく入金の確認しているので、不明入金を見つけて、調査中なら分かっている内容までは共有しておく方が後々スムーズです。

 あとは経済学部経由でその学生が誤って入金したことが分かれば、次の処理に移れます。今回は確認までの流れなので、ここで終了です。
 

 これで「楽なケース」です。学生も日本人か外国人かで大変さが変わります(主にシステム上の問題のせいなので、これはまた別の機会にお話しします。)
 

 さて、これを自動化ってできるんでしょうか。不明入金ってようは振込主が間違って入金したものなので、不明入金の数だけ対応方法が異なってきます。そうなると不明入金の確認そのものを自動化することは不可能に感じます。もっと手前の段階で「不明入金を防ぐための仕組み」を考え、正しい入金の処理だけにできるなら、綺麗に自動化できると思いますが、ここで最大の障壁となるのが、金融機関が間に挟まっているという事実です。こうなると学内だけで済む話ではなくなるので、金融機関との協議、場合によっては、そのようなサービスを提供してもらうための新たな費用が必要になるため、自動化のメリットが薄れてしまいます。
うーん、この仕事は自動化無理そうですね。

まとめ


 私がこれまで経験した業務で自動化できるものあるかな?と振り返ってみましたが、今回の不明入金の確認以外の業務も自動化とは程遠い内容でした。
 もしかしたら、まだ私が経験していない業務の中にはすっきりと自動化できるものもあるかもしれないので、自動化できる部分はして、できない部分に割り当てられる人員を増やすことで、大学全体の業務効率は上がりそうです。
 テーマであった「大学職員の仕事はAIが代わってくれるのか」への答えは、現段階では無理!!です。
 最近話題のお絵描きAIのように知らないところで研究が進み、気づいたときにはすごい事務AIが誕生するかもしれませんが、そんな未来に想いを馳せつつ、今日も明日も細かい業務を頑張ってやっていきます。

 そして、今回紹介した例って、振込人がちゃんと確認すればだれも困らないんですよね。自分や家族が稼いだであろう大切なお金なんだから、
入金額・振込先ぐらい100%合っているか、各々確認してくださいよ…。

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