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院内見聞録 入院シーズン3 6日目

2022年5月18日
3:18、4:42、5:42(←ドレーンの中身を抜きに来たタイミング)に目覚める。今日は最初にまとめて5時間ほど眠れた。7時半起床。

(3:18)ラジオに投稿された駅近物件に関する不思議なエピソードという記事を雑誌で読んでいる。どちらもまったく聞いたことのない駅名なのだが、彼が住んでいたのは大きなターミナル駅から1駅の小さな駅のすぐそば、大きな駅のほうも歩いて行ける距離で、電車の乗り継ぎはそちらのほうがいいのだが、小さい駅はバスの乗り継ぎが便利らしい。そこまで読んだところで、特に何かあったわけじゃないのに目が覚めた。もっと続きが読みたかった。

(5:42)変わった形の民家で何かの展示があるらしく、友人たちと受付をしている。受付の場所は細い階段を上ってすぐの2階の居間だが、さらに小さな踏み台のような階段を使って3階へも行けるらしい。トイレはその居間の中(!)に設えてあるのだが、人がひとり入ったらいっぱいになる大きさの木の枠でできたもの。子供が遊ぶ電車の運転席を手づくりしたような形状だ。腰より下のみが隠れているが、上半身は丸見えで木の枠はあるがガラスが入っているわけでなし、まったく遮断された空間になっていない。入ってみるが、そもそも入るのがやっとのことで、実際に用を足すのは難しそう。「大きい人にはつらいね」というと、そんなことはとっくに分かっているという意味のことを、いつの間にかいたソフィー(*1)に言われる。

ふと気づくと短い金髪に鼻ピアスというパンキッシュな女性とその連れの女性が階段を上がったすぐの天井の梁のような所に勝手に座っている。階段の下で呼び込み(?)をしていた〇〇〇〇〇〇ちゃん(*2)がその女性たちにタメ口で、そのまま3階のトイレに行けば? というようなことを言う。お客さん相手にタメ口、しかも〇〇〇ちゃんのキャラじゃないから一瞬ギョッとするが、きっと何らかの意図があるのだろうと思う。

いつの間にか屋上にいて、まかれている何かの種を見ている。全部、鳥が食べたあとのようだったので、餌としてまかれたのかと思っていたら、「全部、鳥に食べられてる!」と憤慨している人がいる(クニちゃんか?)ずっと見ていくと、石灰の中にハーブがまかれているエリアがあり、ユキさんが石灰と一緒にオーブンに入れて乾燥させたと言っている。それって塩釜焼きみたいなこと?と聞くとそうだという。そして、ああここはユキさんの家だったんだと思う夢。

ヤンキー崩れというか、ギャルっぽいのだけどそれなりに年齢はいってそうなシングルマザーの女性。借金があるらしいが2万6千円ほどの臨時収入があったらしく、子供に何を買ってあげようかなと嬉しそうに言っている。そこへまったく強面じゃない、貧相だが気持ちの悪い男がやってくると、彼女は言われるままに財布を差し出す。元夫か? 男は財布の中から5千円札、1万3千円札(わたしも初めて見た)を抜き、「とりあえず今回はこれだけ返してもらう」と言ったので、借金取りだったのかと思う。

あんなに嬉しそうだったのに一瞬にして持ち金が数千円になってしまったので、かわいそうに思い、「よし、今日はわたしがおごるよ」と言って酒を飲みに行き、身の上話を聞く。何とか借金のループから抜け出して欲しいので、一刻も早く借金を返せるように、節約の重要性を説く。すると「例の小二が…」と言うのだが、例のも何も初めて聞く話。そもそもその女性とだって今さっき会ったばかりだ。「娘さんは小二なの?」と聞くと違うという。「それだと計算が合わないでしょ」と、あたかも自分はそんな歳じゃないとでも言わんばかりの勢いで言うのだが、わたしから見ると小二の子供がいても決しておかしくはなさそうな年齢に見えるという夢(どのタイミングで見たのか、おぼろげ)

メールチェックとDuoでフランス語1レッスン。この前「パリ13区」を見たとき、聞き取れる単語が増えていてうれしかったが、とはいえ物語を把握するにはほど遠い。先は長いな。

推し友よりLine。「テッパチ」の第一弾映像が送られてきた。ガテン系の男こそアタクシの少女のころからのファンタジーの源。ひげ、茶髪でしかも前髪をくくってるなんて、これで何杯ご飯が食べられるか。

朝食

お粥じゃないが米食になっていた。ゼリーも+αと思われるが完食。お腹いっぱい。朝の検温37.4。また少し上がっている。

9:15 診察に呼ばれる。いつもすごく待つので本を持っていったが、本を開いた瞬間、まだ一文も読まないうちに診察室に呼ばれた。「お胸がふっくらしましたね」と言われるが、よく考えたらまだ仕上がりを見ていなかった。上からの視点ではもちろん見てるけど、正面からは見ていなかったので手鏡を渡されて初めて見る。しまった、手術直後(といっても歩けるようになってから)の写真を撮っておけばよかった。

術後はケアフィックスという専用のブラをつけることになっている。これまでの手術で使ったものを2枚持ってきていたのだが、手術直後に数人がかりでつけようとされたが、あまりにも窮屈で断念。(みんな、あきらめるのが早いよ)今までノーブラで過ごしていた。ケアフィックスとは別に食塩水で膨らます過程で使っていたリマンマで買ったブラも念のために持ってきた。それをつけるかどうかは執刀医の先生の意向を聞いてからということでペンディング中だったのである。診察に行くと持ってるケアフィックスは小さすぎるということで、新たに大きいサイズを買い直すか? という話だったのだが、リマンマのブラも持ってきたと言うと、そちらの固いほうでよいとのこと。1か月間はこれを使うことになった。また、その後は普通のブラでいいが下に作ったラインをしっかり覆うようにとのこと。ワイヤー入りのものについて聞くと、ワイヤーがあってもいいが、おそらく“寄せて上げる”ようだと思うので、そうではなく、この下の部分をしっかりホールドできるものであること。その部分にワイヤーが当たると変形するからということだった。スロギーでもいいらしい。退院は… あとはドレーン次第だな。

栄養士さんがやってきたので、もう普通のご飯でいいし、ゼリーもつけなくていいと伝える。デザートはうれしい気もするがお腹がいっぱいになりすぎる。

11時に部屋を移動すると聞いていたので、10:50には荷物をまとめてベッドに横に待つ。結局、呼ばれたのは11:40ごろ。勝手に荷物を持って体だけ移動するのかと思っていたが、今使っているベッドとテーブルごと移動するのだった。なので、細々としたものはテーブルに乗せておけばよかった模様。新しい病室は1420の2。隣りの病室だが、窓側なので明るく、景色がいい。有償の病室との違いは机がないこと。これまではほぼ使ってないというか、洗面道具や歯磨きセットを置いていただけだが町田くんを飾っていた。さて町田くんをどこに置こう。というわけでテレビを押さえにして、ちらっと顔をのぞかせている体でセット。

セット完了

それ以外の違いは自分のエリアに扉付きの棚があったのがなくなり、入り口付近に共同の棚があるだけになった。サイズも小さくなったので、ここに洗面道具などを置き、それ以外はスーツケースの中に入れたままにする。うん、全然、無償で十分だな。

部屋を移動したので洗濯をしようと思ったら食事が運ばれてくる。とりあえず、テーブルに置いてコインランドリーへ。洗濯300円、乾燥機30分x2で200円 計500円をテレビカードで。

昼食

ずいぶんと量が減った。(それでいい)スパゲティがアルデンテからほど遠いのは、まあ仕方がないとして、持ち上げるたびにブチブチと麵が切れる。なるほど病人には食べやすそうだ。もしかして、これが関東の小学生が給食で食べていたという噂のソフト麵なのか? しかし、朝ご飯が多くてまだあんまりお腹が空いてなかったのと、ちょっと麺のテクスチャーと後味が口に合わず残してしまう。今回、口に合わないという理由で残したのは初めて。基本的に出されたものは、四の五の言わずありがたく食べるタイプなので。

洗濯機を回し、乾燥機にかけている間に「ジョン・ウォーターズの地獄のアメリカ横断ヒッチハイク」を読み始める。もう、最初のプロローグの時点で相当面白い。そして、やはりわたしも世界ワークをやりたいと思うが、企画が成立するためには、わたし自身に商品としての価値がないと難しいんだろうなとも思う。じゃあ、有名になりたいかと言われると、有名人ってめんどくさいことが多そうで、あまり気が進まない。

昼の検温。37.1。ひたすら課題に向き合う。今度の隣のベッドの人は聞こえてくる声が美女。イメージ的には巻き髪のマダムだ。乾燥機にかけていた洗濯物を取って戻ってきたときに、ちょうど彼女が共同の洗面台で何かをしていた。顔は見てないが後ろ姿が小さいおばあちゃんみたいだったので、そのギャップに驚く。なんで巻き髪の美人マダムと思ったのかなと考えていたら、声としゃべり方が堀井美香さんに似ているからだった。

夕食

夕食にアスパラの和え物が出る。実はわたしアスパラ尿者なんですよね~と本当にどうでもよいカミングアウト。トイレに行ってこっそり患部の写真を撮る。まだ若干右胸のほうが大きいが、そのうち引いてくるのだろう。夜の検温36.6。だいぶ下がってきた。便意はあるが、力むと傷が痛いのですっきり出せないという話をするともっと水を飲んで柔らかくするのがいいと言われる。そりゃそうだ。だって今日は昼の時間帯に一度もトイレに行っていないもの。(尿と便の回数を自分で記録する紙があるので分かるのだ)あきらかに水を飲む量が足りていない。

今やっている翻訳の課題にVestidoと出てきて、ドレスと訳すべきかワンピースと訳すべきかと考えて、ちょっと前に読んでいたコルタサルの「八面体」を思い出す。絶対にドレスなんて着てなさそうな娘がドレスを着ていることになっていたが、やっぱりあれはワンピースだよな。サマードレスとか、リトルブラックドレスなら別だけど、日本語では普通ドレスと言ったらヒラヒラのついてるふわっとした服のことだもの。

22時に就寝するが、なかなか寝付けない。体が疲れること何もしていないんだから眠れなくて当たり前だ。


  1. あだ名や呼び名など個人が特定されない友人の名前はそのまま

  2. 本名は伏字


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