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スピークバディの「音楽から英語を学ぼう」2000年代ROCK/POP編 【中級】Rehab (by Amy Winehouse)


皆さん、こんにちは!
オンライン英語コーチング「スピークバディ パーソナルコーチング」のコーチ、Motohiroです!
今回は「音楽から英語を学ぼう!」のプレイリスト第8弾2000年代ROCK/POPから英語を学ぼうのご紹介と、その中から Rehab を紹介していきますよ!


・プレイリスト「2000年代ROCK/POPから英語を学ぼう」について

まず、プレイリスト「2000年代ROCK/POPから英語を学ぼう」について簡単にご紹介すると、名前のとおり2000年代に発表された曲を集めたものになってはいますが、以前ご紹介した2010年代ROCK/POPから英語を学ぼうのように、ほぼ男女半々、ほぼ英米半々(今回はオーストラリアから Kylie Minogue(カイリー・ミノーグ)が入っていますが、人気的には結構イギリス寄りかも。。)という構成になっています。

・ロック音楽がリバイバルし、勢い凄まじかった2000年代の音楽シーン

2000年代の音楽シーンを語る上で外せないのはロック音楽のリバイバル、復活でしょう。1970年代に最盛期を迎えたロック音楽が80年代から90年代にかけて勢いを落としていた中で、イギリスのバンドを中心としてその勢いに火がつき一気に燃え上がったのが2000年代でした。正直毎度のことではあるのですが、この20曲のプレイリストにはまったく入りきることができない数の名曲がひしめいています。
プレイリストの顔触れからも、Madonna(マドンナ)や Kylie Minogue といった大物はさておき、ロックでもポップでも90年代までの中途半端なアーティストは2000年代の若手の勢いに飲まれてしまう感じの印象がありました。それほど21世紀という新しい時代の勢いを感じられる年代だったということかもしれないですね。

今回はそんな2000年代でおそらく最も異端で、かつ最も正統派な音楽を時代に提起した風雲児、Amy Winehouse(エイミー・ワインハウス)の「Rehab」という楽曲を紹介していきます!


⦅楽曲の背景⦆

まず、この楽曲を紹介するにあたって Amy Winehouse がどんな人だったのかということを知っていただきたいです。なぜなら、2003年に20歳という若さでデビューしたロンドン出身の彼女は、実体験しか歌にしないシンガー・ソングライターだったからです。

・意外性、異端、そして才能

彼女のデビューアルバムはコンテンポラリー・ジャズ(現代風のジャズ音楽)というジャンルとしてその筋の人々からかなりの高評価を受けました。20歳の白人シンガーと教えられなければ、往年の大ベテラン黒人シンガーかと思ってしまうような歌い方や、彼女のあまりにも自然体で飾らない、時には無礼とも取れるような態度にも大きく注目が集まりました。彼女はかねてから「現代の音楽は本物じゃない。自分が心から歌える歌は自分で作るしかない。」と、自分の実体験を基に、彼女が思う本物の楽曲作りをしてきました。
50年代や60年代のジャズやソウル音楽を愛し続けてきた彼女の音楽性に、赤裸々でエッジの効いた歌詞が乗った楽曲は、2000年代の主流の音楽シーンには馴染まない異彩を放っていました。そして、そのデビューアルバムの衝撃を受けて、大きく期待されてきたセカンドアルバムからのリードシングルとして発表されたのが、60年代のガールズグループのサウンドにインスパイアされた、後に彼女の代表作となる「Rehab」だったのです。

・代表曲「Rehab」が生まれた背景

当時 Amy には付き合っている男性がいました。彼にのめり込み、彼のすべてを感じたいと思った彼女は、彼がすることをすべて自分も一緒にするようになります。それが過度な飲酒やドラッグでも、です。それが実生活にも影響し始めたことを心配した周囲の人々や Amy の父が、断酒断薬のためにリハビリ施設に彼女を送ろうとしたときのことを歌ったのが、この「Rehab」です。歌詞の内容については後の和訳と解説を参照いただければと思いますが、結局リハビリ施設への入所を拒否したこの判断が、その後の Amy の人生にとてつもなく大きく影響していくのです。

・暗黒からの世界的栄光、そして、、

その後、付き合っていた彼との不健康な生活がしばらく続きましたが、突然彼から「もともと付き合っていた別の女性のところに戻る」と伝えられ、Amyとの関係に終止符が打たれます。暗黒に突き落とされた Amy がその当時を歌ったのが「Back To Black」という曲で、これが結果としてはセカンドアルバムのタイトルに起用されることになります。
そしてアルバム「Back To Black」は彼女が予想しなかったほどの異常なぐらいの注目を集め、世界的に話題になったリードシングルの「Rehab」とともにグラミー賞を5つも獲得するという快挙まで成し遂げてしまいます。また、その時期を同じくして、なんと暗黒に落ちた元凶の元彼と復縁し、終いには Amy は彼と結婚までしてしまうのです。

・Amy を待ち受けていた運命

世界的歌手として注目される準備など当然してこなかった Amy は、自分が望んでいたわけではない程の成功を手にして以降、世界の目に困惑し、もがき苦しむようになります。そして唯一の逃げ道にも見えた毒男の旦那は Amy の成功に漬け込むように飲酒とドラッグをやめず、結果薬物乱用にて逮捕され、彼らの仲は引き割かれてしまいます。その辛さがさらに Amy をアルコールに溺れさせ、とうとう彼女の若く華奢な体はその負荷に耐えることができずに、限界を迎えてしまうのです。

2011年7月23日、Amy Winehouse はアルコール中毒のため27歳という若さでこの世を去りました。もしこの「Rehab」が書かれたときのリハビリ施設入所を断っていなければ引き起こされなかった死かもしれないとさえ言われています。成功の裏に息づく闇の引力はとても強力ですよね。音楽を純粋に愛していた彼女から音楽が奪ったものは皮肉にも大きすぎるものでした。そんな Amy が書いた、まっすぐで飾らない生き様を一緒に歌詞から読み取っていきましょう。


⦅歌詞と和訳⦆

(繰り返しとなっている[Chorus]*は歌詞と和訳を省略しています。)

[Chorus]*
They tried to make me go to rehab, but I said, "No, no, no"

(みんな私をリハビリに行かせようとするけど、私は「No、No、No」)
Yes, I've been black, but when I come back, you'll know, know, know
(確かに私は暗黒にいるけど、戻ってきたらあなたもわかるはずよ)
I ain't got the time and if my daddy thinks I'm fine
(私にはそんな時間ないし、パパは私が大丈夫と思ってても)
He's tried to make me go to rehab, but I won't go, go, go
(私をリハビリに行かせようとした、でも私は絶対行かないわ)

I'd rather be at home with Ray
(レイ・チャールズを聴きながら家にいる方がマシよ)
I ain't got seventy days
(私には70日間もの時間はないわ)
'Cause there's nothing, there's nothing you can teach me
(なぜならあんたたちが私に教えられることなんて何もないから)
That I can't learn from Mr. Hathaway
(私はハザウェイさんからすべて教わるわ)

I didn't get a lot in class
(学校ではいい点を取れなかったけど)
But I know it don't come in a shot glass
(どうせいい点取ってもお酒が出てくるわけじゃないでしょ)

[Chorus]*

The man said "Why do you think you here?"
(そこにいた男が言ったのよ「なんでお前はここにいるんだ?」って)
I said, "I got no idea"
(私は言ったわ「さっぱりわからない」)
I'm gonna, I'm gonna lose my baby
(私のベイビーを失っちゃうじゃない)
So I always keep a bottle near
(だから私は酒瓶をいつも近くに置いておくの)

He said, "I just think you're depressed"
(彼は言うの「お前は落ち込んでるんじゃないかな」)
This, me: "Yeah, baby, and the rest"
(これが私「そうね、ベイビー、他のみんなも一緒よ」)

[Chorus]
They tried to make me go to rehab but I said, "No, no, no"

(みんな私をリハビリに行かせようとするけど、私は「No、No、No」)
Yes, I've been black, but when I come back, you'll know, know, know
(確かに私は暗黒にいるけど、戻ってきたらあなたもわかるわ)

I don't ever wanna drink again
(私はもう二度とお酒なんて飲みたくないのよ)
I just, ooh, I just need a friend
(私はただ、ただ友達が必要なの)
I'm not gonna spend ten weeks
(10週間も過ごすなんてありえないわ)
Have everyone think I'm on the mend
(そしてみんなに回復してると思わせるなんて)

It's not just my pride
(私のプライドの話だけじゃないの)
It's just till these tears have dried
(ただこの涙が乾くまでの話ってことよ)

[Chorus]*

(Music & Lyrics by Amy Winehouse)

⦅英語のポイント⦆

背景を知ってからこの曲を聞くと、アップテンポでキャッチーなメロディに乗って叫びにも似たような ”もがき” が伝わってくるかもしれませんね。歌詞の英語は文法的には複雑なところは少ないと思いますが、表現がフランクなところが多くみられ Amy の飾らなさを要所で感じることができると思います。ちなみに Rehab とは Rehabilitation が短縮された単語で、日本語でも短くリハビリと言われますが、同じような感覚で使われています。
では、今回の英語のポイントは以下の2つを選んだので、それぞれ解説していきますね。

(1)I'd rather be at home with Ray.

ここで使われている would rather 〜 という表現は「むしろ〜するだろう」という意味があり、今回の文は「私はむしろレイと家にいるだろう」という直訳になります。ちなみに、ここで言われている Ray とは、50〜60年代に活躍したソウル音楽の生みの親である歌手 Ray Charles(レイ・チャールズ)を指しています。
この would rather 〜 という表現は「(これの前に話されていることをするくらいなら)むしろ〜する」という流れで使われるので、今回は「リハビリ施設に入るくらいなら家にいて Ray Charles を聞くわ」という意味になるわけですね。家で大好きな音楽を聞く方がよほど効果があると言いたかったのかなと思います。
ついでに、その後の歌詞でも Mr. Hathaway という名前がでてきますが、これは70年代に活躍したソウル歌手の Donny Hathaway(ダニー・ハザウェイ)のことを指しています。

(2)Have everyone think I'm on the mend

この文はパッと見、everyone を主語にした現在完了形の疑問文?って思ってしまうかもしれませんが、have も think も原形なので違いますよね。これはこの前文と繋がっていると考えるのが自然かと思います。
I'm not gonna spend ten weeks, (and) have everyone think I'm on the mend. と考えれば、この have が I'm not gonna を spend と並列で受けているということがわかります。なので文章的には I'm not gonna have everyone think I'm on the mend. となるわけですね。
そしてこの have は have + (人) + (動詞の原形) で「 (人) に 〜 させる」という make のような用法で使われるので、今回の文章は「私はみんなに私が回復に向かっていると思わせない」という直訳となり、意味合いとしては「みんなに私がリハビリに行ってよくなったって思われるなんてイヤよ」ということを言っているんですね。


さて、いかがでしたでしょうか?今回はちょっと暗い悲しいお話だったかもしれませんが、Amy は2011年に幼い頃からの憧れの存在であった Tony Bennett(トニー・ベネット)とデュエットをするという機会に恵まれます。成功を手にし、有名になれたことの最大のご褒美がここに集約されたのかもしれません。そして、これが結果として Amy の生前最後のレコーディングとなったのでした。
彼女の音楽や人生にご興味を持っていただけたら、ぜひアルバムも聞いてみてください。彼女の半生を納めたドキュメンタリー映画「Amy」もオススメですよ。

次回は、プレイリストの第9弾「忙しいMid-Weekの終わりに/聞き流す洋楽」を紹介しますよ!
今後も続々と新しいプレイリストの紹介とその中の楽曲についての解説もしていきますので、ぜひお楽しみに!

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