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風の庭

もう、あっという間に行ってから一年経ったので、
私が、2019年の9月に出会った、不思議な宿の話をしたいと思います。
三重県の宿で、愛に出会った話。

そもそも宿に出会う前の話をざっと

2018年、私は「橋の下世界音楽祭」に行きました。そしたら、野原の真ん中で、出店している人を見かけました。よく覚えてないですが、畳と、乳母車?なんか4つ車がついたリアカーを持ってきてて、「乳母車カフェ」という名前でした。自作のフラワーエッセンス、即興のその人のための子守唄を糸電話で聞いてもらう、魔法の質問カード、あたりがメニューだったと思います。それ、全部やってもらおう! と魔法の質問カードを見てもらって、すごくいいアドバイスを頂いたあと「じゃああとは明日でいい?」ってなりました。

それから、なぜか「乳母車カフェ」の出店がなくなって、探していたら、探し始めて2日目くらいに音楽祭の会場のトイレをEMでキレイにしようと一人で活動されてるのを見つけました。トイレに入ったら、EM菌をトイレにふきかけること。汚れたところはEM菌のスプレーで掃除することが書かれていた絵も、ひとつひとつのトイレに貼られていました。トイレの前で会ったその方は「ごめんごめん! トイレが忙しくなっちゃってさ!」っておっしゃり、それからずっと会えず、私は家に帰りました。

そんな乳母車カフェのともこさんがずっと気になって、知り合いにFacebookのアカウントを教えてもらったり、調べたりしているうちに、2019年、宿をオープンされたばかりだということがわかりました。たまたま関西に行く用事があった私は、ともこさんのお宿に一泊することにしました。

風にたなびく吹き流しが目印の宿 風の庭

風の庭は、関西本線の途中の駅、伊賀上野から、バスで行ったところにあります。JRの「関西本線」なんてメジャー感あふれる名前なのに、途中で完全に山登り電車になって、絶景に次ぐ絶景、関東に住む私は、本当にびっくりしました。そこから、ちょっと街っぽいところに降りたところに、伊賀上野駅はあります。

駅から出ているバスに揺られてついたところは、どこまでも広い田んぼでした。

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ずっと歩くと、やがて、ピンク色の吹き流しがある、大きな古い家を見つけました。

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静かななか、家の中から、ガラガラガラ、と雨戸や、縁側に通じる窓を開けている人がいました。ともこさんでした。

こんにちは、と挨拶をして、とりあえず荷物を置かせてもらって、私は宿の中に入っていきました。

まず、窓を開け放した廊下に椅子を置いていただき、
足湯を入れてくださり、遠くでたなびく吹き流しと、
そのもっと遠くに大きくそびえる山を見ながら、
お湯に足を入れながら、お茶。
お茶が置かれたお盆の上の小さなお皿に、
なにかの実が置いてありました。

「これ…、食べれるんですか?」
と思わず聞くと、
「これ、お花みたいなものです」
という返事。

なんでも食い気の自分に思わず笑ってしまいました。
お茶に添えて、小さな植物(これは月桃の実でした)を添えてくださってたのです。カワイイ。

ふうっと息をついて、足がほかほか。
気づいたら、うとうとしていて、
目が覚めたら、少しだけ、日が暮れていました。

ひとリトリート

風の庭は「暮らしの宿」と、ホームページには書いてあります。
それと「ひとリトリート」が体験できる、と書いてあります。

何やら、2階で、ひとりで過ごすことができるのだそうです。
さっそく、2階で過ごさせていただくことにしました。
ともこさんが、お茶を持ってきてくださって、ゆったりと、2階で過ごします。

ともこさんがかけてくださった音楽、
笛のような音が響いています。
部屋の、いろいろなところで、いろいろなように過ごしてみます。

2階がどんな部屋かはホームページをご覧いただくとして、
その時の個人的な感想を書こうと思います。

それは、例えるならば、映画『2001年宇宙の旅』の宇宙飛行士が、
ブラックホールの中に入ったときのようでした。
映画みたいな「アンギャー!!」という感じよりかは(笑)
自分のどこまでも平滑な水面の上から世界を見渡しているようでした。

あの山の肌をかすめた風が
ピンクの吹き流しを通り抜け
そして、今、この部屋に吹いている。

(当時の写真をほぼ無くしてしまったので、ホームページより、お借りしました… ともこさんのお母さんと、山の風景だそうです)

プクプク、くるくる、生まれる前、
ただただ音を聞いて寝ていたあの頃。

そのプクプクくるくるしていった奥の奥で、
私は、見てしまいました。

愛する人の死に顔を。

愛する人、といっても、今の夫ではありませんでした。
恥ずかしながら、当時大好きだったドラマのキャラクターでした。
老いて亡くなったその人の顔を触っている
自分(死んでしまった人の恋人役の中に入ってる、っていうていだった)
がいました。

けれども、不思議なことにその時に、
まったく悲しくはありませんでした。
かといって喪失感でも、怒りでも、私にはありませんでした。

ただあるのは「自分が彼を愛している」っていう、
ただ、それだけでした。
それだけが私を満たしていました。

愛とは。

なんだかよくわからないままに目が覚めて、
ふらふらと1階に降りてきて、
水からいろいろとても気遣って入れていただいた
お風呂に入った途端、

たぶん、ちょっと体から離れていた魂?
がズコッっと体に入ってきて、

私はお風呂で号泣しました。

「愛」って感情じゃなかった。
「恋しい」は感情かも。
でも「愛」って、存在そのものだ。
森羅万象のものが、そのままの姿になったとき、
それは「愛」そのものになる。

そのあり方に、
そして、自分が気づいたことに衝撃を受けて、
涙が止まりませんでした。

世界は愛であふれている。

風の庭 を出たあとの旅は、自然の中で過ごす旅でした。
私は、その自然の中に、たくさん「恋人の死に顔を見つめる自分」を
見つけることができました。
雲がたなびく山。
ずっとずっと流れ続ける川。
子どもが遊ぶキャッキャッとした声。

世界は愛であふれている。

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暮らしの宿

風の庭 は、暮らしの宿でもありました。
夜、おいしいごはんを頂いたり。かき氷もいただきました。
今までホームページで調べまくって、気になってた
ともこさんのいろいろな活動について質問したり
気になる方はぜひ見てみてください→こちら

とってもためになったのは、
かけぶとんのカバーの入れ方。
すごーくお部屋もキレイで、広くて気持ちがいいです。

体にいい食材の話も聞いて、今、我が家で愛用しています。

不思議な2階

次の日、また2階でじっくり過ごし、
ともこさんともたくさんお話して、
楽しんで帰りました。

ひとリトリートで私がした体験は、
たぶん、私だけのもので、たぶん、人によって
全く違うものになるのだと思います。

でも、あの場のなんともいえないシンとした感じと、
それなのに、自然にびっしり囲まれていて、
ともこさんがこしらえた場 細部と、
いつまでも見飽きない風…

コロナがあって、私達は、自分の中がとっても楽しいって、
気づきましたよね。

ひとリトリートは、
それをちょっとおもしろい感じで楽しめる、
とってもいい場でした。

私も、風の庭の経験があったことをきっかけにして、
コロナの間、とても充実した時間を過ごすことができました。

ともこさんから頂いた「お守り」も、
コロナ中ずっとつけて、励みになってました。

いろんな方が、あの場所を知ることができますように。


ありがとうございます。サポートいただけてうれしいです。