プロジェクトの定義と各オーナーの役割
今回の記事の読み上げ動画もあります。音声の方が好きな方は是非ご活用ください。(文章の方が理解しやすい方は飛ばしてくださいね)
プロジェクトが成功しないということを別の言葉で言い換えると次のようになります。
プロジェクトを適切に遂行できなかった
プロジェクトが適切に定義されていなかった
似たように聞こえますが、それぞれ責任は違う人にあります。
定義されたプロジェクトを適切に遂行するのはプロジェクトオーナーの責任ですが、特定の問題を解決するためにプロジェクトを定義するのはプロダクトオーナーの責任です。
プロジェクトとは
そもそもプロジェクトとは何なのでしょうか?
プロジェクトとは測定可能な結果を創出するための一連の仕事のまとまりと表現できます。
仕事の結果は「成果物」と呼ばれ、プロジェクトの立ち上げ時に定義・認識されます。
目標とする成果物が得られれば、プロジェクトは完了です。
成果物とは物体そのものがどのような状態にあるかを示します。
例えば、「駅」では成果物としては不十分です。「駅舎の完成」と「駅の開業」は異なる状態を示しています。
問題が提起され、その問題の解決策が提案されたら、以下のことを行います。
プロジェクトの定義
プロジェクトを始める前の段階(計画段階)で行う。
プロジェクトの範囲を決定して、その完成時の状態を定めること。プロジェクトの遂行
プロジェクトの実施段階で行う。
プロジェクトの定義に従って、成果物を作成するために仕事をしていく。
各オーナーの役割
冒頭に述べたプロジェクトオーナーとプロダクトオーナーは名前が似ていて紛らわしいですが、全く異なる責任を持ち、所属する組織も異なるので、実業務で混同することはまずありません。
プロダクトオーナーはプロジェクトの顧客であり、成果物を発注します。
プロジェクトオーナーとは供給者であり、成果物を納入します。
同じプロジェクトを同じように見ていても、プロダクトオーナーはプロジェクトが成果物を生み出すのに適切か評価し、プロジェクトオーナーは成果物を生み出すことが実現可能かを確認しているのです。
「ちゃんとやってくれそうだ」と思うのがプロダクトオーナーで、「ちゃんとできそうだ」と思うのがプロジェクトオーナーです。
オーナーの下で働く人にマネージャーがいます。
あるプロジェクトのプロダクトオーナーが別のプロジェクトのプロジェクトマネージャーであることは頻繁にあります。そのプロジェクトにとって、自分が何なのか意識して、切り替えて行動することが必要です。
プロダクトオーナー
プロダクトオーナーは問題を提起し、その問題の解決策に対価を支払うプロジェクトのクライアントです。クライアントはプロジェクトの完成を確認する立場であると同時にいつでもプロジェクトを停止できる立場にいます。
クライアントとはいえ、社外の人物だけではありません。上長だったり、関連部署だったりします。
プロダクトオーナーの存在しないプロジェクトは目標を見失い、軌道から外れてしまいがちです。
1つのプロジェクトに対してプロダクトオーナーが複数いる場合もあります。プロダクトマネージャー
プロダクトマネージャーはプロダクトオーナーに報告をする人です。
その解決策がプロダクトオーナーの問題に対して適切であることを確認し、成果物の定義をより明確にし、プロジェクトにおいての変更事項や関連事項(費用の増加、遅延、品質の低下など)を容認したり否定したりします。プロジェクトから「より多くの便益を得る」ことが、プロダクトマネージャーの仕事です。プロジェクトオーナー
プロジェクトオーナーはプロジェクトを進行し納入する人です。
解決策を提供し、プロジェクトの成果物を納入するために必要な人的資源の責任を負います。また、プロジェクトチームを結成し、プロジェクト計画を立てます。プロジェクトリーダー
プロジェクトリーダーはプロジェクトに必要な人的資源の調整を行い、成果物や予算を確認し、期日までに納入する責任があります。
プロジェクトリーダーは成果物の定義に変更があった場合、プロダクトマネージャと交渉します。この交渉におけるプロジェクトリーダーの重要な役割は「より多くを得ようとする」プロダクトマネージャーに対して「No。それはできない」と断ることだったりします。人的資源
プロジェクトリーダーが管理する人々です。
ここにはプロダクトオーナー、プロダクトマネージャー、プロジェクトオーナー、プロジェクトリーダーは含みません。
感想
プロダクトオーナーとプロジェクトオーナーは似たような言葉なのでわかりにくいですね。私が使った学習教材では混乱を招きそうな文章構成になっていたので、今回のメモはかなり文章構成を工夫しました。
実際の業務では、自身のプロジェクトマネージャーが発注先のプロジェクトのプロダクトオーナーになったりということはよくあります。プロジェクト同士が入れ子になっていたり、場合によっては双方に入れ子になっていたりしますよね。
A社のプロジェクトでB社に作業を発注しているが、B社で使う部品はA社が作っているなどということはザラにありますね。
色々な人と関わる場合は特に主語をどこに置くのかしっかり定義しながらお話することが大切だなぁと身に沁みました。
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