イライラを吹き飛ばしたのはチョコミントの爽快感？それとも夫の忍耐力？
この日はなんだか調子が悪かった。
ついこの前までは落ち着いた心で過ごせていたのに、どうも身体が鉛のように重だるい。
連日の暑さのせいなのか、気圧のアップダウンのせいなのか、それともその両方なのか。
そんな中、夫がマクドナルドの新しいチョコミントフラッペが気になるのから一緒に飲みに行こうよ、と誘ってくれた。
まあ、せっかくだから行ってもいいか！と思い猛暑の中、パート終わりに自転車をかっ飛ばしてマクドナルドへと向かった。
いやはや、それにしても暑すぎる。
まだ7月が始まったばかりだというのに、当たり前のように熱中症を警戒せねばならないほどに暑い。
汗は滝のように流れ落ち、ジリジリと焼き付ける太陽がアスファルトに照り返し目がチカチカする。
おまけに昼休憩なしで空っぽの胃を抱えながら働いた後なので、身体に力も入らない。頭も痛くなってきた。
マクドナルドに到着する頃には、もうすっかりとくたびれていて、正直フラッペなんてどうでも良かった。
いまは食べたいメニューも無いし、早く帰って涼しい部屋で眠りにつきたいと考える始末。
でも隣の夫は楽しそうにしているし、まぁいっか。と思い店内に入る。
とりあえず頭痛を抑えるためにカフェインが欲しくて、ホットコーヒーに砂糖とミルクを投入し胃に流し込んだ。
横では夫が何かぶつぶつと言いながらモバイルオーダーをするためにスマホと睨めっこをしている。
その後、夫が意味不明なことを言い始めた。
私はその言葉に少々カチンと来てしまい、自分の吐く言葉の隅々に毒を交えてしまった。
イライラを抑えようとしても、どうしても口調がキツくなってしまう。
「そんな言い方しなくてもいいじゃん。」
そんなことを言われても、自分でも何でこんな小さな事でイライラしているのかが分からない。分からないけれど、身体がほてって頭に血が昇ってしまう。
そうしてる間にモバイルオーダーで頼んだフラッペが届き、それを美味しそうに一人で啜っている夫。
いつもなら笑って流せるようなことなのに、なんでこんな事に…。
よくよくカレンダーを見てみたら、そろそろ生理予定日。今はちょうどPMSが始まる頃だった。
あぁ、きっとこのせいだ。
「これ、美味しいから飲みな。」
そう言って、溶け出したフラッペを差し出してくれる夫。
その手を払って、いらない。と何とも頑固で可愛げのない対応をしてしまう。
本当は飲んでみたい好奇心が胸の奥で疼いていると言うのに。
「いいから飲みなさい。頑固してても仕方ないよ。」
「早くしないと全部飲んじゃうからね。」
「ほら、はやく飲みな。溶けちゃうよ。」
私がバカみたいに寡黙を決め込んでる間にも、折れずに何度も何度も声をかけてくれた。
渋々受け取ってストローに口をつける。
スーッとするミントの爽快感の後にクリームとチョコの甘さがググッと押し寄せてきて、心の熱さを冷ましてくれるかのようだった。
その後も、夫の手から奪い夢中になって飲んでしまった。
「くだらない事で不機嫌になってごめんね。仲直りがしたいです。」
そう伝えると、夫もあまり考え無しに言葉を吐いてごめんね。と謝ってくれて、つまらない時間に終止符を打つことが出来た。
夫は、おそらくPMSのせいだろうと勘付いていたようだった。
毎月のように同じ失態を繰り返してしまうが、本当にこればかりは上手くコントロールをすることができなくて、いつも事後に自己嫌悪に陥る。
夫もその気持ちを知ってか知らずか、毎度落ち着くまで根気よく待ってくれる。
売られたケンカを買わずに落ち着いて接してくれるので、こちらもいつの間にか昇った血が引いていくのだ。
夫の海のように広い心に本当に感謝せねばいけないな。とこうなる度に思い知らされる。
フラッペを飲み終わる頃にはすっかり気持ちも体調も落ち着いて、清々しさすら覚えていた。
全く困った人間である。
イライラを吹き飛ばしてくれたチョコミントと夫には感謝せねばいけないな。
今月もまた憂鬱な時期がやってくる。
ダメになってしまった時は、またチョコミントに頼ってみよう。
夫の優しさに甘えすぎないためにもね。
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